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2000年第 2回定例会02月29日

◆6番(吉川敏文君)(登壇) 公明党の吉川敏文でございます。私は今定例会に上程されました議案に対し、公明党堺市議会議員団を代表いたしまして大綱質疑を行います。理事者各位には簡潔かつ明瞭なご答弁を期待いたします。

 今世紀も残すところ、あと307日となりました。私たちは20世紀のさまざまな成功と失敗の歴史の中から、時代を開く教訓を酌み取り、迎えるべき新世紀を平和と希望あふれる時代にしなければならない。それは現代に生きる人間の責務であると思うわけでございます。猛烈な勢いで進むグローバリゼーションの波の中で起こるアイデンティティ・クライシス、自己同一性認識の危機、特に伝統的なものをいとも簡単に切り捨てることによって後発の近代国家として世界市場まれな成功をおさめたきたことの代償として、現今の日本人のアイデンティティ・クライシスはより深刻であるわけでございます。そのことに対する問題解決、すなわちそれを克服する世界観の再考と世界市民の育成が最も重要であると考えるものであります。それこそが昨今のように、グローバルエコノミーの側面だけが肥大化する中で、山積する地球的問題群に対する新たな地球文明の礎と発展していくことを確信するものであります。

 今回の大綱質疑では、こうした視野に思いを寄せながら、本市の大いなる飛躍に向けた21世紀に向けての新たなる挑戦への姿勢を7項目の質問として問いかけてまいりたいと思います。さらに、その新たなる挑戦の意思を明確にしていただくことは当然として、当市行政の推進形態について細分化された既存事業に合わせた縦割りの運営体制や単体のプロジェクトを常に肯定するのではなく、ダイナミックかつドラスティックな政策の企画立案とその実現を可能ならしめる機能推進体制の整備を議論してまいりたいと思います。


 まず初めに、地方分権推進一括法の施行に対する当市の対応について質問いたします。

 本年4月、地方分権一括推進法が施行され、今定例会にも同法の施行に伴う数件の条例案が提案されております。同法は機関委任事務制度の廃止を初め、国の関与等の見直し、権限移譲の推進、必置規制の見直しなどを行うものであり、新しい地方制度がスタートするものと基本的には評価をしております。しかしながら、このたびの改正で国と地方公共団体が対等協力の関係になり、真に個性豊かで活力に満ちた地域社会を実現するには、まだまだ課題が残されていると認識するものであります。そのためには、さらなる事務権限の再配分と地方税財源の充実確保が必要と思われます。特に地方の税財源の充実に関しては、国会での法案審議の過程において種々議論された結果、同法の附則において地方税財源の充実について検討し、必要な措置を講ずる旨の条項が追加されたところでありますが、具体的なタイムスケジュールが明らかになっているわけではありません。したがって、このたびの分権一括法は地方分権の終着駅ではなく、いまだ第一歩ととらえるべきと思います。

 そこでお伺いいたしますが、今後さらなる権限移譲や地方税財源の充実に向けて、国において速やかに検討され、抜本的な措置が講じられるとともに、本年7月2日の地方分権推進法の執行後の地方分権の推進体制について継続的な取り組みがなされることを期待するものですが、当市の考えはいかがなものかお答えください。一方、当市としては今回の改革を市民サービスにどう生かしていくのかという点が重要であると考えます。機関委任事務制度の廃止や関与の縮減などの見直しにより、市の行政手続面での自主的・自律的な行政運営が可能になるなどのメリットは期待できますが、あくまでも行政相互間の問題であり、市民にとって直接的なメリットにはつながりにくいと言わざるを得ません。最も重要なことは、本市において今回の改正を、住民サービスの向上や魅力的なまちづくりにどのように生かしていくのかという点であると考えますが、基本的なお考えをお示し願いたいと思います。

 また、当市の市民サービスと市政発展の最大のインパクトとなる政令指定都市への調整に対して、既に昨日、加藤議員の本会議でも質疑がございましたので、これは重複する部分は割愛いたしますが、そのご答弁には、平成17年を念頭に政令指定都市への取り組みを全力で行っていくとございました。地方分権の動きの中で自立した自治体の建設、再構築は国の大きな意思であり、政令市をめざす当市にとってそれは大きな追い風であると思われます。推進法に広域行政の推進や合併に対する法的優遇がうたわれていることや、国の要請に基づいて府県が市町村合併推進についての要綱を策定しつつあることも見逃せない点でございます。

 そこで改めてお伺いいたします。政令指定都市移行をめざす理由、メリットをどうとらえているのか。また、その実現には市民の皆様の応援をいただかないといけないわけでございますが、その機運を醸成する具体的な方策をどのように考えておられるのか、府の市町村合併推進についての要綱策定に対する対応はどう考えているのか、ご見解をお示し願いたいと思います。


 続きまして行財政改革について質問いたします。
 本格的な少子・高齢社会の到来、環境問題への意識の高まりの中で行政需要は複雑多岐にわたり、多様な行政サービスの提供は避けて通れない状況となっております。厳しい財政状況にあっても市民福祉の向上は自治体の責務であり、市民ニーズに可能な限りこたえていかなくてはなりません。反面、現在の社会の枠組みや行政の枠組みが時代に即さなくなって閉塞状況に陥っているとの指摘もございます。これまでは市民生活に必要なサービスの提供は行政の責任領域として認識されておりましたが、価値観や生活様式が多様化している現在では、私益性の高い行政サービスなどの展開には、施策の優先順位と行政の活動領域を明確にした上で施策の選択を市民に求めていく必要があると思います。そのためには施策の成否決定のプロセスでその必要性、目標値、行政効果などの情報を公開し、事後には達成率や効果を評価し、報告する仕組みが必要であると考えます。

 一方、今まで官の分野とされてまいりました、まちづくりや震災対策、福祉サービス等にその担い手として市民が参画するようになり、規制緩和の推進と特定非営利活動促進法すなわちNPO法の施行により、民間団体、企業が事業の実施主体として参画することも見込まれております。今後の行政サービスの提供にあたっては、官としての責任を全うしつつ、市民、団体、企業などの民間活力を活用する新たな仕組みづくりが要求されます。また、市民参画を促進する上で情報の共有が不可欠であり、その仕組みづくりも重要な課題であると思います。こうした1、市民参加、2、説明責任、3、情報公開の3点を行政システムに組み込み、総合的な推進体制をとる新たな行政改革の取り組みが必要であると思います。そうした観点で本市におきましては、平成10年12月に新堺市行財政見直し実施計画を策定され、本年1月には堺市アウトソーシング推進計画を策定しておられます。

 そこでお尋ねいたします。平成10年度からの5カ年計画である新堺市行財政見直し実施計画は、平成12年度が計画期間の中間年度にあたります。中間的総括として計画策定後の進捗状況と平成12年度の主な取り組み内容についてお示しください。また、実施計画策定時に財政収支試算を示されておりますが、平成11年度の決算見込み及び平成12年度以降の収支見込みの試算はどのように考えておられるのか、あわせてお聞きします。さらに、アウトソーシングは行政の事務・事業の効率化、簡素化を促進する上で有効な手段であり、その効果について私どもは注目をしております。そこで、本計画の推進について基本的にどのようなお考えであり、今後どのように進めていかれるのか、お示し願いたいと思います。


 次に、IT革命における行政の対応について質問をいたします。
 先ほども行財政改革を推進するということについて質問をいたしましたけれども、一方で同時に行うべき課題は21世紀に向けた新たな行政形態の推進である、再構築であると考えます。そして、その推進力になる一つの手段としてIT革命、情報技術革命の波を的確にとらえ、それを活用することにあると初めに申し上げておきたいと思います。ここ数年のデジタル技術とネットワーク技術の進展は世界各国の規制緩和政策や情報ハイウェイ構想などの国際的な潮流と呼応し、我が国に高度情報通信社会を実現することは論を待たないところでございます。それは近い将来、従来の電話、テレビのサービスに加えて、パーソナルでかつグローバルになったコンピューターネットワークとの多様な組み合わせによる統合的なサービスの利用可能な環境が整備されていくものと考えられるわけでございます。

 このような状況の中、今後、住民の日常生活においても情報通信技術が密接に関係し、また、住民の行政サービス向上に対する要請もますます高度化・多様化することが予想されるとともに、地方の行政改革や地方分権が強く求められている状況も踏まえ、地方公共団体においては、こうした社会変化に適宜適切に対応する必要があると感じるところであります。

 自治省から平成2年1月、地方公共団体における地域の情報化の推進に関する指針が示され、さらに平成9年7月には高度情報通信社会に対応した地域の情報化の推進に関する指針が通知されたところであります。一方中央では、縦割りの省庁の仕組みでは対応できない問題について、既存の省庁の枠組みにとらわれない新たな推進体制を整備するため、内閣総理大臣直轄の省庁連携タスク・フォースとして、平成10年12月11日にバーチャル・エージェンシーを発足し、自動車保有関係手続のワンストップサービスプロジェクト、政府調達手続の電子化プロジェクト、行政事務のペーパーレス化プロジェクト、教育の情報化プロジェクトという4つの課題に取り組んでおります。そして、高度情報通信社会推進本部が目的、目標、具体的な方策、実施にあたっての課題、スケジュール、推進体制を明確にし、具現化する動きを行っているわけであります。特に教育の情報化プロジェクトはミレニアムプロジェクトに反映され、将来の日本教育に大きな改革をもたらすものと期待されるわけであります。

 当市では庁内LANの推進や小・中学校へのパソコンの導入、インターネットへの接続など、一部情報化への対応が見え始めておりますが、それぞれが単体として機能するだけではその広がりはおのずと制約されていくものであります。そこで来るべき21世紀に向け、高度情報通信社会に対応した政策をどのように展開するのか、その全体構想をどのように持っておられるのか、お答えをいただきたいと思います。


 次に、国際化への取り組みについて質問いたします。
 冒頭に申し上げましたように、経済的側面におけるグローバリゼーションの動きは全世界を巻き込みながら猛烈な勢いで進行をしております。それは後世にさまざまな課題を残しているわけでございますが、いま一度、国際化とは当市行政がなすべきことは何かを問い直す必要があるのではないかと思います。当市では、平成6年に堺市国際化基本指針を策定いただき、国際化施策推進の目標と基本方向を示していただきました。その内容は十分に評価できるものと思います。しかし、基本方針策定よりほぼ6年を経過した今、具体的施策がどれだけ推進できたかをまず評価すべきだと思います。その上で新たな世紀に向けての施策展開を積極的に展開すべきであると考えますが、当局の基本的な考え方をお答えいただきたいと思います。

 次に、男女共同参画社会への取り組みについて質問いたします。これは今まで多くの女性先輩議員が質問をされてまいりましたが、私、男性としてこの男女共同参画社会について思うところを質問したいと思います。

 この2月、全国初の女性知事がここ大阪に誕生いたしました。また、女性起業家や地域での女性の活躍もふえつつあり、21世紀は女性の時代を予感されるものと感じるわけであります。昨年の6月、社会の制度や慣行によって男女の区別をしないように配慮することなどが基本理念として盛り込まれた男女共同参画社会基本法が制定されました。男女共同参画社会の実現を推進する上では、この根拠法の制定が大きな推進力になるものであります。男は仕事、女は家庭という性別役割分担にとらわれず、職場で学校で地域で家庭でそれぞれの個性と能力を発揮できる社会づくりこそが男女共同参画社会であると言われております。確かにこれからは女性も男性もともに能力を発揮し、ともに活力ある社会の実現に向かって協力していくことが大切であると思います。しかし、その社会の実現のために基本法の理念ではなく、法律の存在だけを声高に叫んで推進しているだけでは大きな壁にぶち当たるではないかと感じるものであります。

 例えばジェンダー、すなわち社会的・文化的につくられた男女の性差をセックスと混同してしまうことを一方的に排除することに対し戸惑いを感じる部分もあるのではないでしょうか。ジェンダーはこれまでの歴史の中で形成されてきた人間社会から生まれたものであり、そこから出た言動、その背景にある本質を見つめることなく排除する。そうした誤解が逆に基本法の理念を狭めることになりはしないかと感じるわけであります。また、基本法や「さかい女性プラン」の中にもうたわれている政策立案決定の場にもっと女性の登用、そして審議会の女性委員の割合を40%や30%などという数値で記載されていることについて、その数値が目的化されることでは、真に男女共同参画社会の実現は難しくなるのではないかと考えます。社会の仕組みを変える上での数値目標は重要であります。しかし、その数値がすべての評価の尺度ではない、目的ではないと思うのですが、いかがでしょうか。まず初めに、人としていかに生きるべきか、人生をどう考えるのか、幸せとは何なのかといった、いわば哲学的な原点があり、それを男女ともに考えられる土壌づくりから始めるべきではないかと思うものであります。

 そこでお尋ねいたします。堺市は全国でいち早く男女共同参画宣言都市として名乗りを上げたと伺っております。しかし、ここ数年、越えがたい壁に直面しているのではないかと実感するものですが、現状に対しての当局の見解をお伺いいたします。また、現在人権局の女性政策課が先頭に立って啓発・セミナー・広報等さまざまな取り組みをしておられますが、時として女性だけの運動論に陥ってないかと懸念する部分もあります。それはなぜでしょうか。さらに、真に男女共同参画社会を実現するために今後当市として有効かつ重点的に取り組まれる施策について、その基本的な考えをお示し願いたいと思います。


 次に、教育改革についてお伺いいたします。
 ここ数年、トレンドのように文部省を初め各都道府県で教育改革が叫ばれております。本市でも1月31日付で堺市教育改革審議会が21世紀に向けた堺市教育行政のあり方中間報告をまとめたところでございます。しかし、ともすれば教育改革の目的が見失われ、抽象論の域を越えないという感がいたします。また文部省、府教委、市教委という縦割りの行政の中では抜本的な改革は限界があるのではないかと思います。その意味で、21世紀を目前に控え、教育改革の原点を明確にし、横断的な改革が求められるところであります。教育の目的は人格、人間形成であります。改革にあたってはどのような人間を形成していくのかという目的をはっきりさせねばなりません。新学習指導要領では、みずから学び、考える力、生きる力をはぐくむこと等々の自己実現に重点を置いています。

 次に、そのような人間形成をするための環境をどのようにしていけばよいのか。ここで、子どもを取り巻く環境である社会・家庭・地域・学校のあり方がめざすべき人格形成に適切であるのか問われているわけであります。家庭・地域の教育力の低下が指摘され、知識偏重に陥っている学校のあり方が問われるゆえんであります。さらには生涯学習での初等・中等・高等教育の役割や官のかかわりにも論及されております。今回は予算案でも、あえて「教育改革」との言葉を使われ、その意気込みも感じられるわけでございますが、また、今ちょうど2002年へのターニングポイントを迎えるところであり、確認の意味と新たなる挑戦の姿勢をお聞きします。

 1つ、教育改革の目的は何か。2つ、教育改革を進めていく上での課題は何か。3つ、問題解決へ向けての取り組みはどうするのか。4つ、明年の改革の第一歩とその後の取り組み、以上4点について見解をお示し願いたいと思います。
 最後に、ただいま6項目にわたる質問を行いましたが、これらの内容はすべて現在の縦割り組織をまたがっての行政課題であります。したがって、組織運営形態上の縦割り構造を基本としながらも、それらにとらわれ、制約を受けるような業務推進体制では大きな展望は開けてこないのではないかと懸念いたします。今、時代は意思決定のスピーディーさと正確な判断力、確実な実行力を行政にも求めております。そのためには、強力な権限と人材と財源を持った横割り機能を持つタスク・フォース的な取り組みが必要であると考えます。加えて単体の政策ではなく、長期的展望を持ちながら理念にとどまらない政策研究を深め、その政策を実現していく能力を有する必要もあると考えますが、いかがでしょうか。あわせて当局の見解を伺いたいと思います。

 以上で1回目の質問を終わります。



◎市長(幡谷豪男君)(登壇) 公明党堺市議会議員団代表吉川敏文議員のご質問のうち、地方分権一括法の施行による当市の対応につきましてお答えをいたします。
 このたび制定されました地方分権一括法は、国と地方の関係を上下主従の関係から対等協力の関係に改めることを基本に、機関委任事務制度の廃止や国等の関与の見直しなどを行うものでございまして、関連する条例案を今議会に提案申し上げているところであります。この改正は地方公共団体の自主性、自立性を高めるものと評価をしておりますが、一方では、さらなる権限移譲と地方自主財源の充実確保といった点で課題が残されております。このような点をかんがみますと、今回の地方分権一括法は、議員ご指摘のとおり、地方分権のゴールではなく、あくまでもスタートと位置づけるべきものと考えます。
 長い間続いた上下主従の行政システムを変更し、真の分権型社会の展望を開いていくには、国及び地方における継続的な取り組みが必要であります。この点につきましては、これまでも中核市市長と自治大臣との懇談会の場等におきまして、分権推進法の法期限の延長や基本法制定の必要性につきまして意見を述べてきたところでありますが、今後ともさらに権限の移譲や地方税財源の充実が図られることと、あわせて国における地方分権の推進体制が維持されるよう、中核市連絡会等を通じて働きかけてまいりたいと存じます。
 なお、その他のご質問につきましては、関係局長から答弁を申し上げます。


◎市長公室長(藤森正熹君) 地方分権一括法に係る2つ目のご質問にお答えを申し上げます。
 このたびの地方分権一括法は、国などからのコントロールを縮小し、地方自治体の自主性を高めようとするもので、議員ご指摘のとおり、主に行政相互間の関係を改めるものでありますけれども、住民にとりましても、新たな事務権限の移譲や関与の見直しに伴いまして、これまでに比べ、事務手続が簡素化され、事務処理のスピードアップが図られるなどのメリットがあると考えております。しかしながら、最も重要な点は、実態におきまして、みずから考え、みずから決定できることとなった部分を有効に活用することによりまして、市民のニーズにマッチしたきめ細かなサービスを展開をしたり、堺らしさを工夫することによりまして、個性的なまちづくりを進めることであると考えております。
 本市におきましては、この4月に新しく堺支所と北支所を開設をいたします。地方分権の行き着くところは市民が自治の主体になるということでありまして、支所は市民への分権の第一線を担う総合出先機関と位置づけているところでございます。今後、支所が市民に身近な窓口として区域住民のニーズや区域の特性を十分考慮して、それを施策に反映させることによりまして、市民と行政が手を携えたまちづくりを進めてまいりたいと思います。また、職員の意識改革や政策形成能力を初めとする能力開発の向上を図るとともに、これからの施策展開にあたりましては、市民サービスの向上が図られるよう創意工夫に鋭意努め、このたびの改正が市民福祉の向上に結びつくよう、常に市民の立場に立った行政運営を推進してまいる所存でございます。以上。


◎総務局長(曽我部篤爾君) 行財政改革の進捗状況と平成12年度の主な取り組み項目につきましてお答えを申し上げます。
 新実施計画につきましては、おおむね計画どおり進んでいると認識いたしております。また、その取り組み状況の主なものといたしましては、まず、定員管理、人事管理につきましては、事務・事業の見直し、民間委託の推進、職員配置の見直しなどにより、平成11年4月に実質141名の定員削減を行いました。なお、平成7年度から5カ年の累計では実質431名の削減となっております。また、係長級への昇任試験を実施するとともに、課長級への試験制度につきましても見直しを行っております。

 次に、事務・事業の見直しにつきましては、学校給食調理業務の民間委託の実施、公立保育所の民営化に向けての取り組みなどとともに、本年1月には民間の専門的な技術、知識等の導入による行政運営のより一層の減量化及び効率化の促進と、あわせて組織の簡素合理化を図ることを目的とした堺市アウトソーシング推進計画を策定し、見直しに取り組んでおります。これらの見直しの経費効果といたしまして、単年度ベースで平成10年度には約44億円、平成11年度は当初予算ベースで約40億円の経費効果を見込んでおります。なお、平成7年度から5カ年の累積効果として約370億円の効果を見込んでおります。

 次に、平成12年度実施予定の主なものといたしましては、まず、定員管理及び人事管理につきましては、非常勤職員制度の見直し、人事管理のより一層の適正化を図るための人事評価制度の確立を図ってまいります。また、この4月の定員の見直しにつきましては、定員削減計画どおり、約120名の削減予定となっております。

 次に、組織につきましては、少子・高齢化の進展などの社会情勢の変化や堺・北支所開設に伴う6支所体制完成への対応、保健と福祉の連携、また、総合行政を進める観点からの局制の再編など、より簡素で効率的な組織をめざし、この4月に全庁的な組織改正を実施してまいります。また、政策や事務・事業について数値化した目標を明示するとともに、その達成状況等を市民に公表する総合行政評価システムの導入、環境事業センター業務の見直し、学校用務担当職員の配置の見直し、浅香老人福祉センター及び南老人福祉センターの管理運営委託、支所へのLANの敷設、地図情報システムの構築などに取り組んでまいります。


◎市長公室長(藤森正熹君) 大変失礼いたしました。地方分権一括法の3つ目、4つ目、5つ目のご質問につきましてご答弁を申し上げます。
 まず3つ目でございますが、政令都市をめざす理由、メリットにつきましてお答えを申し上げます。政令指定都市制度は、中核市に比べまして多くの特例が認められた制度でございます。国道、府道の管理などの事務権限の特例や多くの事務で知事の監督を受けなくなる行政監督の特例、また区役所の設置や区ごとに選挙管理委員会を置くなどの組織の特例、さらには軽油引取税が交付されたり、地方交付税の基準財政需要額の算定が異なることなどの財政上の特例などが認められております。これらはいずれも大都市の行財政運営を可能とする特例制度でありますが、また、地方分権が最も進められた形態と言えるものでもございます。本市といたしましては、80万市民福祉の向上に向けては、こういった権限財源が保障された政令指定都市への一日も早い移行が必要不可欠との考えで取り組んでいるところでございます。また、政令指定都市への移行は行政システムの変更にとどまらず、千葉市を初め先例12市が我が国を代表する都市として発展していることを見ますと、議員ご指摘のように、本市の発展に大きなインパクトとなるものと考えられるところでございます。

 続きまして4つ目のご質問でございますが、政令指定都市実現に向けては、議員ご指摘のように、市民の皆さんの支援も重要な要素でありまして、従来からパンフレットその他の作成などPRに努めてきているところでございます。また、市内各種団体により堺市指定都市推進協議会が設立され、諸事業を展開されているところでありまして、運営補助などを通じ、連携した取り組みを行ってまいりました。しかしながら、政令指定都市問題に対し、市民全体の理解をいただくためには、より一層時代に対応した取り組みが必要と考えております。こういったことから、平成12年度予算におきましては、市民サイドのシンポジウムの開催や広域連携の機運を盛り上げることを目的とした広域連携推進事業補助を計上しているところでございます。いずれにいたしましても、今後とも市民と一体になり、政令指定都市への早期実現に向けて全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。

 5つ目のご質問でございますが、大阪府によります合併要綱の策定でございますが、本市の指定都市問題、とりわけ人口問題にとりまして大きく影響する課題であろうと考えております。この要綱では、大阪府の発展を見据えた望ましい市町村のあり方が示されるものでありまして、本市といたしましても、南大阪の拠点的な都市としての発展や地域への貢献、また行政サービスの向上、行財政改革などの視点からも大いに議論を期待するところであり、重大な関心を持っております。大阪府におきましては、意見を聞くための各界代表による懇話会が設置され、また既に住民アンケートが実施中でございます。本市といたしましては、今後大阪府の要綱策定に向けた動向を踏まえながら、時期を失することのないよう、意見を申し上げるなどの的確な対応を図ってまいりたいと思います。以上です。


◎財政局長(礒崎陽輔君) 行財政改革における取り組みのうち平成11年度の決算見込み及び平成12年度以降の収支見込みについてまずお答えを申し上げます。
 平成11年度決算見込みにつきましては、現在まだ最終補正予算案を議会に提出していない段階であり、はっきりとした数値を申し上げることは困難でございます。しかしながら、平成11年度においては、新堺市行財政見直し実施計画等に基づき、行財政改革を強力に推進したことや、地方交付税が大幅に増額されたこと、さらに職員の期末手当の見直しを行ったことなどにより、収支が相当に改善することが予測されております。この結果、平成11年度決算においては、実質収支が引き続き黒字となることに加え、単年度収支につきましても、平成4年度以来7年ぶりに黒字に転ずる見込みであります。また、経常収支比率につきましても、こうした収支状況を踏まえ、4ポイント程度縮減し、95%台になる見通しでございます。

 一方、平成12年度以降の収支見通しにつきましては、ただいま平成12年度予算案をご審議いただいている段階であり、予測を行うことは困難であります。最も基幹的歳入である税収の先行きが全く予断を許さない状況にあり、平成11年度の黒字決算が来年度以降も維持できるかどうか断言することは難しい状況にあります。引き続き財政調整基金の活用、受益者負担の適正化など歳入の確保に努めながら、行財政の見直しを継続し、人件費の縮減、各種コストの見直しなどを進め、収支の均衡を図られるよう努力してまいります。

 次に、堺市アウトソーシング推進計画についてお答えをいたします。
 本市の行財政の見直しにつきましては、新堺市行財政見直し実施計画等により鋭意取り組んでいるところでございます。しかしながら、事務・事業によっては、市みずからが行うよりは、専門的な技術や知識を持つ民間の活力を導入したり、ボランティアやNPOなどの市民活動に任せる方がより有効かつ効率的な場合があり、こうした業務を外部委託化することによって、行財政運営の減量化はもとより、組織の簡素合理化も図ることができます。

 そこで、平成11年5月にアウトソーシング推進委員会を設立し、市の職員が直接執行すべき事務、すなわち公権力の行使に関することや政策形成に関すること以外の業務を対象にいたしまして、アウトソーシングの可能性について検討を行ってまいりました。その結果、今回1月に堺市アウトソーシング推進計画を取りまとめ、施設の管理運営関係を初め、電算処理業務、業務処理関係、事業・イベント関係、そして施設の建設関係など延べ34項目を実施項目として掲げたところでございます。地方分権の時代にふさわしい、より簡素で効率的な行政システムを構築するため、アウトソーシングの推進は欠かすことのできないものであります。また、今後職員数を大幅に削減していく中で、アウトソーシングを進めていくことは不可欠なことであります。したがって、今後とも効率性高い行政サービスを提供するため、アウトソーシングの推進に積極的に取り組んでいきたいと考えております。以上。


◎市長公室長(藤森正熹君) IT革命に係るご質問にお答えを申し上げます。
 現代社会における情報化の進展は、社会活動のあらゆる局面におきまして大きな変革をもたらしつつあり、この流れはIT革命、すなわち情報技術革命と呼ばれております。こうした中、行政におきましても、情報通信技術を行政運営システムの重要な資源としてとらえ、最大限に活用する必要があります。国におきましては、旧来の制度、慣行の見直し、効率的な行政運営などを理念として、情報技術を活用した改革を推進をいたしております。いわゆる電子政府の実現をめざしているところでございます。本市におきましても、行政改革推進の重要な手段として情報化をとらえ、行政情報化推進計画を作成し、庁内LANなどの基盤整備を契機に、行政の情報化・電子化に積極的に取り組んでまいります。

 一方、地域の情報化につきましては、特にデジタル技術の進展により、情報関連機器がネットワークされたことによる生活への影響は大きく、これを市民生活の向上や豊かな地域社会づくりに生かしていくことが必要でございます。その立場から、福祉・教育・防災・住民との情報交流といった生活の情報化による市民サービスの向上に向け、ご指摘の国等の指針にも示されている方向で、新たなビジョンづくりを進めてまいりたいと思います。その実現にあたりましては、企業や市民の役割を踏まえ、協力を得ながら、市として横断的かつ積極的に取り組んでまいります。

 続きまして国際化に関するご質問でございます。
 昨今の急激な国際化の波の中で、国際化施策も時代に合わせた対応を迫られるようになってきております。具体的には、インターネットに代表されます通信手段や交通手段の発達により、外国人と身近に接する機会がふえてまいりました。これに伴い、国際交流に関心を持ち、みずからボランティアとして活動したいという志を持った市民の方々がふえつつございます。こういった市民の皆さんの志を生かせる活動の場をふやし、市民を主体に国際交流が活性化していくことは重要であると考えております。現在、活動の場といたしまして、市の姉妹友好都市関係では、民間団体として3つの協会がございます。また、市内で活動されておられます民間国際交流団体につきましては、市に活動内容や連絡先をご登録をいただき、ボランティア活動を志す市民の皆様などにご紹介をいたしております。

 一方、新年度予算におきましても、ボランティア活動を支援する施策を盛り込んでおります。まず、国際ボランティア活動推進事業でございますが、これは従来の国際交流ボランティア登録制度を大幅に拡充をいたしまして、国際交流だけでなく、外国人の生活支援の一助としても活動していただこうというものでございます。具体的には日本語の不自由な外国人などからの依頼に基づき、市に登録したボランティア通訳をご紹介いたします。あわせて国際交流段階からご依頼のホームステイもご紹介することにいたしております。

 次に、海外シニアボランティア派遣事業でございますが、これは市民の皆様の国際協力活動を支援するものでございまして、財団法人日本シルバーボランティアズと連携をいたしまして、長年蓄積されたノウハウなども中・高齢者の方々の技術を海外で役立てていただこうというものでございます。具体的には、発展途上国などから要請のありました職種につきまして技術指導をしていただけるボランティアの方々を市民から募集をし、派遣をいたします。市といたしましては、これらの施策などを通じまして、市民の皆様の国際交流ボランティア活動を活性化したいと考えておりますが、さらに他の分野の国際化施策につきましても引き続き力を入れてまいりたいと考えております。ただ、これは一部局だけで実現できることではございません。市政各般にわたる全庁的な取り組みが不可欠でございます。そのために市では全庁的な取り組みの方向性を示すものとして平成6年に堺市国際化基本指針を策定をいたしました。したがいまして、今後ともこの基本指針に基づきまして着実に進めていくことが必要であると考えております。以上でございます。


◎人権局長(梶原弘道君) 女性問題3点について答弁申し上げます。
 まず第1点目でありますが、議員ご指摘のとおり、昨年の6月に男女共同参画社会基本法が制定され、国、地方公共団体、国民の責務が明記されたこともあり、庁内推進体制である女性問題行動計画推進委員会とともに、さらにさかい女性プランを実効あるものにしていくため、総合的な調整機能を十分に発揮する必要があると認識し、取り組みを強めてまいります。

 次に2点目でありますが、女性問題は男性問題であることは言うまでもなく、市といたしましては、男女共同参画社会の実現に向け、対象を女性だけに限らず、幅広く男性をも含めた施策を実施しているところであります。

 最後に、男女が多様な生き方を選択できる男女共同参画社会の実現をめざし、本市では第2期さかい女性プランを策定し、女性問題の啓発や男性の意識変革の促進、男女平等教育の推進、組織方針決定への女性の参画促進、さらには女性の就労支援、福祉環境整備、女性への暴力の問題など重点課題として取り組んでいるところでありますが、今後残された課題の解決に取り組むとともに、現在策定中の第3期のさかい女性プランに基本法の理念を取り入れ、国の施策に準じた施策及び本市の特性に応じた施策の策定実施を図るとともに、プランの実効性を高め、評価システムを導入するなど、さらなる女性問題の解決に向け取り組みを進めてまいります。以上。


◎教育次長(高橋一徳君) 教育改革のご質問4点でございますけれども、順を追ってご回答申し上げます。
 最初に教育改革の目的でございますけれども、議員がご指摘されましたように、今、子どもたち一人一人に生きる力をつけることが大きな目的でございます。すなわち子どもたち一人一人がみずから学び、みずから考える力、豊かな人間性、たくましく生きるための体力と健康を培うことであると考えております。

 次に、教育改革を進めていくための主な課題でございますけれども、1点目は開かれた学校とすることであります。そのためには、保護者や地域の意見を積極的に取り入れていくことはもちろんのこと、教職員の意識の変革や資質の向上を図る必要があります。

 2点目は青少年の健全育成であります。健全育成は社会全体でかかわることが大切であります。学校・家庭・地域の連携が重要であることはもとより、教育委員会、市長、事務部局との密接な連携による育成支援が必要であります。

 3点目は高校教育、養護教育、幼児教育であります。このことにつきましては、公と民、府と市の役割分担の明確化を踏まえた改革が必要であると考えているところでございます。

 次に、これらの課題解決への取り組みでございますけれども、国が法制化した学校評議員制度の趣旨を生かしていきたいと思ってございます。学校協議会研究モデル校事業の実施、これまでもご答弁申し上げてまいりましたように、中核市に対して教員の研修権限が移譲されたことによることを好機ととらえながら、教職員の資質向上や職務能力を高めるための研修をさらに充実をし、図っていきたいと思っております。

 2点目は、学校・家庭・地域が一体となった青少年の健全育成の取り組みの強化を図っていきたいと思ってございます。中学校校区を単位といたしました青少年健全育成活動の活性化を図り、一層推進してまいりたいと考えております。

 3点目は、望ましい高校教育、養護教育、幼児教育につきましては、現在も1月31日の中間報告をいただいた後も専門部会で審議をしていただいているところでございます。今後は本年の夏には教育改革の審議会の答申を得る作業を進めているところでございますので、それを踏まえながら、教育委員会としての基本方針を策定をし、平成14年からの完全学校週5日制を見据えて、教育改革を推進していく予定でございます。


◎総務局長(曽我部篤爾君) 6項目にわたりますご質問を総合しての行政課題としてご指摘のありました組織横断的な取り組みといたしましては、従来から臨時的組織やプロジェクト組織、庁内委員会等を設置してまいりましたが、ご指摘の専任職員を持つプロジェクト組織であります、いわゆるタスク・フォースにつきましても、必要に応じ活用を検討してまいりたいと考えております。また、議員ご指摘のとおり、大局的見地に立った横断的かつ総合的な政策形成能力がより求められているということは認識しており、各局の庶務担当課や政策課の体制を整備し、政策立案及び関係部局との政策調整機能の充実強化を図るとともに、基本的な政策を立案調整する企画部門の充実を図っていく必要があると考えております。また
、長期的展望を持ちながらの政策研究につきましては、堺都市政策研究所なども活用して、総合的に政策能力を高めてまいりたいと考えておるところでございます。以上。



◆6番(吉川敏文君) 議長。


○副議長(高岸利之君) 6番吉川敏文議員。


◆6番(吉川敏文君) 種々ご答弁ありがとうございました。まず、地方分権推進一括法の施行に対する当市の対応でございますが、分権の意図するところを十分に考慮した法解釈をどれだけ市民サービスにつなげていくのかが重要であることは先ほども述べたとおりでございます。そのためには具体的な行動をどう起こすかが必要であり、それは移譲された権限を実際の施策にどう拡大できるか、それを検討し、実行していくことであると思います。どうかこの点については、それぞれの所管部局が新たな政策の企画立案に努力いただくことは当然として、横断的かつ総合的な取り組みを集中的に検討いただきたいと要望するものであります。

 政令指定都市への取り組みでございますが、なぜ私が、その移行の理由とメリットという基本的なことをお尋ねしたかと申しますと、何年もこの取り組みを行っておりながら、こうした基本的なことが、一体市民の皆様方がどれだけお知りになっているのかなという疑問があるからでございます。先ほどの答弁では、市民と一体という言葉が何度か出てまいりましたけれども、果たしてその一体感がどこにあるのかなという疑問もございます。政令市への取り組みはトップ、なかんずく市長の意思決定が原動力であると思います。強い意思を持って推進していただくことを要望するともに、政令指定都市実現のシナリオを十分練り上げていただき、戦略的な取り組みを要望し、この質問を終わります。


 次に、行財政改革について、その進捗状況はおおむね計画どおりであるとのご答弁をいただきました。初めにご指摘しましたように、来年度、平成12年は5カ年計画の中間年度であります。計画どおりの進捗が達成されますように、なお一層のご努力を期待するものでございます。また、平成11年度の決算見込みについて、実質収支はもとより、単年度収支においても7年ぶりに黒字を計上できるとのことでございました。経常収支比率においては95%台に改善されるということも加えていただきました。また、平成10年12月に財政局が策定された見直し実施計画の策定に伴う財政収支試算では、平成15年度、経常収支比率は88.7%という試算が出ておりましたけれども、確かに景気の回復が追い風との条件つきではございますけれども、80%台に改善させる努力を引き続きお願いしたいと思います。ただ、構造改革に関しましては、支所行政推進上の支所の整備という観点では十分に評価できるわけでございますが、その内実を評価するにはまだ時間がかかりそうでございます。地方分権時代にふさわしい、より簡素で効率的な行政システム構築へのご努力を期待したいと思います。

 昨年、日本経済新聞社から発行されれました「自治体破産」という本がございます。本市に関する幾つかの記述がございました。給食・介護は民間にとって巨大ビジネスであるとした上で、堺市学校給食懇話会が提言した調理業務の民間委託を取り上げ、98年度の民間委託比率の10%と、これが米国並みの27%まで引き上げられると、事業規模は740億円となり、民間委託に伴う削減分、今後見込まれるリストラ分を引いても250億円を超す民間需要が発生するとありました。また、財政分析ランキングで都市財政の税収基盤の大小を示す経済力の分析がございました。この経済力は産業構造の転換や集客都市としての潜在的な成長率を見込んではおりますけれども、これは自治体の努力で左右できる項目であるとございました。本市のこの経済力は近畿89市で7位と上位にランキングされております。成長力を顕在化することは確かに大変な努力を必要としますけれども、このような分析結果があるということは、他力本願的ではなく、自己の努力次第で税収回復も行えることを意味しているととらえられると思います。今まで以上の努力で行財政改革を推進することは必須でございますけれども、久保田議員の質疑にもございましたが、税収の涵養についてもぜひ積極的な取り組みを行っていただくことを強く要望してこの質問を終わります。


 次に、IT革命における行政の対応でございますけれども、行政情報化推進計画のもと行政情報化に取り組んでいる。国等の指針に示されている方向で新たなビジョンづくりを進めていると、こういうご答弁であったかと思います。来年度予算案にも行政情報系の予算案が示されており、その進捗状況は確かに見え始めてまいりました。この件については、できるだけスピーディーに計画の実行を要望するものでありますが、市民サービスに直結した情報化、ご答弁のとおり、そのビジョンはまだこれからということでございますので、これに関してもぜひ早急にビジョンをつくっていただきたい、このように思います。

 過日、池田市では高齢者の自宅に縫いぐるみ型の情報端末を置いて、その状況を監視するというシステムを開発し、その試行を始めたそうであります。また、介護保険での要介護認定時の訪問調査にモバイルコンピューターを利用している自治体がふえているとの報道もございます。NASA経由でスペースシャトルのカメラを遠隔操作して教室で地球の映像を見たという学校もございます。電脳図書館や博物館、在宅医療は国際交流での応用、学校教育と生涯教育のネットワーク、産業振興など、多くのさまざまな夢が広がってまいるわけでございます。今まで不可能と思われていた施策も情報技術を利用することによって、これはあくまでも手段という大きな手段でございますけれども、それを利用することによって可能になるものも数多くございます。それを担うためには、縦割り組織に組み込まれた課レベルではなく、横断的な新たな組織形態が必要であると、このように提案したいと思います。どうか広い視野を持って積極的にこの情報技術を利用し、市民サービスの向上に努められることを要望し、この質問を終わりたいと思います。


 次に、国際化への取り組みでございますが、ご答弁いただきましたように、さまざまなご努力をいただいていることは一定評価できるものでございます。しかし、当市が掲げる国際交流都市の形成にはまだまだとの感がございます。先ほどご報告いただきましたさまざまな施策も点でございます。面的な広がりはもう少し不十分ではないかというふうに感じるものであります。日本を訪れる外国人は年間約411万人と言われております。また、ご答弁にもございましたインターネットは国境をはるかに越えて情報の交流を行っております。まず、こうした状況を敏感に察知し、行動することが大事であると思います。行動なくして国際化はないと、このように考えます。

 国連は新たなミレニアムの幕あけとなる本年を平和の文化国際年と定めております。当市も今新たに国際化の視点を定め、その取り組みを拡大していく必要性を強く感じるものでございます。行政の国際化、国際交流拠点及び機能の整備、民・学・産・官を中心とした国際交流推進体制の整備と、既にその目標設定をされているわけでございますので、より具体的な取り組みの強化を要望いたします。当市の活性化に大きなインパクトとなるスケールの大きな取り組みをお願いしてこの質問は終わります。


 次に、男女共同参画社会実現への取り組みについてでございますが、ご答弁では、現行施策をさらに強化していくということでございました。この問題は、常識やモラルが崩壊しつつある日本社会にとって、人としての生き方を問い直す絶好の機会であるととらえられるのではないかと思います。20世紀は正義、イデオロギーとイデオロギーが角を突き合わせ、声高に覇権を競い争ってきた喧騒の時代でございました。その中で人種・民族・風俗・習慣など外なる差異こそ人間の幸不幸、物事の善悪を決定づける最大の要因であり、その差異を取り除くことこそ、すべての社会悪や矛盾の解決への決定打であるという錯覚、イデオロギー的迷妄が時代の空を暗く覆い続けておりました。しかし、この外なる差異の超克という点でプラスイメージが描ける代表的事例は1960年代のアメリカの人種政策があげられるわけであります。1964年の画期的な公民権法の制定を初め、一連のアファーマティブ・アクションがそうであります。ただ、ここで注目すべきは、その後の種々の研究結果や調査結果が示しているところの、必ずしも人種問題の根本解決に結びついてない点もあるというところでございます。つまり、こうした法律的・制度的な対処もさることながら、その取り組みを裏支えする人間精神の変革、すなわち、内なる差異の超克による普遍的な人格の形成という画竜点睛を欠くと、はかばかしい成果は期待できないということであります。

 ユングは、あらゆる対立や分裂にあって、分けて隔てるものは人の心にあるという一般の自覚が成立するならば、実際にどこから手をつければいいかわかるだろうという言葉を残しております。男女共同参画社会実現に向けて当局の取り組みがこうした視点を持ちながら、時には遠回りに思えることも果敢に挑戦していただきたいと要望してこの質問は終わります。


 次に教育改革について、平成9年度に教育政策課が、そして平成10年度には堺教育改革審議会を設置され、教育改革への意気込みは強く感じるものでございます。今回も中間報告を出され、一定方向性を示す大変貴重な答申であると評価するところでございます。しかし、いまだ国・府の答申にある理念の域にとどまっているような気がしてなりません。これは審議会のメンバーの問題ではなく、諮問方法に問題があるのではないかという気がいたします。今後は堺市の独自性をもっと反映させ、具体化していく必要がある思います。そのためには、まずご答弁のとおり、教育委員会だけで改革を進めるのではなく、横断的な体制を構築する必要があると思います。

 従来、私ども公明党が提言してきましたように、市長部局に生涯学習部あるいは室を設置する必要があるのではないかと思います。今後もこの点についてはよくご検討いただきたいとお願いを申し上げます。

 また、例えば堺市の市立高校の問題についても、その淵源は第二工業が1905年、明治38年、町のだんな衆がお金を出し合い、実業学校を設立されました。また、商業高校については1921年、大正10年、斉藤原太郎氏が10万円の寄附をし、設立されたのがその始まりと伺っております。つまり高校4校は市民の手で育てられた自治の象徴ともいえる学校であるわけであります。そういった背景をしっかり認識した上で、時代に対応できる改革を進めていく必要があると思います。そして、具体的な内容はできるだけ現場の状況や意見を十分把握していただいて、その上で審議を進めていただくようお願いをして、この質問を終わります。

 最後に、縦割り機能の強化と政策形成能力の強化でございます。
 将来の堺市が都市間競争に勝ち抜くには、現状の政策課題をいかにスピーディーに解決していくか、長期的・大局的視点で政策を立案し、実施できるかどうか、この2点にかかっていると思います。平均点を取る時代は過ぎ去っております。常に一流をめざし、その努力を継続いただきたいと思います。

 また、庁内だけでなく、その設立目的からすると、都市政策研究所は非常にユニークな存在であると感じております。ここに人材と財政の重点投資を長期的・総合的かつ必要な政策を立案するというテーマを与えて仕事をしていってはどうかということも思いますので、ぜひご検討いただきたいことを加えて要望いたしておきます。
 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

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