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1997年第 4回定例会09月04日

◆5番(吉川敏文君)(登壇) 公明の吉川でございます。公明堺市議会議員団を代表いたしまして大綱質疑を行います。
 まず初めに、さきの定例会でも我が会派より野村議員が、2期8年の幡谷姿勢の総括と3期目にかける決意を市長にお伺いをし、先ほどもまた堺市創造の政策を種々お聞かせいただいたわけでございます。我が党の主張でございます生活者の政治をめざす市政運営の上でも、幡谷市長は、そのすぐれた行政手腕と清潔、誠実な政治姿勢で数々の実績を残されたことは、私たちも大いに評価し、また、新たな期待を寄せるわけでございます。しかし、当市は地方分権の大きな流れの中で、新しい世紀を迎えるには余りにも厳しい状況が大きな課題として進路を妨げているわけでございます。こうした状況を生み出した背景の一つには、国を府県を、あるいは市を運営する行政のおごり、慢心がそこにあったのではないかとも思うわけでございます。どうか、そうした反省も加えながら、常に原点を人、市民に置いていただいて、80万市民のため勇敢なる挑戦をお願いし、質問に移りたいと思います。理事者各位におかれましては、簡潔かつ明快なるご答弁をお願い申し上げます。

 まず、地方分権推進について質問いたします。
 政治・経済・教育などあらゆる分野での閉塞状況を打開し、国民がゆとりと豊かさを実感できる社会実現の大きな期待を担って、平成7年5月、地方分権推進法が成立いたしました。この法律には、平成12年までに推進施策を実施することが定められており、そのために設置された地方分権推進委員会は、昨年12月の第一次の勧告に引き続き、本年7月に第二次の勧告、そして一昨日には第三次の勧告を行ったことは既にご承知のことと思うわけでございます。その中でも特に地方行政にかかわりの深い第二次勧告の内容を見ると、機関委任事務廃止、必置規制見直し、補助金の一般財源化、地方債発行の許可制から事前協議制への変更に加え、都市計画の決定主体や都市計画をめぐる国と地方の調整方法の見直しなど、我々地方自治体側から要望の強かった項目についても検討が加えられているわけでございます。

 読売新聞社が実施した分権委第二次勧告、首長アンケートにも、これらの点に対する評価があらわれていたように思います。しかし、地方税財源強化策の具体策が示されていないことや、いまだ中央集権に固執する中央省庁の姿勢が見え隠れすることには、まだまだ不満が残るところでございます。いずれにせよ、次代を考えるとき、地方分権は市民の願いであり、その動きを広く市民の皆様にお知らせしながら、ただ待つのではなく、積極的に分権を地方主権を獲得する姿勢が今後より強く求められるものと思うわけでございます。

 そこでお尋ねいたしますが、この第二次勧告に対し、市当局はまずどのような評価をしているのか。また、地方分権を実現し、その制度を十分活用していく上で、21世紀を展望した堺市のビジョン、すなわち経済・福祉・文化・教育など各分野でのビジョンをどう打ち立てていくのか。さらに、それに対し、今後どのような活動を展開していくのか、その考え方もあわせてお示し願いたいと思います。


 次に、行財政見直しの推進について質問いたします。
 本年6月、総務・財政両局より行財政見直しについてという文書をいただきました。さきの定例会でも種々議論のあったところでございますが、当面の取り組みとして、11にわたる項目が提示されていたわけでございます。また、先日、財政当局よりお示しいただいた、先ほどもございましたが、財政健全化についてでは、財政再建への指標に加えて平成10年より5カ年における改善目標額も掲げていただいたわけでございます。より具体な数値をお示しいただいたことは、議論を深める上でも大変評価できることであり、責任を明確にした上で、徹底した目標管理のもと、達成へのご努力をお願いしたいわけでございます。この中には、おおむね700人の見直しを目標とした定員管理の適正化、施策・事業の見直し、また、大規模プロジェクト事業の見直しなど市政運営の根幹にかかわる項目が掲げられていたわけでございますが、これはさきの質問でも申し上げたとおり、将来ビジョンを明確にした上で、全体観に立った大局的な判断をお願いしたいと思うわけでございます。

 そこでお尋ねいたしますが、ここに掲げられた経常収支比率80%台、5年間の累積で約720億円にも上る財政改善額という目標を、どのような仕組みで具体的方策にブレークダウンし、実施していくのか。また、その進捗の評価基準をどこに置き、どのような形で管理するのか。加えて施策・事業の見直しについては、どのような考えで取り組まれるのか、当局の見解をお示し願いたいと思います。


 次に、中小企業支援策、とりわけ産業インフラ活性化計画について質問いたします。
 本市の工業の概要は、平成6年において従業員数4人以上の事業所は2,314事業所で全国13位、そこで働く従業員は6万348人で全国11位となっております。2,314事業所のうち従業員が100人未満の事業所は2,229事業所で実に96.3%にあたります。これらの企業は、景気低迷による受注減や輸入品との競争激化により、その経営は大変厳しく、いまだ明かりは見えてこないというのが実感であると感じております。

 一方、本年3月に国会で成立いたしました地域産業活性化法は、これまでの施策とは異なり、全国一律から市域特性に的を絞った内容となっているわけでございます。具体的には、府県を窓口とし、地域の方から地域産業振興ビジョンを示し、その事業に対して国が支援するという地方分権を先取りする姿勢があらわれた法律であると思います。大阪府は景気低迷や取引先工場の海外移転、転廃業などで生じている製造業の空洞化を防ぐため、府内17の市町村を地域指定するとのことでございます。そこで、本市として、この地域産業集積活性化法をどのように活用し、中小企業振興に今後どのように取り組もうとしているのか、当局の見解をお示し願いたいと思います。


 次に、医療監視に関して質問いたします。
 医療機関への市民の絶対的な信頼を裏切り、私腹を肥やすことに奔走した今回の安田病院事件。私たちは単なる一経営者の詐欺事件として片づけるには、余りにも割り切れない気持ちが残る事件でございました。患者とその家族を取り巻く生活状況、患者を受け入れる病院経営にかかわる制度上の問題、行政と病院を結ぶ建前と本音の関係、こうした社会のさまざまなひずみが今回の事件を生み出したのではないかと私は思うのであります。いずれにせよ、一人の人間をどこまで大切にしていくのかという、生命の尊厳を忘れたところに今回のような大きな風穴があいてしまったのだとも感じるものであります。当然、この事件を他人ごとでなく、みずからの大きな反省とし、その再発防止への努力を傾注することは、市民の皆様の期待にこたえる上でも重要なことであると思います。

 そこでお尋ねいたしますが、安田病院事件を契機として、医療監視について市当局が見直しを行われたかどうか。また、その結果、どのような改善をされようとしているのか、お聞かせ願いたいと思います。


 次に、臍帯血の移植治療について伺います。
 近年、出産後に廃棄されてきた胎盤とへその緒の血液、いわゆる臍帯血の移植が白血病や再生不良性貧血などの有効な治療法として大きく注目を集めております。従来、こうした病気には、骨髄移植での治療が広く知られているところであり、公的な骨髄バンクの設立や医療保険適用など法的整備も進んでいるところでございます。しかし、この骨髄移植治療には骨髄の提供者、いわゆるドナーに外科的行為を施すため、骨髄の確保に加え、最近ではその安全性に疑問も投げかけられております。それに対し、この臍帯血移植治療は、骨髄移植に比べ、血液をつくる細胞である造血幹細胞の数も大変多く、そのパワーも5倍から10倍、またドナーに外科的行為を行わないため、安全かつ経済的、時間的負担がほとんどない。採取した臍帯血は冷凍保存できるため、必要とされるときにすぐに提供できる。臍帯血の造血幹細胞は免疫反応を起こすことが少なく、移植後の拒絶反応による移植片対宿主病が起きにくいなど、多くのメリットがあると伺っております。フランスなど欧州やアメリカには公的臍帯血バンクがあり、500例にも及ぶ成功事例が報告され、我が国においては、厚生省も臍帯血移植は有効な治療法であると認め、保険適用や公的バンク設立を推進する方針であるとの報道もございました。

 そこで伺いますが、本市はこれをどう評価されているのか。また、この治療法に積極的に取り組む意向があるのか、お答えいただきたいと思います。


 次に、河川浄化について質問いたします。
 これまで当市の河川改修、下水道整備は、治水が主眼であったため、降った雨を一刻も早く海に流してしまうことが必要であったわけでございます。しかし、これらの事業が進むことによって、逆に水源を持たない河川では、晴天時、川が枯渇してしまったり、流れる水のほとんどが家庭からの雑排水や浄化槽の処理水であるため、ヘドロや悪臭の原因ともなっております。そこで、川の悪臭対策やきれいな河川への要望が強くなっていることは当局も認識いただいているところだと思います。

 一方、3年後の西暦2000年には、堺市の都心に位置する旧堺港とその周辺で世界民族芸能祭が開催され、堺市を国内外に大きくアピールする機会を得たわけでございます。こうした機会に、かつて南蛮貿易で世界に名を馳せたまち堺を、そして世界最大規模の古墳である仁徳陵を誇れるようにしたいものと考えるわけでございます。内川、土居川では、平成2年より、ふるさとの川整備事業の取り組みにより、その環境は大きく改善されたものと評価するところでありますが、残念なことに、土居川の南宗寺周辺地域等において、家庭からの雑排水が流れ込み、一層の水質改善に取り組む必要も出てまいりました。仁徳陵についても、水源の枯渇により水質の悪化が進んでいるのが現状でございます。

 そこでお尋ねいたしますが、こうした芸能オリンピックとも言われる民族芸能祭が開催されるのを機に、内川、土居川、そして仁徳陵を一体ととらえ、誇れる水辺環境を早急につくり上げるべきであると考えますが、当局の見解をお示し願いたいと思います。


 最後に、教育改革についてお伺いいたします。
 新学期のスタートである去る9月1日、兵庫県三原町と静岡県浜松市で2人の中学生が自殺するという痛ましい事件が報道されました。若くして、みずからの命を絶つという自殺が後を絶たないというこの現象、神戸市須磨区の事件を初めとする凶悪犯罪の多発、覚醒剤にかかわる少年犯罪の増加、学校園における不登校の児童・生徒の増加など、極めて憂慮する事態が現在ございます。こうした状況に今、戦後50余年の教育のあり方が問い直されようとしており、文部省では抜本的な教育改革をするための教育改革プログラムが策定したところでございます。この趣旨は、冒頭に、一人一人の子どもの個性を尊重しつつ、生命を尊厳する心、他者を尊重する心、思いやり、正義感や公正さを重んじる心、倫理観や社会性、創造性、国際性をはぐくみ、生涯にわたりその能力を最大限発揮できるようにする視点などと述べられております。

 本市に目を転じましても、このような状況と符合する点は否めない事実でございます。しかし、これらに対応すべく、本市では本年4月より教育政策課を設置し、教育改革に取り組もうとされる姿勢は、まことに先見性のある判断と評価するところでございます。今後は、2003年から開始される完全週5日制をどう考えていくのか、また養護教育をどう進めていくのか、産業教育の将来ビジョンの設定など、いま一度、幼児教育から高等教育までの見直しを図るとともに、トータルビジョンを打ち出していかなくてはならないと思います。

 そこでお尋ねいたします。現在、本市において早急に取り組まなければならない緊急課題は何なのか。そして、その取り組みの進捗をお答えください。また、特に養護教育における本市の方針も伺いたいと思います。具体には、府が平成9年度当初予算において、府立泉北養護学校の施設活用方策調査費が予算措置されました。こうした動きに合わせて、本市の養護教育をどう考えていくのか、当市の見解をお聞かせ願いたい。また、あわせて市立百舌鳥養護学校の現状とその課題についてもお答え願いたいと思います。

 以上で第1回目の質問を終わります。




◎市長(幡谷豪男君)(登壇) 公明吉川敏文議員のご質問のうち、河川浄化につきまして、その考え方と今後の方向についてお答えをいたします。

 近年の河川に対する市民のニーズも多様化し、快適な水辺環境の創出を求める声は日増しに高まっております。堺市では、既に内川、土居川におきまして、人々が安らぎ、憩える水辺空間をめざして、平成2年度から、ふるさとの川整備事業に取り組み、水辺環境に配慮した川づくりを重点的に取り組んでいるところでございます。今、その進捗率も90%と大きく前進をし、かつ水質に関しましても改善の傾向が見られているところであります。しかし一方、これらの事業の進捗に伴いまして、水辺環境の整備にとどまらず、水質の向上を求める声が高まっており、本市における都市内河川等の水質改善対策は極めて重要な課題となっております。

 河川の水質問題を考えるとき、河川やため池等を流れる自然の循環、下水道等の人工の循環を含めた大きな意味での水循環の中で、河川とその水質を考え、改善を図っていくことが重要であり、かつ最もその効果があるものと考えております。特に内川、土居川の水質浄化につきましては、その河川部分だけを考えるのではなく、その流域全体をとらまえることが必要であります。お堀の水源の枯渇により水質の悪化が見られる仁徳陵や旧堺港を含めて一体的に水環境改善に取り組む必要があると考えております。私は、内川、土居川と、これに連なる仁徳陵に豊かな水を復活させ、都心部に市民が親しめる水と緑豊かな水辺空間を創造してまいりたいと考えております。このため本市といたしましては、広く専門的知識を有する学識経験者、各種団体、行政関係者等からなる堺市河川等水環境改善推進会議を新たに設置する予定であります。この推進会議の考え等を幅広くいろいろな考えをお聞きいたしまして、具体的な水環境の改善対策について、総合的な分析評価を行いながら、世界民族芸能祭までの短期的な施策、それ以降の中長期的な施策に分けて、今後の河川等の水環境の改善方針を策定いたしてまいる考えであります。そして、ソフト・ハードにわたる具体の水質浄化対策について、市民、企業等と一体になって取り組んでまいりたいと考えております。

 また、本年度は、南宗寺横上流部の導水管口からの汚濁源の流入の切りかえ工事を実施いたしますが、これによりまして、内川、土居川の汚濁負荷が低減され、水質浄化に大きく寄与するものと考えております。

 その他のご質問につきましては、関係局長から答弁を申し上げます。


◎市長公室長(澤田修三君) 地方分権推進委員会の、このたび出されました第二次勧告についての評価についてお答えをいたしたいと思います。
 この勧告では、昨年12月の第一次勧告に引き続きまして、地方公共団体が執行している事務の多くを占めます機関委任事務制度の廃止に伴う事務区分といたしまして、原則自治事務、例外として法定受託事務とすることや、人事組織面での規制を受け、柔軟な対応がとれにくくなっております必置規制の整備合理化が示されたところでございます。また、財政関係につきましても、国庫補助負担金の整理合理化、存続する国庫補助負担金に係る運用関与の改革とともに、地方税、地方交付税等の地方一般財源の充実・確保によりまして、地方公共団体の自主性、自立性を高める方向が示されておりまして、その意義は大変大きいものと考えております。

 しかしながら、議員ご指摘のように、地方公共団体にとりましての大きな課題であります国と地方の税源の配分につきましては、この勧告では、中長期的には地方税の充実・確保を図っていくことが必要というように、総論として触れられておりますが、具体的な内容が示されておりません。その点では不十分さが残るものと考えております。しかし、一定の規模、組織等を有します市町村への事務移譲が明記されてましたことは、我々中核市連絡会としてこれまで強く要望をしてきたところでございまして、この点では高く評価をいたしておるところでございます。

 また、地方分権推進委員会では、本年9月末をめどといたしまして、第四次勧告が出される予定でございますが、この内容は、市町村の規模等に応じまして権限の移譲について取りまとめられる予定でございます。現在、具体的な事務権限の洗い出し作業が進められていると仄聞しておりましたので、今後の検討に大いなる期待を寄せているところでございます。

 それから次に、どのように地方分権を実現していくのかという、その考え方につきましてご答弁を申し上げます。
 今後の国における地方分権の流れを見てみますと、本年9月末の第四次勧告の後、来年6月ごろをめどに、政府において地方分権推進計画が策定されまして、その後、各省庁が法令改正や通達等の見直し作業に入ることとされているようであります。ご承知のように、この地方分権推進法は5年間の時限立法でございまして、最終的には平成12年7月に執行いたします。先取り実施されるものや、施行日がいつになるかといった不明な点もございますが、その時点で新たな地方制度がスタートすることになると想定をしているところでございます。議員のご指摘にあります21世紀の展望した堺市のビジョンや、さらにそれをどう実現していくかといった具体的なプランといったものの必要性につきましては、十分我々認識をいたしておるところでございます。従来、本市は地方分権、住民自治の推進をめざしておりまして、この観点からも中核市制度を積極的に評価いたしまして、中核市への第1号移行を果たしたところでもございます。したがいまして、中核市制度の充実のために、17市で構成しております中核市連絡会としての中央分権推進委員会に対しまして、さらなる事務移譲を求めていきたいと考えております。こういった一連の具体の活動が地方分権の実践であり、議員ご指摘の地方主権の獲得につながるものではないかと考えております。

 ところで、地方分権推進法の執行いたします平成12年といいますのは、堺市にとりましては、第三次総合計画にかわる新しい基本構想を立てる時期でもございます。今日、我が国を取り巻く社会経済環境は非常に厳しい状況にあり、人々の価値観が多様化している中、21世紀に向けた堺の進むべき道はどうあるべきか、どうすれば本市の独自性、個性あふれた魅力あるまちづくりが構築されるか、これまで以上に市民参加のもとでの基本構想の策定が求められていると考えております。その意味におきまして、地域のことは地方が決定し、責任を持って実行するという地方分権の大きな動きは、本来、本市の求めているところでありまして、このことを基本に据えなければ、将来を展望した個性ある堺のまちづくりは実現し得ないと考えております。このことから、中核市のリーダーとして、他市をリードするという意気込みのもとに市民の生活基盤をもとに置いた上での21世紀の堺市の都市戦略、既存の考え方にとらわれることなく、構想の策定趣旨等も含め、市民とともに英知を結集いたしまして構築してまいりたいと考えております。以上。


◎財政局長(中村楠美君) 財政の健全化目標をいかに具体化し、その目標を達成していくかということでありますが、既にご答弁を申し上げておりますとおり、平成8年度の決算は、単年度収支が4年連続をいたしまして赤字となり、財政構造を示す経常収支比率は98.5%と前年よりさらに1.7ポイント悪化し、非常に厳しい状況にあることはご指摘のとおりであります。こうした状況を打開し、その健全化策を図るために財政健全化計画を策定をいたしました。今後、おおむね5カ年で目標として財政運営の基本原則である単年度収支の均衡を図ることをおおむね基本目標に、平成14年度をめどにいたしまして、経常収支比率を80%台をめざすとしたところであり、また、この目標を達成するために、5カ年間で必要な見直し額を算定をし、確保するための健全化策につきまして、10項目に集約をしたところであります。

 次に、各項目の具体的な財政健全化策の推進についてでありますが、まず、所管部局におきまして、財政健全化策の方針を基本にいたしまして、見直し具体策を作成するとともに、総務・財政両局と調整を行いまして、全体計画として整理・集約を行ってまいりたい考え方であります。次に、具体策の実施にあたりましては、健全化計画で示しました5カ年の削減目標に基づきまして、その目標達成のために、毎年度の実施レベルでの目標と成果を明らかにしてまいりたい考えでおります。特に予算編成におきましては、見直しの具体策を実現するために予算に反映をさせてまいる考え方であります。あわせまして、毎年度の成果を達成状況あるいはまた見直しの進捗状況を評価・分析をいたしまして、その後の対策も間断なく見きわめをいたしながら、目標の達成に向けまして最大限の努力をいたしてまいりたいと考えております。

 次に、施策事業見直しについての考え方でありますが、かねてより行財政見直し実施計画に基づきまして、積極的な取り組みを進めてきたところでありますが、現下の厳しい財政状況のもと、再度この時期に施策事業の総点検を抜本的見直しを行うことが必要であります。特にこのことにつきましては、積極的に取り組んでいかなければならないのは当然であります。とりわけ、市単独事業につきましては、過去の経済成長の右肩上がりで、税収等歳入の伸びが高い時代に事業着手いたしましたが、現在の情勢下におきまして、なお同じ手法で継続すべきかといえば、当然、ゼロベースの視点で見直さなければならないのは当然であります。施策事業の総点検にあたりましては、まず、事業の目的、手法、成果の達成状況など現状把握を十二分に行いまして、次の4点を見直し基準といたしまして点検評価を行い、施策事業の廃止、縮小、代替施策への転換、方法手段の変更など抜本的な見直しを図ってまいらなければならないわけであります。

 まず第1点目は、本市の財政事情を含む社会経済情勢や環境の変化など、時代の変化に対応しているかどうか。また、事業の必要性や効果を再確認することであります。2点目は、現在的な民間との役割分担のあり方を踏まえまして、市が関与するのが妥当かどうか、また関与のあり方の点検であります。3点目は、サービスを受ける市民とそれ以外の市民に著しい不公正さがないか否か、あわせて民間や他市のサービス状況に比較をいたしまして、不均衡が生じていないかどうかなどなどサービスの対象範囲に問題はないかであります。4点目は、費用効果の視点から事業の手法が妥当かどうかであります。以上の4点に加えまして、現在進められております国の財政改革や府の財政健全化策に基づきまして、各種制度の改革の動向も注視しながら、施策事業の見直しを進めてまいりたいと考えております。以上。


◎経済局長(富岡光夫君) 本市の中小製造業におきましては、議員ご指摘のとおり、一部の機械金属関連産業では回復の兆しが見られるものの、全般的には依然厳しい経営環境に置かれていると認識しております。また、本市産業におきまして大きなウエートを占めております中小製造業の振興というのは、本市の経済発展にとっても不可欠であります。本市の中小製造業が国際経済競争に勝ち抜くには、独自の商品や技術を持つ企業になることが必要で、そのためには、研究開発力の強化や新市場の開拓が課題であることから、人材育成のための研修事業や新分野進出においての情報提供事業、そして各種開拓事業に取り組んできたところでございます。また、近年の開業率の低下に対応するため、本年4月から創業者に対する新規融資制度を創設いたしました。

 ご質問いただきましたように、本年6月に施行されました特定産業集積活性化法につきましては、昨年、情報を入手して以来、同法による基盤的技術産業集積地域の指定を受けるべく、大阪府や通産省と協議してまいりました。幸いにして近日中に地域指定がなされると聞いておりますので、決定次第、貸し工場事業を初めとしたベンチャー企業支援策の具体化に向けまして、関係機関と積極的に協議する予定でございます。今後とも従来の施策とあわせまして、国の制度を積極的に活用しまして、中小企業振興に一層の取り組みを行ってまいります。以上。


◎環境保健局長(伊藤武君) 医療監視についてご答弁申し上げます。
 本年4月、保健所機能を強化すべく、衛生部の機構を見直しまして、医療監視を初めとする医務関係業務につきまして、従来、各保健所間で生じておりました指導基準のばらつきをなくし、一貫性のある指導を行い、かつ、より専門的な知識を習得し、監視業務の機能強化・充実を図るべく、堺保健所へその業務を集中し、執行しているところでございます。

 お尋ねの安田系列病院の事件を契機とした医療監視の見直しと改善についてでありますが、大阪府医療対策課を初め大阪府広域保健所、大阪市、東大阪市及び本市によります連絡会議を発足させ、医療監視要綱に基づく調査手法の見直し、チェック体制の再検討など医療監視の見直しを検討しているところでございます。本市におきましては、特に医療従事者の確認につきまして、従来の関係帳票に加え、社会保険料支払い関係や住民税の徴収税額通知書など公的な関係書類等とも照合を行うなど、検査内容の充実を図るとともに、医療監視の事前通告時期を大幅に短縮し、現在実施しているところであります。今後につきましても、大阪府医療対策課や関係機関と連携を図りながら、適正な医療を提供する体制の確保のため、本市として、より一層努力をしてまいりたいと考えております。

 引き続きまして、臍帯血移植治療についてご答弁申し上げます。
 本市におきましては、特定疾患の方に対しまして、見舞金の支給や小児慢性特定疾患治療研究事業の実施のほか、保健指導面からも支援しているところであります。ご指摘の臍帯血移植の治療法が確立され普及することは、小児白血病などの患者の方にとりまして朗報であるとともに、ドナーへの外科的負担が少ないことから、従来からの骨髄バンクのドナー不足を補う方策として注目されるところであります。現在、国におきまして、臍帯血移植治療は研究段階であり、医療保険の適用や臍帯血バンクの設立については、いましばらくの時間を要すると聞き及んでおります。国が本治療の有効性を認め、普及のための体制整備を進めることにつきましては、待ち望まれるところであります。本市といたしましても、国の動きを見守るとともに、今後、骨髄バンクと同様、臍帯血提供者の確保のための協力や市立堺病院において医療面での対応のため、積極的に研究・検討してまいりたいと考えております。以上でございます。


◎教育次長(高橋一徳君) 教育改革についてご答弁申し上げます。
 文部省は、この8月に教育改革のプログラムを改定いたしました。教育にかかわる規制緩和等がより一層明確に示されたところでございます。こういう国の改革の動きを踏まえながら、本市におきましても、議員がご指摘のように、近い将来を見据えて幾つか解決すべき教育課題がございます。そのうち5点を重点課題として取り組みたいと考えているところでございます。1点目は、幼稚園の3年保育に対する問題でございます。2点目は、市立高等学校の教育改革の問題でございます。3点目が、養護学校、養護教育を初めとする障害児教育の問題でございます。4点目に、教育の信頼回復を重点目標にあげておりまして、それをめざした市立学校園の特色ある学校づくりでございます。5点目が、2003年の学校週5日制の完全実施に向けた取り組みの問題でございます。完全学校週5日制がスムーズに移行し、実施できるように、ハード・ソフト両面からの準備時期が急がれているところでございます。これからの教育課題を検討する際には、常に人権教育の視点を十分に踏まえながら、弱者に配慮した政策づくりをしてまいりたいと考えているところでございます。

 いずれにいたしましても、本市教育の基本的な課題を踏まえ、幼・小・中・高等学校及び養護学校におけるこれからの教育のあり方について、総合的な視点から早急に取りまとめていく必要があると考えております。そのために、現在、政令市並びに中核市等を中心に教育課題にかかわる調査を実施しているところでございます。さらに広く専門的な立場からの意見を拝聴する場を設けたり、教育委員会内部の関係課によるプロジェクトチームをつくりながら、21世紀を目前に控えた今、私ども本市の教育行政にかかわる者として、21世紀を生きる子どもたちが生き生きと個性豊かに、かつ国際性豊かに育ってくれることを念願し、政策立案に検討を加えていきたいと思っているところでございます。

 なお、養護教育における本市の基本的な方針についてでございますが、本市の養護教育の課題といたしましては、知的障害児の高等部への就学及び百舌鳥養護学校の過密の解消を図ることが急務になってございます。まず、本市の中学校及び百舌鳥養護学校中学部に在籍する知的障害生徒の卒業後の進路先については、大阪府が泉北地区に高等部の精神薄弱養護学校の開設を検討していると聞いております。このことにより、養護学校高等部の就学状況の改善が図られるものと思われます。今後、検討結果に基づいて高等部の精神薄弱養護学校の開設にあたりましては、生徒の社会的自立を促す指導が一層効果的に展開されるとともに、適正な就学指導が行われるように、強く府教育委員会に要望していきたいと思ってございます。

 百舌鳥養護学校につきましては、平成5年度より学級の編制基準が6名に引き下げられたことや、児童・生徒の障害の重度化に伴い、3名定数の重複学級の増加によって、教室の不足が生じて、特別教室を転用しながら対応している現状もございます。本市の百舌鳥養護学校は、小・中学校との連携、交流の推進に努めるとともに、本市養護教育の中核として、その機能の充実が望まれているところでもございます。したがいまして、今後、本市養護教育にかかわる諸課題の解決及び養護教育基本方針、その具体的な施策につきましては、本年度養護教育検討委員会を設置しながら協議をしていただく予定になってございます。




◆5番(吉川敏文君) 議長。


○副議長(安井英司君) 5番吉川敏文議員。


◆5番(吉川敏文君) ただいま種々ご答弁いただきました。まず、地方分権の推進についてでございますが、堺市は、中核市の中でもトップを切って新たな分権の形をつくり上げていく使命があると感じております。政令市をめざすにしろ、その政令市は既にでき上がっている一つの地方行政形態であり、当市はそれを越えるくらいの新たな地方行政のあり方を示すべきであると思うわけでございます。また、当市は南大阪、泉州の中心との観点も、これは忘れてはならないと思うわけでございます。第二次勧告で言う合併という単純な方策だけではなくて、広域行政ネットワークのかなめとしての働きも重要であると考えるわけでございます。さらに、近い将来分権が実現し、得られた権限と予算で市民の皆様に本当に喜んでいただける施策・事業を展開していく、その実行主体はあくまでも当市職員の皆様であることも頭に置かなければならない点でございます。こうしたことを考え合わせて、これまでの取り組みと今後の当局のより具体的な取り組みをお示し願いたいと思います。


 次に、行財政の見直しでございますが、財政健全化への5カ年の目標を掲げ、新たな手法も加えていただいて、ご努力いただけることは大いに評価し、期待申し上げるところでございます。これには、担当部局の積極的な取り組みを要望するところでございます。しかし、今後こうした短期的な取り組みに加えて、中長期的な視野に立って市行政のあるべき姿を徹底して議論する必要も感じるわけでございます。でなければ、大局的な判断を誤るのではないかと憂慮するものでございます。そのためには、担当部局も加わった中で、全庁的な議論の場を設定いただくことが重要になると考えます。そして、日常的にローリングを重ねる中で、職員の意識向上に努めるとともに、その責任も明確にしていただく。そうした仕組みづくりをぜひとも考えていただきたいことを要望いたします。

 人間を幸福にしない日本というシステムの著者であるカレルヴァン・ウォルフレン氏は、日本の行政機関のアカウンタビリティーの欠落を指摘しております。財政健全化への取り組みに対し、そのプロセスも広く市民の皆様に公開し、課題を共有することへの配慮も忘れずに目標達成へのご努力を強く要望し、この質問は終わりたいと思います。


 次に、中小企業支援策についてでございますが、政府が経済構造改革の一環として制定した特定産業集積活性化法に関する我が党の勉強会におきましても、この法律による基盤的技術産業集積地域の指定を受けると、ベンチャー企業の育成などのために、地域振興整備公団が当該地方自治体の要請により事業ができるなど、指定地域にとって大きなメリットがあると伺ったわけでございます。ご答弁にもございましたが、ハード的なめどがついたならば、市が行うソフト面での支援策が重要になるわけでございまして、技術のトレンドをしっかりと掌握した上で、どのような基盤的技術を育成し、支援するのか。市域産業に付加価値を生み出すためには、どのような開発が必要なのかといった検討や絞り込みも必要であると考えます。そして、それを踏まえた上で国の施策は当然積極的に取り組み、独自性のある中小企業振興を行っていただきたいことを強く要望し、この質問を終わります。


 次に、医療監視についてでございますが、ご答弁いただいたように、監視内容に工夫もしていただいているわけでございますが、調査手法の見直し、チェック体制の再検討、これは早急に進めていただきたいと思います。加えて衛生面も含めて患者の皆様が気持ちよく治療を受けられるような病院内の環境改善もしっかりと指導していただくことを強く要望し、この質問は終わります。


 次に、臍帯血移植治療でございますが、その効果は、先ほども種々述べたところでございます。既に日本では多くの医療機関が研究的に臍帯血バンクに動き出し、その中には札幌病院のように市立の病院もあるわけでございます。そういった意味から、中核市堺の中心的病院である堺病院でも、ぜひ積極的な取り組みを要望いたします。そして、堺市民はもとより、重病に苦しむ周辺市の皆様からも頼られる病院として積極的な運営をしていただきたいことを重ねて要望し、この質問は終わります。


 次に、河川浄化でございます。先ほど市長から、河川等の水環境の改善に向けての取り組みについて、並々ならぬ決意をお聞きいたしました。どうかぜひとも、堺市域全河川についても調査・研究していただくとともに、特に民族芸能祭を契機に一層の水環境の改善に取り組んでいただき、水と緑豊かなまち堺の実現をぜひ図っていただくようお願いいたしまして、この質問は終わります。


 最後に、教育改革についてでございますが、今お答えいただいた5点の課題は私も本市にとって大変重要な課題であると思います。それだけに、広く意見をお聞きし、慎重に取り組むことは当然のことでございます。しかし、これは現在の子どもたちを取り巻く環境、また、あと5年後に実施される完全週5日制を考えたとき、今からでも取り組んでいかなくてはならないと思うわけでございます。そういう意味では、来年度からでもプロジェクトをスタートできるように準備を進めていただきたいと思います。また、教育改革を考えていく方向性として、1つ1つを独立させて考えるのではなく、トータル的視野の中でそれぞれの特性を生かすよう配慮をお願いしたいと思います。そして、全国に先駆けて堺版教育改革プログラムを策定していただけるよう要望しておきます。

 また、養護教育についてでございますが、さまざまな課題を抱えていることは我々も十分理解をしております。先日も我が会派の政策委員で百舌鳥養護学校とその分校を視察してまいりました。現場では懸命に養護教育にあたっていただいている姿をつぶさに見させていただき、その課題解決は急を要すると感じたわけでございます。そこで、要望いたしますが、40年の歴史を誇る市立の養護学校として、特色ある養護教育を全国に先駆けて取り組んでいただきたい。さらに、その環境整備に努めるとともに、各養護教室との連携を深め、センター的機能を強化していただきたい。また、市域を南北2ブロックで小・中・高の受け皿を府立泉北、和泉養護と連携する中で整備していただきたいことを強く要望いたしまして、私の質問は終わります。




◎市長公室長(澤田修三君) 本市は昨年4月に地方分権推進法に先駆けまして、地方分権推進の第一歩として創設をされました中核市に移行をいたしました。中核市には地方分権推進の基地としての役割が内外から期待をされておりまして、積極的に地方分権の推進に取り組んでおるところでございます。

 まず、昨年5月に全国の中核市の市長によりまして中核市連絡会を結成いたしました。本市は連絡会結成以来、会長職を仰せつかっておるところでございます。地方分権の推進と中核市制度の充実のために、地方分権推進委員会の第一次の勧告に合わせまして、昨年11月に、中核市にとってぜひとも必要な国・府県道の管理権限等10項目にわたりまして地方分権推進委員会に要望を行ってまいったところでございます。また、ことしの4月には、分権型社会に相ふさわしい地方税財源の充実・確保の観点から、地方分権推進委員会の第二次の勧告に照準を合わせまして、中核市の税財源の拡充を中心といたしました意見書を地方分権推進委員会に提出をいたしたところでございます。

 さらに、今月末に予定をされております第四次の勧告におきまして、都市規模に応じた事務権限の移譲につきまして勧告されるという条項を踏まえまして、去る8月には中核市のまちづくりに必要不可欠な28項目の権限移譲につきまして、地方分権推進委員会に対して意見書を提出してきたところでございます。

 このように地方分権推進委員会を中心といたします国における地方分権に対する動きに対しまして、全国市長会と相連携を図りながら、中核市の意見が反映されるよう取り組みを行っているところでございます。

 一方、大阪府におきましては、今年度から大阪版地方分権推進制度が創設されました。これは大阪府にある事務権限を市町村の申し出に応じて事務委任という形で市町村に移譲しようとするものでございまして、本市といたしましても、住民サービスの向上やまちづくりの推進の観点から、積極的にこの制度を取り組んでまいりたいと考えております。

 また、地方分権の推進にあたりましては、国等に対しまして働きかけるだけではなく、市民の地方分権に対する意識の醸成が必要なことであります。その必要性等につきましては、中核市共通認識のもとに、今年度の中核市連絡会の事業といたしまして、広く市民にPRするためのパンフレットを作成することといたしておりまして、全国レベルで中核市相寄りまして取り組んでいこうという試みをいたしたいと思います。

 さらに、議員ご指摘のように、職員の分権意識の醸成が必要なことは言うまでもありません。中核市への移行によりまして移譲された事務を処理していく中で、自立した行政運営とまちづくりにつきまして、自覚が確実に職員の間に育成されてきていると考えておりますが、特に分権の必要性とともに、行政自身の努力も欠かせないといった点について、今後とも研修や大阪版地方分権制度の積極的な活用の中で意識の醸成を図ってまいりたいと考えております。

 さきにご答弁申し上げましたように、最終的には平成12年7月に地方分権推進法が執行いたしまして、新たな地方制度がスタートすることになると想定をされます。本市といたしましては、市民福祉のさらなる向上に向けて、地方分権・住民自治の推進が不可欠なことという考え方から、今後とも国の動きに合わせるだけでなく、堺らしい取り組みを通じまして、地方分権の推進の先導的役割を果たしてまいりたいと考えております。

 最後に、議員おっしゃるように、今後の分権型社会の中で中核市は文字どおり地域の中核都市として周辺市町村をリードする広域の役割をあわせ持っておるところでございます。南大阪地域における中核都市としての役割等につきまして、今後研究を進めてまいりたいというふうに考えております。以上。

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