平成17年第 3回定例会−06月10日
◆50番(吉川敏文君) (登壇)公明党の吉川でございます。公明党といたしましては、2巡目でございますので、大綱的な質疑というよりは、少し個別の案件に対しまして3項目の質疑を行いたいと思います。
昨日の本会議におきまして、元美原町の議長でございました肥田議員から発言がございました。その中に、議員たるべき者の姿勢、合併にあたってのご決意と
ご苦労の一端をお聞かせをいただきまして、私も感動をしたわけでございます。また、合併にあたっては、一抹の寂しさと不安を感じるとも語っておられまし
た。私は、人として、この思いを誠意を持ってこたえていかなければならないと感じたわけでございます。それが、ひいては堺市の新たな発展につながっていく
のではないかと確信をしていることを申し上げまして、質問に移りたいと思います。
まず1点目でございますが、パブリックコメント制度について、平成14年4月より本市では、堺市パブリックコメント制度要綱を施行し、実施をされてまい
りました。そこで、これまでに実施されたパブリックコメントの実績を報告いただきたいと思います。また、市民の皆様からいただいたパブリックコメントに対
する意見はそれぞれどうであったのか、さらにその意見が原案に反映された実績があるのか、あれば、その内容を簡潔にご報告をいただきたいと思います。ま
た、本制度はその要綱にも記載されておりますように、市の政策形成過程における透明性及び公平性の向上を図るとともに、より市民の皆様の需要に合致した行
政執行を実現することという2つの目的を持っております。既に本制度が実施されてより3年を経過をいたしましたが、当局は本制度がこれまでの実績に照らし
合わせて、どの程度、この目的を達成しているのか、その評価をお聞かせをいただきたいと思います。
次に、堺市中心市街地再生プラン案について質問をいたします。
平成16年5月に堺東駅西地域、約27ヘクタールでございますが、都市再生の拠点として国の都市再生本部より、本市としては3カ所目の都市再生緊急整備
地域の指定を受けたわけでございます。堺東駅前の活性化は、本市の長年の懸案でもあり、その意味では、大変結構なことであると素直に感じるわけでございま
す。しかし、それは後戻りのできないスタートを切ることであり、失敗は許されない背水の陣をしくことにもなると、まず互いに認識をしたいと思います。そし
て、真に市民の皆様に喜んでいただき、歴史の評価にも十分耐え得る最善の計画と実行が今私たちに与えられた大きな使命であると感じるものでございます。
そこで、6月1日からパブリックコメントを実施されております、この堺市中心市街地再生プラン案について何点かお聞きをいたします。同パブリックコメン
トの前文には、堺の玄関口にふさわしいまちづくりに取り組んでいますとございます。この堺の玄関口にふさわしいとはどういうことなのか、まずお示しをいた
だきたいと思います。また、本プランの基本的な考え方について当局の見解をお伺いをいたします。
最後に税負担と行政サービスについて伺います。
まず、その前に本議会に上程をされております議案第59号堺市市税条例の一部を改正する条例についてお伺いをいたします。
本条例案は、平成17年度地方税制改正に伴い、個人市民税の定率減税の縮小と65歳以上の非課税措置の廃止を行うための改正でございます。そこでお尋ねをいたしますが、本条例案の実施によって受ける本市と市民の皆様の影響をお示しいただきたいと思います。
この個人市民税は地域社会の費用を市民が広く分担するという性格や、自治体が提供する行政サービスの受益に対する対価として認識できる、いわゆる応益性
を持っていることが所得税と異なる特徴であると考えております。それは各人の負担額が同じ、均等割が賦課されていることでも明らかであります。しかし、個
人市民税にも均等割と合わせて所得割があり、所得割には税率が課税所得に合わせて、現在ですと、3%、8%、10%と変わる超過累進税率が採用されており
ます。つまり所得の多い人は、より多くの税を担っていく応能性もあわせ持っているわけでございます。
そこでお尋ねをいたしますが、この応能性と応益性をあわせ持った個人市民税負担と自治体が提供する行政サービスとの関係をどのようにとらえるのか、当局の見解をお示しください。
以上で1回目の質問を終わります。
○議長(北野礼一君) これより答弁を求めます。
◎市長(木原敬介君) (登壇)公明党堺市議会議員団代表の吉川敏文議員のご質問のうち、堺市の中心市街地再生プラン案の中で、堺の玄関口にふさわしいとはどういうことかということでございますので、私の方からお答えさせていただきます。
堺東駅の周辺地区でございます中心市街地では、市役所や国の行政機関、百貨店、商店街などが集積しておりまして、かつては市内随一の乗降客の駅と、そし
て公益的なバス網とが集中する交通結節点となっておりますことから、商業、業務、行政などの都市機能が集中し、人・物・情報等が集積・交流する拠点として
の役割を担い、堺の玄関口として発展してきたというふうに理解しております。しかしながら、近年、大規模商業施設の撤退、空き店舗の増加、居住人口の減少
など、市街地の空洞化が進行し、堺市としての中心性が失われつつあることから、芸術文化や商業や交流機能などの強化充実や高質な都市空間、劇上空間とも申
しておりますが、そういったものの創出が求められています。
このような状況の中で、昨年5月に、議員ご指摘のとおり、国の都市再生緊急整備地域、堺東駅西地域の指定を受け、これを契機に、にぎわいと活力を取り戻
す堺の新しい顔としての複合市街地を形成することが政令指定都市をめざす堺の玄関口にふさわしいまちづくりと考えている次第でございます。
なお、その他のご質問につきましては関係局長から答弁申し上げます。
◎市民人権局長(番所護君) パブリックコメント制度について、パブリックコメントの実績と、市民からいただいたご意見についてお答えいたします。
本市では平成14年度から堺市パブリックコメント制度要綱を制定し、市民生活に広く影響を及ぼす市政の基本的な計画、条例等を立案する過程において、こ
れらの案の趣旨・内容等を公表し、当該案について市民の皆様から提出された意見を考慮して意思決定を行うように努めているところでございます。これまでに
実施されましたパブリックコメントの実績でございますが、要綱制定前の平成13年度に先行施行した1案件を含め、30案件の実績があり、延べ381人の方
から938項目についてご意見をいただきました。年度別には、平成13年度は1案件に対し6人から70項目、平成14年度は10案件に対し142人から
316項目、平成15年度は11案件に対し104人から274項目、平成16年度は8案件に対し129人から278項目、平均いたしますと、1つの案件に
対し、およそ13人から31項目についてご意見をいただいております。いただいたご意見の内容は多岐にわたりますが、計画等をより充実したものとしてほし
い旨の要望が多く見受けられるなど、市民の皆様からご意見をいただきながら、政策立案にあたることは、住民本位の行政執行を実現するために重要なことであ
ると考えております。
次に、市民の皆様からいただいたご意見の計画等への反映でございますが、平成16年度を例にとりますと、パブリックコメント制度を実施した8案件のうち
4案件、9項目についてご意見を原案に反映しております。主な内容といたしましては、市民に誤解を与える可能性のある記述の見直しや、計画等をよりわかり
やすくするために表現方法に工夫を図ったものなどでございます。なお、いただいたご意見の概要及びこれらに対する市の考え方や修正内容などにつきまして
は、市のホームページなどで公表するようにしております。
次に、既に3年の実績を持つ当制度に対する評価ということですが、現在では、パブリックコメント制度は庁内ルールとしては浸透し、係る情報は所管課はも
とより、市政情報センターや各支所の市政情報コーナーで閲覧・配布するほか、広報紙や堺市のホームページへの掲載、さらには報道機関への発表などを通じ、
積極的に公表してまいりました。このような点では、パブリックコメント制度の目的の一つである市の政策形成過程における透明性及び公平性の向上を図るとい
うことには一定の成果があったものと考えております。また、市民の皆様の需要に合致した行政執行の実現を図るためには、実際にどの程度、市民への情報開示
がなされたか、どの程度、市の説明責任が果たされたか、どの程度、提出意見の反映があったかなどの検証を行う必要があると認識いたしております。この点に
つきましては、これまでの実績を踏まえ、関係所管とも調整し、今後も検討を行ってまいりたいと考えております。以上でございます。
◎建築都市局長(赤石宗嗣君) 堺市中心市街地再生プラン案の基本的な考え方についてお答えいたします。
このプランは、まちづくりの方向性を市民にわかりやすくお示しすることを目的として、地域のまちづくり組織である、そやさかい、ええまちつくりたいの意
見も参考にしながら作成したもので、市民の皆様から幅広く意見をいただき、今後のまちづくりに生かすべく、現在、パブリックコメントを実施中でございま
す。このプランは、地域全体を、あたかも劇場であるかのように見立て、大会社、居住者、商業者等の市民と行政が見る側、演じる側、支える側として、それぞ
れの役割を持って、魅力ある、ときめき空間の創出をめざしたまちづくりを進めようとの思いから、まちは劇場のようにという基本理念を掲げ、これに基づき、
ハード・ソフト両面の視点から5つの基本方針を策定しております。
今後、本プランの確定後、これを公表するとともに、その実現化に向けまして、事業手法やスケジュールなど、ハード・ソフト両面の具体的取り組みを盛り込
んだ再生プログラムを作成してまいります。これらの計画を受け、政令指定都市の玄関口にふさわしい、にぎわいと活力のある中心市街地となるよう、公民協働
のもと、全力を挙げて取り組んでまいります。以上。
◎財政局長(松藤保孝君) 今回、提案させていただいております国の税制改正に伴う市税条例改正案のうち、個人市民税、定率減税の縮減につきましては、現
在実施中の定率減税額を半減させるもので、平成18年度課税分から適用となりますが、約29万人が対象となり、約17億円の市税の増となる見込みでござい
ます。また、平成17年1月1日におきまして、年齢65歳以上の方のうち、前年合計所得金額が125万円以下の方に対する非課税措置の廃止につきまして
は、平成18年度課税分から3年間にわたって段階的に実施し、約2万2,000人が対象となり、平成20年度までの各年度で約5,000万円ずつの増収と
なる見込みでございます。
次に、個人市民税の考え方ですけれども、個人市民税は、市町村を単位とする行政が提供するサービスに係る経費などを、その地域の住民の方々の間で広く負
担するという負担分任制、応益制の理念を有しております。また、超過累進税率によりまして、個人の所得に応じて行政経費を負担する応能性も兼ね備えており
ます。行政サービスにつきましては、その内容、対象者の状況等さまざまな状況によりまして、受益者負担や所得制限等の仕組みが導入されているものもござい
ます。国税、地方税を含めた我が国の税制度につきましては、国、地方を通じたさまざまな行政サービスの全般と国民の負担等を総合的に判断の上、さまざまな
角度からの国会等での議論を経て、制度を構築されているものと考えております。以上でございます。
◆50番(吉川敏文君) 議長。
○議長(北野礼一君) 50番吉川敏文議員。
◆50番(吉川敏文君) ご答弁ありがとうございました。まず、パブリックコメント制度についてでございますけれども、この制度は、行政のアカウンタビリ
ティ、説明責任や透明性が問われる中で生まれてきた制度であると私は理解をしております。その意味では、ご答弁にもございましたように、十分とは言えない
までも、その役割は果たしていると私も評価をしております。しかし、本制度のもう一つの目的でございます、より市民の皆様の需要に合致した行政執行を実現
することという部分では、少しこれは工夫をしていただかなければならないと思います。例えば、この制度の要綱では、パブリックコメントを実施するタイミン
グを最終的な意思決定をするまでと、このようにうたわれているわけでございます。これでは、市民の皆様の需要に合致した行政執行を実現するといっても、難
しいのではないかと、このように思うわけでございます。行政における政策形成過程のすべてのステージで市民の皆様の意見をお聞きするのがよいかというと、
私は決してそうではないと考えます。しかし、そのタイミングは、やはり効果的な時期に設定していただきたいと思います。また、本制度の対象外のものであっ
ても、これからは積極的に公開していただく体質を庁内につくっていただくことを要望してこの質問は終わりたいと思います。
次に、堺市中心市街地再生プラン案についてでございます。
堺の玄関口にふさわしいとはどういうことかについて市長よりご答弁もいただきました。確かに、その機能や要素を問うならば、市長がご答弁されたようにな
るのかもしれません。しかし、私はこの堺の玄関口にふさわしいとは、この堺東の駅におり立ったときに、ああ、堺に来たなという、こういうまちがかもし出す
風情があることではないかと、このように思うわけでございます。本市が中心市街地のまちづくりの方向性を示したとされる堺市中心市街地再生プラン案を見
て、私は、駅前再開発を行った、どこにでもある駅前しか、残念ながら、イメージすることはできませんでした。それは再開発ビルの建設、ペデストリアンデッ
キ、東西自由通路、LRT、文化芸術ホールの整備など、幾つかの具体的なハード整備が枠組みとして既にはめ込まれているからだと感じるからでございます。
万一、そうでないなら、まちは劇場のようにという理念と、もてなしの心、すてきな出会い、みんなにやさしい、暮らしに安全、私が主役という5つの基本方針
から、それぞれの具体策の必然性が感じられて当然であると思うからであります。
一例を挙げれば、もてなしの心という基本方針では、中瓦町2丁地区の再開発事業を契機として、地域の機運を高め、商業活動に元気を取り戻し、まち全体に
にぎわいを呼び戻しますと、このようにこのプランではございます。もてなしの心から、どう考えても再開発ビルの建設は私の頭の中では出てこないわけでござ
いまして、パブリックコメントの目的に示されております市民の需要という観点で言わせていただけるならば、商業活動に期待するものは、私たち市民の期待す
るものは、よりよい商品やサービスを、より付加価値の高い商品やサービスを、より多くの選択肢から、より安く手に入れられること、それ以外に期待するもの
はないわけでございます。商店がきれいになったから、商業活動が活性化するとは到底考えられないわけでございまして、万一そうであるならば、既に高島屋や
ジョルノビルが活性化していなければならないし、もてなしの心がそこで生まれていなければならないと感じるからであります。
また、交流や商業活動の活性化を言うならば、一時的イベント中心のホールではなく、継続的日常性の中で交流が図れる施設がそこに必要になると感じます。こうした部分は今後ぜひ見直しをしていただきたいと思います。
私は、かねがね、わずか15分で難波ウオークや難波シティといった大商業圏に行ける立地は、この堺東にとって、ある意味悲劇であると、このように思って
います。当然、そこと競合しても勝てることはございません。したがって、堺を特徴づけるコンセプトを打ち出し、新たな付加価値や特徴を持ったプランを立案
するか、または割り切って切り口を明確にして、そこでのバリュー・フォー・マネーを徹底して追求するか、そうした方針を早期に決定することが必要ではない
かと考えます。いずれにしても、莫大な投資を要する事業であります。その目的を見失うことなく、検討を進めていただくようにお願いし、この質問は終わりま
す。
最後に、税負担と行政サービスについてでございますが、まず、議案第59号堺市市税条例の一部を改正する条例は、国において、これまで低迷する景気対策
の一つとして実施をされてまいりました減税が廃止をされることに伴う改正でございます。よくお聞きをすると、この減税分は国によって補てんをされてきたわ
けでございまして、当市にとっては、今回の改正は歳入の増加になることはないということでございました。しかし、国税であれ、市税であれ、市民の可処分所
得が減少することに違いはないわけでございまして、その認識を十分に持っていただくことを要望しておきます。
また、税負担と行政サービスでございますけれども、ご答弁いただきましたように、租税負担の公平性は日本国憲法のもとでは、各人の能力に応じて課税する
という応能課税であると、このように定義をされています。しかし、税負担と行政が提供する一般的サービスとの間に直接的な関連性はないと、先ほど財政局長
がご答弁をされておりました。私は、税負担をする市民の立場から考えると、応能性の強い住民税において、租税負担の公平性を受け入れることは、当然受益で
ある行政サービスの公平性を求めるものでございます。それは、行政サービスが世代間で偏ることや、政策効果を考慮しない所得制限あるいは受益者負担が不明
確なままの税の投入を行うことなどに対して、行政の透明性や行政の参画意識が高まれば高まるほど、ここに不満が生ずる懸念があると思うからでございます。
当局におかれましては、こうしたことに対して、今後明確な考え方をお示しをいただきまして対処されることを要望いたしまして、私の質問は終わりたいと思います。ありがとうございました。