[議会での質問]メニューに戻る]

平成22年第 4回定例会−09月02日 本会議大綱質疑

38番(吉川敏文君) (登壇)皆様、おはようございます。公明党の吉川でございます。本日は、我が会派の大綱質疑一番手といたしましては、3年半ぶりにこの場に立たせていただきました。どうかよろしくお願い申し上げます。
 私は今、2つの危機感から妙にいら立ちを覚えております。1つは、政治レベルの低下と行政能力の低下であります。誤解を承知で申し上げますが、本来、公 共の電波を使い、客観的な事実をより正確に伝えることが最大の使命である、特に国民生活に大きな影響を与えるテレビなどのメディアにおいて、一部で時とし て無責任な主観を垂れ流し、それによって政治がより大衆迎合へと動かされているようなことがあるように感じます。その内容も政治より政局、政策よりもパ フォーマンス、成果よりも事件と三面記事化しております。選挙は人気投票化し、有権者はみずから選んだ政治家も短期間のうちにためらいもなく批判する事態 となっております。理念なき政治家はそのことに対し、公人としての使命を忘れ人気取りに走る。そして、さらに政治のレベルの低下とポピュリズムを助長する という悪循環に陥っているのではないかとさえ思われます。そして、そうした政治レベルの低下が、ひいては行政能力の低下につながっていく、そのことに対し 大きな危機感を覚えているわけでございます。
 もう一つは、将来の財政に対する危機感であります。総務省から既に平成22年度の普通交付税大綱が報告されておりますが、それによると普通交付税の不交 付団体は、21年度の152団体から75団体へと半減し、平成以降で最も少ない状況となっております。不交付団体は都道府県では東京都のみでございます。 政令指定都市では唯一川崎市、21年度の不交付団体であったさいたま、千葉、横浜、名古屋の各市は交付団体に転落しております。
 22年度の普通交付税は15兆8,797億円で、対前年度比6.8%の増加となっております。償還財源が交付税措置される臨時財政対策債の発行可能額を 加えた実質的な地方交付税総額は、前年度比18.5%増の23兆1,110億円でございます。22年度の国の税収37兆円からすると、普通交付税の水準が 未来永劫維持できるとは考えられず、大きな危機感を持っているわけでございます。もちろん、私ども議員も、その役割と責任を認識し直し、姿勢を正すことも 必要であると感じておりますが、今申し上げたことを、でき得るならば理事者の皆さんに共有いただき、市政運営にあたっていただけることを冒頭お願いをいた します。
 また最近、私どもの質問の仕方が悪いのかどうかわかりませんが、理事者の皆様の答弁に首をかしげることが多くなってまいりました。答弁の質が低下しているとは申し上げませんが、8項目にわたって質問いたしますので、簡潔かつ明解な御答弁をお願いをいたします。
 初めに、議案第123号平成22年度堺市一般会計補正予算(第2号)のうち、債務負担行為の補正についてお尋ねをいたします。
 債務負担行為の補正のうち、行政情報化推進事業が当初4億1,000万円から20億円増の24億1,000万円となっております。失礼しました。当初4 億100万円から20億円増の24億100万円になっております。その内容と目的、内訳をお示しください。また、その見積もりについて、どのように行われ たか簡潔に報告いただくとともに、その額の妥当性についての見解をお示しください。
 次に、同じく議案第123号平成22年度堺市一般会計補正予算(第2号)のうち、路面電車活性化事業についてお伺いをいたします。
 公共交通の機能は、人を運ぶことであり、その維持や活性化は町の活力にとって非常に重要であると考えております。また、公共交通はまちづくりの要素であ るとともに、それ単独での存在価値はないのではないかと考えます。そして、これまで長年にわたる堺のまちづくりの歴史の中で、東西の鉄軌道の必要性やそれ を求める市民の声は、堺の悲願として論じられてまいりました。その中で、南北の鉄軌道の一つである阪堺線の存続が危ぶまれ、当市としてもその必要性から支 援を続け、自立への道として東西鉄軌道との結節による乗客数の大幅増をねらったわけであります。しかし、方法論の未熟さから、一部住民の理解が得られず、 今、総合交通体系の再構築の中で再び検討する事態になっていると私どもは理解をしております。しかし、そのことによって、阪堺線の存続は困難となり、早急 な市の支援策が必要になったわけであります。
 さきの6月本会議で、阪堺線存続が必要な理由、また阪堺線の現状分析、課題と対策についてお尋ねをいたしました。そして、阪堺線は、路面公共交通により 利便性の高い公共交通ネットワークの形成をめざしている本市にとって、欠くことのできない公共交通であり、また、現状分析、課題を踏まえて、利用者数の増 加の対策、運賃施策やバスとの連携、老朽化した阪堺線の施設改修や沿線の活性化が必要であるとの御答弁をいただき、それに対し我が会派からは、小手先の方 策では利用者の大幅な増加は期待できず、その構造を抜本的に変える施策を行わないと阪堺線の活性化はないと申し上げてまいり、結局堂々めぐりの議論を続け ているような気がいたします。
 そこでお尋ねいたします。堺市の公共交通について、その認識と今後についてお示しください。また、本補正予算案の阪堺線支援事業について、総合都市交通 計画の観点からどのように考えるのか、支援策の目的、内容、今後の阪堺線の活性化と展望についても、あわせてお示しをください。
 次に、子宮頸がん予防ワクチンについてお尋ねをいたします。
 子宮頸がんは発症原因が唯一わかっているがんであり、それゆえ他のがんとは異なり、ワクチン接種と定期的な検診の両輪によって、ほぼ予防できると言われ ております。我が党はこの点に着目し、本年5月31日、党単独で子宮頸がん検診と特定年齢への予防ワクチン接種の全額国庫補助を盛り込んだ子宮頸がん予防 法案を参議院へ提出するなど、公費助成への取り組みを推進してまいりました。
 既に検診においては、平成21年度から子宮頸がんと乳がんの検診無料クーポンの配布が実現をしており、受診率アップに大きく貢献をしております。本事業の2年目である本年は、国で予算削減される中、事業を継続とする本市の取り組みが大きく評価をされております。
 ワクチン接種については、早期承認を求める我が党の署名運動が追い風となり、2009年10月にこれが承認され、同年12月から接種が可能となりました。このような動きと連動し、ワクチン接種費用の公費助成を行う自治体が全国的にふえてきたわけでございます。
 一方、本市においては、我が会派より、昨年11月、市長への平成22年度予算要望において、また本年3月23日開催の平成22年度予算審査特別委員会の 総括質疑において、さらには6月3日の定例会大綱質疑において、この子宮頸がん予防ワクチンの公費助成の早期実現を要望し、当局からは国の動向を注視しな がら助成を検討するとの御答弁をいただいております。そして、今議会に子宮頸がん予防ワクチン接種事業として4,400万円の補正予算案が提案されたこと は、大いに評価をするところであり、その判断のスピーディーさに感謝を申し上げる次第でございます。
 そこでお尋ねいたします。子宮頸がんワクチン接種事業の内容と、今後のスケジュールについて、市民への広報について、以上、お答えをいただきたいと思います。
 次に、平成21年度決算について質問をいたします。
 市長の決算認定に関する説明では、歳入において市税収入及び交付税も大幅な減少となる中で、国庫支出金の増加や臨時財政対策債が増加したことなどから、 歳入は前年度に比較して約4,000億円の増となり、歳出においては、扶助費の増加及び普通建設費が増加したことにより約418億円の増で、その結果とし て、実質収支は30年連続の黒字を確保したものの、単年度収支は8年ぶりに赤字になったとのことでございます。さらに、経常収支比率は前年度と比べ2.2 ポイント上昇し96.8%、臨時財政対策債や退職手当債の増加に伴う市債残高の増加が主な財政構造として示されました。そこで、21年度決算をどのように 総括するのか、さらにこの結果を踏まえて、次年度である23年度の予算にどのように反映させていくのかお示しをいただきたいと思います。
 次に、堺市の将来ビジョンと堺市マスタープランについて質問をいたします。
 平成23年度から10年間にわたる堺のまちづくりの基本的な方向性を示す基本計画と実施計画の要素をあわせ持ったプランとされる堺市マスタープランの骨子についての素案が提示をされました。その中で、私は何点か気になることがございます。
 まず、時代認識の甘さとマスタープランとの関連性が希薄であるという点であります。近年の日本経済の悪化は、過去に経験したことがない状況に追い込ま れ、回復の兆しさえ見えません。急進する中国に経済大国の座を譲るばかりか、その勢いに飲み込まれようとしております。また、市場にあふれる資金は、将来 の設備投資に振り向けられることなく、国債の購入にひらすらつぎ込まれ、負の連鎖を拡大をしております。さらに、15年ぶりの円高は国際協調介入が期待で きないどころか、自国の通貨安の戦略が明からさまになり、政府や日銀の対応のおくれが一層拍車をかけております。
 こうした日本経済の危機的状況に、市当局は経済の成熟化とグローバル経済への変動という十数年前の時代認識しか示さないことは、余りにも危機意識の欠落 と言わざるを得ません。加えて、時代認識や現状認識から来る課題の不鮮明さは、プランとの関連性が希薄になっていることとあわせて指摘をしておきたいと思 います。
 次に、堺の将来像における堺らしさの弱さであります。庁議において、このマスタープランの内容はまだ議論されていない様子でございますが、市長はそれぞ れの市のマスタープランを見たら、○○市と名前を変えたらそのままいけるというようなものもあるとよく言われ、堺は堺版のマスタープランをつくりたいと、 このように発言をされております。その堺らしさを実現するための目標として掲げるべき堺の将来像に明確な堺らしさが感じられません。
 次に、戦略のあいまいさであります。ますます限られてくる財源をより有効に活用する上で、選択と集中をどのように行うのかが戦略ではないでしょうか。 10年間という限られた期間設定をしている中で、目標達成をするために、経営資源をどこに集中するのかという戦略を示すのが、このマスタープランの最大使 命ではないかと考えております。
 次に、財政的視点の欠落を挙げたいと思います。少子高齢化の進展は、社会保障給付を拡大させ、国においてはナショナルミニマムを確保することが精いっぱ いになる可能性もあります。地方自治体もその影響はマスタープランを実行する上で非常に大きな障害であり、財政的視点なくしては、絵にかいたもちになる可 能性が大きいと考えます。どれだけの財源を確保し、どう配分していくのかというマクロ的視点での財政は、当然、マスタープランの中でその考え方を述べなけ ればならないと思います。
 最後に、庁議での議論がまだまだこれからだとは思いますが、現状では不十分であると思います。堺の将来像に関する重要なマスタープランは、その庁議の規 定において、本市の行政運営の基本方針、重要施策及び重要課題への対応等について審議し、あわせて各部局間の総合調整を行うために庁議を置くとされており ます。ここでの十分な議論が必要と考えられますが、今のところ、そうした形跡はございません。
 以上、指摘いたしました点について当局の見解を求めます。
 次に、国民健康保険の保険料の軽減についてお尋ねをいたします。
 さきの本会議でも議論させていただきました国民健康保険料の軽減についてでございますが、健全な国民健康保険の運営を念頭に置きながら、市民理解が得ら れるあり方を検討しており、もうしばらくの時間を必要とするとのことでございました。残念ながら、日本経済は二番底に突入するかの様相を呈し、市民生活は 一層厳しい状況に追い込まれております。全国どこでも同一金額で、同じ医療が受けられる保険医療制度でありながら、保険者によって保険料が異なり、国保に おいては市町村によって保険料が異なるという不公平が長年放置をされております。国民皆保険制度をうたう公的制度としては、抜本改革は言うまでもございま せん。当然、国における抜本的な制度改正は要望しながら、今、市でできることは何かを早急に具体化すべきであると考えます。
 そこでお尋ねいたしますが、国民健康保険の保険料の軽減について、その後の取り組みの経緯をお示しください。
 次に、おでかけ応援バス事業についてお伺いをいたします。
 近年、単身世帯の増加、少子高齢化等で地域の人間関係はもとより、家族のきずなさえ希薄になっていく無縁社会という言葉が現実味を増しております。この 現象は、他人とのかかわりがないという生活で、一面では気楽ではございますが、孤独、孤立という負の側面を持ち、それが社会問題化するほど深刻化しており ます。
 一方、地球環境問題に対する意識の高まりや、少子高齢社会到来といった社会情勢変化の中で、過度な自動車利用から脱却し、環境への負荷の少ない公共交通 への転換も求められております。本市において自動車よりも環境に優しい自転車や電車、バスなどの公共交通の利用促進が図られていることは皆さんも御存じの ところでございます。また、今は健康で車を自分で運転することができても、いずれは年をとって運転ができなくなったり、家族に頼ることができない状況にも 遭遇するようになってくることも十分考えられます。
 こうした背景のもと、本市では平成16年から高齢者社会参加促進事業としておでかけ応援バスの事業を実施しております。病院に、買い物へ、ボランティア 活動にと、さまざまに利用されている高齢者からは喜びの声が届いております。さらに、社会参加の機会が広がることは、人々が、そしてまちが活気を持つこと になり、ひいては、にぎわいにつながっていくと思います。
 そこでお尋ねいたします。おでかけ応援バス事業の目的と内容、利用状況とその事業の評価、加えて休日利用の拡充も含めた今後の取り組みについて、それぞれお示しください。
 最後に、堺版事業仕分け、みんなの審査会についてお伺いをいたします。
 改めて申し上げますが、行政評価は全事務事業の棚卸しを行った上で、目標に対する達成度を客観的に算出し、費用対効果を見比べた上で、限られた経営リ ソースをどう配分していくのかという、市政運営上、非常に重要な役割を果たすものであると考えております。我が会派からは以前よりこの点を指摘し、その仕 組みづくりを推進してまいりました。そして、的確な行政評価は経営戦略上不可欠なツールとして位置づけられるという、この点は当局の認識とも一致したとこ ろであると考えております。また、さきの先進的自治体では、この仕組みの中に内部評価と外部評価を組み込み、外部評価の一部に市民の声を直接聞くという形 をとられているところもございます。本市ではこの8月7日、8日に市民の方々が参加するみんなの審査会が行われました。
 そこで、まず、これまでの行政評価についての総括と外部評価の必要性についてお示しください。また、みんなの審査会の総括と、行政評価の今後の取り組みについて、それぞれお答えをください。以上で1回目の質問を終わります。

○議長(松本光治君) これより答弁を求めます。

◎市長(竹山修身君) (登壇)公明党堺市議会議員団代表吉川敏文議員の御質問のうち、堺市の公共交通の認識と今後につきまして御回答いたします。
  公共交通は人を運ぶことで日常の移動手段を提供するとともに、都市活動を支える重要な都市の装置であると認識しております。本市の公共交通につきまして は、高齢化社会への急速な進展や、地球環境問題への対応などが求められておりまして、公共交通の維持及び活性化が喫緊の課題となっております。国におきま しても、人々の移動の権利の確保を旨とする交通基本法の制定のもと、取り組みが進められているとともに、地域公共交通の活性化及び再生に関する来年度予算 の拡充などが検討されているところでございます。
 本市がめざす環境共生都市の実現、まちの魅力向上、にぎわいと交流のまちづくりを進める上で は、南北方向に発達している既存の鉄軌道網を生かした東西方向の交通軸の強化や、交通相互の結節など、総合的な公共交通体系の構築が必要でございます。そ のため、本事業は存続が危ぶまれる阪堺線を維持・活性化し、既存の鉄軌道網を生かした路面公共交通による利便性の高い公共交通ネットワークの形成を図ろう とするものでございます。今後、今年度に策定するマスタープランも踏まえ、市全体の総合都市交通計画を策定いたしまして、公共交通の利用促進、公共交通 ネットワークの形成、公共交通の利便性向上に取り組むことで、持続可能な社会の実現に向けた公共交通体系の構築を図ってまいりたいと考えております。
 なお、その他の御質問につきましては関係局長から御答弁させていただきます。

◎健康福祉局長(西出茂春君) 補正予算におけます債務負担行為の補正のうち、行政情報化推進事業の20億円の内容等についてお答えをいたします。
  平成22年度から平成25年度の4年間の債務負担行為として、20億円の増額補正を提案しておりますが、その内容は、平成25年度の稼働をめざしておりま す保険年金電算システムの再構築の開発費用でございます。本市の現在の保険年金電算システムは、平成2年度から稼働しており、既に20年経過していること から、システムの老朽化や機能不足が生じており、再構築が必要な状態になっております。システムの再構築により、業務効率を向上し、区役所窓口の待ち時間 の短縮や、被保険者証の個人カード化など、市民サービスを充実するとともに、システム維持管理経費の縮減を図りたいと考えております。
 開発経費 は業務見直しを踏まえた中で作成したシステム再構築後の業務フローや、必要な機能の洗い出しにより算出した開発規模に基づき見積もりをしております。ま た、見積もり金額につきましては、資料作成、助言、分析による調達仕様書作成の支援を行うため、本市とコンサルティング契約をしている業者により内容点検 を行っております。また、複数のシステム開発業者に提示させた見積もり額、他の政令指定都市の事例などと比較することで、妥当性を担保しております。以上 でございます。

◎建築都市局長(荻田俊昭君) 路面電車活性化事業について、総合都市交通計画の観点からどのように考えるかにつきましては、今回の阪堺線 の支援は、まず存続が危ぶまれる阪堺線を維持・活性化しようとするものであり、既存の鉄道網を生かした路面公共交通による利便性の高い公共交通ネットワー クの形成に向けての第一歩となるものです。今後、総合都市交通計画を策定し、総合的な公共交通体系を構築していく上で、既存の公共交通を維持・活性化して いくことが重要であり、南北方向の交通軸の一つである阪堺線の存続を図る必要があると考えております。
 また、100年もの間市民に親しまれ、堺という町のシンボル、文化的資産であるチンチン電車を、市民の移動手段のみならず、今後の堺の文化・観光の目玉として活用し、堺全域へその効果を波及させるための投資と考えております。
  次に、支援の目的、内容についてでございますが、今回の支援策の目的は、まず安全の確保を図ることと、利用者の拡大策によって都市地域の商業、業務、観光 の活性化、高齢者の外出支援、社会参加の促進、交流人口の増加を図ることでございます。そのため、利用者拡大策として、1つは阪堺線と主に都心地域を対象 としたバスを組み合わせたゾーンチケットに対し、その一部を市が支援すること、2つ目は、堺市内居住の65歳以上の高齢者が、毎月五十日に堺市内で乗車ま たは降車、乗りおりする場合の運賃を100円均一とし、運賃差額を市が支援することでございます。3つ目は、阪堺線、上町線の2区間運賃を1区間運賃の均 一運賃とし、運賃差額の90円を市が支援することを考えております。また、運行の継続に必要な経費への支援として、阪堺線の安全運行の継続を図るため、施 設の保安・保守に要する費用等を支援することを考えております。
 今後の阪堺線の活性化と展望につきましては、過去に実施した社会実験や類似の事 例から、今回の支援策の実施により、利用者が約21万5,000人増加すると見込んでおり、都心地域の商業、業務、観光の活性化、高齢者の外出支援及び社 会参加の促進、交流人口の増加を図りたいと考えております。
 都心は多くの文化観光資源が存在するとともに、人口や商業、業務系施設が集積する本 市の中心的エリアです。この都心を貫く阪堺線を活用することは、まちづくりを進めて、都心活性化を図っていく上で大変重要な取り組みになると考えておりま す。今後、低床式車両の導入や、停留所の増設など施設の高度化や、利用者拡大に取り組むとともに、都心活性化を図ることにより、交通機関としての魅力を高 め、阪堺線の自立再生を促していきたいと考えております。また、市民から活性化提案やワークショップ、フォーラムなどでの議論も踏まえ、市民の協力も仰ぎ ながら、沿線の活性化を推進してまいりたいと考えております。以上でございます。

◎健康福祉局長(西出茂春君) 子宮頸がん予防ワクチンについてお答えをいたします。
 子宮頸がん予防ワクチンにつきましては、こ れまでの議会においても御議論、御要望をいただいておるところでございます。また、医師会や市民の皆様からも、接種にかかる費用の助成を求める声が多く寄 せられており、全国的にも100を超える自治体が独自で助成を始めております。子宮頸がんは20から30代の若年層での罹患者数の増加が懸念されている中 で、ワクチンで予防できる唯一のがんと言われており、ワクチン接種が有効であることから、本市としましては、このたび大阪府内の他の市町村に先駆けて補正 予算に計上させていただいたものでございます。
 助成制度の概要を申し上げますと、中学1年生の女子生徒を接種対象者といたしますが、経過措置と しまして、平成22年度及び23年度は、中学2年生及び3年生も対象とする予定でございます。助成の金額につきましては、市が積算しました接種にかかる費 用の半額相当分として、1回につき7,000円を予定しております。助成の方法としましては、医療機関において差額をお支払いいただくことで、助成の手続 に係る利用者の負担を軽減したいと考えております。
 なお、先般、厚生労働省から来年度予算の概算要求に子宮頸がんワクチンの公費助成を盛り込む旨の表明がありましたので、来年度以降の助成制度のあり方につきましては、国の方針が明らかになった時点で、改めて検討する必要があると考えております。
  次に、スケジュールにつきましては、補正予算の成立後、事務的な準備を整え、11月上旬には対象となる女子中学生の保護者に個別に案内をお届けする予定で すが、希望される場合には、10月から接種できる体制を整えてまいりたいと考えております。また、周知の方法につきましては、市の広報紙やホームページに 掲載するほか、ポスターやチラシ等を作成し、医療機関などに掲出、配架をお願いして、広く市民の皆様にお知らせをしていく予定でございます。以上です。

◎財政局長(津田隆年君) 平成21年度決算の総括と平成23年度予算への反映につきましてお答えいたします。
 一昨年から続く景 気低迷の影響により、平成21年度におきましては法人市民税を中心とした市税収入が大幅な減少となり、歳出面でも生活保護費を初めとする扶助費が増加とな るなど、厳しい財政運営となりました。こうした中、要員管理の適正化を初めとする行財政改革に取り組むとともに、起債等の活用により、実質収支では30年 連続の黒字を確保いたしました。また、財政健全化判断比率は引き続き良好な財政状況を維持しているものの、法人市民税を中心とした市税収入の大幅な減少に より、経常収支比率は前年度より2.2ポイント悪化し、96.8%となりました。
 今後につきましては、円高や株価の下落などの景気動向が依然不 透明であり、急速な景気回復により大幅な税収増が見込みがたく、また少子高齢化の進展によりまして、今後も社会保障関係経費の増加が予想されるなど、本市 の財政を取り巻く環境は厳しい状況が続くものと考えております。
 このような中、間もなく始まります平成23年度予算編成にあたりましては、今後 の行財政改革の方向性を示す行財政改革プログラムと、新しいまちづくりの指針となるマスタープランを基本として進めてまいりたいと考えております。特に、 要員管理計画に沿った総人件費の縮減や、事務事業の総点検などを一層進め、これらにより財源を捻出し、人口誘導・定着化に直結する子育て支援施策や教育施 策の充実、さらには企業投資の促進や企業誘致など、税源涵養に資する施策への重点化を図ることで、財政の健全性とまちの活性化の両面にわたって十分に留意 した予算編成を行いたいと考えております。
 続きまして、都市の将来ビジョンとマスタープランについてお答えいたします。
 まず、時代認 識とマスタープランとの関連性についてでございますが、マスタープランは今後10年間のまちづくりの基本的な方向性と取り組みを示すものであり、プランの 策定にあたりましては、的確な時代認識に立つことが大前提となります。少子化の進行と急激な高齢化、人口減少社会の到来を初め、従来型の発展モデルが通用 しない新しい変革の時代が到来する中、それら急激な変化に対応し、まちの持続的発展のため、市政のあり方を変革していくことが私どもに現在求められている ところでございます。そこで、マスタープランの策定におきましては、こうしたことを十分念頭に入れ、都市の成長に結びつけていくもの、あるいは都市のリス ク管理としてしっかりと対策を講じるものなど、戦略的な都市経営の視点から政策・施策を打ち出してまいりたいと考えております。
 次に、堺の将来像における堺らしさについてお答えいたします。
  堺市の将来像につきましては、本市が過去から脈々と継承している歴史と文化や自由と自治の精神を礎に、未来に向かって飛躍していく都市であるべきと考え、 未来に飛躍する自由自治都市といたしたところでございます。一方、その具体的な姿として、人が住み集う安らぎの場として、訪れる、遊ぶ、楽しみの場とし て、あるいは働く、学ぶ、投資する活躍の場として、常に選ばれる町であり続けることといたしたところでございます。今後これらの実現に向け、堺の持つ資源 や特性を踏まえた上で、特徴的な内容とすべく、プランの策定を進めてまいります。
 次に、経営戦略としてどの部分に経営資源を集中投下するかについてお答えいたします。
  マスタープランにつきましては、これから10年間の計画であり、今後、経営資源の減少が見込まれる中では、選択と集中という観点が当然求められているとこ ろでございます。そこで、子育てがしやすいまちづくり、歴史文化を生かした魅力あるまちづくり、環境先進都市の実現という、本市の成長を支える3つの分野 を中心に、先行プロジェクトとして重点投資することによりまして、人、物、金の良好な流れをつくり出したいと考えております。マスタープランの策定を通じ まして、限りある経営資源の配分先を明確にし、堺が向かうべき方向性を市民と共有することが何よりも重要であると考えております。
 次に、マスタープランにおける財政的視点の必要性についてお答えいたします。
  マスタープランに基づくまちづくりを進める前提として、当然、財源的な裏づけが必要であることは言うまでもございません。その財源につきましては、不断の 行財政改革を進め、財源を生み出すことはもちろんのこと、先ほど申し上げました成長を支える3分野に先行的に重点投資することにより、若年層の定住促進や 地域経済を初めとした町の活性化を図り、税源涵養に努めながら、良好な都市経営サイクルの形成に努めてまいります。これらの要素を加味し、マスタープラン の策定にあわせて財政の中長期見直しもお示ししてまいります。
 次に、庁議における議論の必要性についてでございますけれども、マスタープランの 策定にあたりましては、庁議や局長級による庁内委員会を初めとした議論はもちろん、有識者による懇話会など、さまざまなステージにおきまして議論を重ねて いるところでございます。マスタープランの骨子案につきましても、これらの議論を踏まえまして、公表してまいりたいと考えております。以上でございます。

◎健康福祉局長(西出茂春君) 国民健康保険についてお答えいたします。
 御質問の国民健康保険の加入者の負担を軽減していくこと につきましては、これまでも御要望をちょうだいしているところであり、市としましても真摯に受けとめております。これまで一般会計から国民健康保険事業特 別会計に基準外の繰り入れを行っている各政令市の繰り入れ理由や金額等を照会し、各市における基準外繰り入れの現状把握を行ってまいりました。現在、他市 の一般会計繰り入れ状況を参考に、関係部局ともども、市民全体で負担することに合理的な理由があると思われる経費の分析を行っており、その上で、本市とし て財政状況も勘案しながら何ができるか、鋭意検討しているところでございますので、御理解をお願いしたいと思います。
 続きまして、おでかけ応援バスについてお答えをいたします。
  おでかけ応援バスは高齢者の社会参加を促すことを目的とし、あわせて公共交通の利用促進を図るため、南海バス及び近鉄バス両社の協力を得て、高齢者の方に 市内路線バスを1回100円で御利用いただける事業でございます。このおでかけ応援バスは、バスの利用料助成を目的としたものではなく、バスの運賃が 100円になるというお得感から、高齢者が外出する機会をふやすことをねらいに実施している事業でございます。利用日は曜日を指定するのではなく、交通渋 滞を招きがちな、いわゆる五十日に特定をしております。
 次に、利用状況でございますが、事業を始めた平成16年度は、10月からの半年で利用回 数は約14万回、事業を本格実施いたしました平成18年度には約86万回、平成21年度には122万回を超えております。また、おでかけ応援バスカードの 発行枚数につきましても、平成21年度に10万6,000枚を超え、高齢者の半数以上の方にお持ちをいただいております。事業の評価につきましては、利用 回数、おでかけ応援バスカードの発行枚数の状況から、高齢者の外出支援に寄与しているとともに、民間バス会社と共同で事業を実施することにより、効率的か つ効果的に事業実施できているものと考えております。なお、事業費といたしましては、バス事業者に対する負担金など、平成21年度では約1億円を支出して おります。
 次に、今後の取り組みと拡充についてでございますが、平成16年度の開始時の月3回から平成18年度には月6回に拡充し、さらには平 成19年度には近鉄バス路線でも御利用いただけるように拡充をしてまいりました。本市といたしましては、五十日にはおでかけ応援バスを御利用いただき、他 の日には通常のバス運賃を御負担いただくことにより、路線バスの安定的な運行にも資するとともに、高齢者の移動手段の確保につながるものと考えておりま す。また、高齢者がますます増加する状況の中、本事業を継続可能な施策とするため、さらには外出が困難で路線バスを利用できない方との均衡を考慮し、利用 日の拡充につきましては慎重になるべきものと考えております。
 なお、現在、市内のバス停からの乗降を要件としておりますことから、他市と隣接す る地域におきましては、最寄りのバス停が市外のバス停であるために、離れた市内のバス停まで行かなければならないケースがございます。このような場合に、 最寄りのバス停から御利用いただけるように、市域に隣接する市外のバス停を利用可能とすることについて、現在、バス事業者と鋭意協議を行っておりますの で、御理解を賜りたいと思っております。以上です。

◎総務局長(辻林茂君) 堺版事業仕分け、みんなの審査会に関する御質問についてお答えをいたします。
 行政評価は事業の改善や選 択と集中を図り、効果的・効率的な行政運営を図っていくための不可欠なツールでありまして、本市におきましても、平成18年度から限られた資源の選択と集 中を図り、事業の再編・再構築を行うことを目的に、事務事業評価に取り組んでまいりました。しかしながら、本評価は行政内部の評価にとどまっておりまし て、外部評価の導入には至っておりません。行政評価の客観性や有効性をより高めるため、外部の視点を取り入れての検証が必要であることから、今回、その手 法の一つとして、みんなの審査会を行政評価に組み入れて実施したものでございます。
 みんなの審査会実施の総括についてでございますが、まず、職 員にとりましては、公開の場で議論をすることにより、事業の必要性など説明責任の重要性を再認識することができたことから、現場からの改善、改革の機運の 醸成につながったものと思います。また、市民の方については、市の仕事を一緒に考えていただき、市政や事業に対する理解が深まり、市民参加につながるよい 機会になったと感じております。そして、事業評価については、この審査会が行政評価のより有効なツールとなるよう、検討委員についてはそれぞれの専門的知 見から必要性や実施主体の妥当性などの論点について、順を追ってさまざまな視点から御議論をお願いしたところでありまして、その結果、今後の事業の改善・ 改革に資する貴重な御意見をいただけたものと考えております。
 次に、関連事業も含めた37事業の評価結果についてでございますが、それぞれの事 業において、最も多かった評価結果を申し上げますと、要改善が31事業、現行どおりが2事業、現行どおりと要改善の同数が1事業、強化・拡充が1事業、要 改善と廃止の同数が1事業、廃止が1事業という状況でありまして、要改善が約84%でございました。また、事業所管課における自己評価において、拡充もし くは現行どおりとしている26事業のうち、24事業については市民審査員による評価では要改善を選択される方が一番多く、行政の気づきにつながったのでは ないかと考えております。
 市民審査員の評価結果や検討委員の御意見などにつきましては、行政における今後の事業のあり方や改善・改革の検討に生かし、議会との議論を重ねていきながら、平成23年度予算編成作業を行ってまいりたいというふうに考えております。
  行政評価の今後の取り組みについてでございますが、今回の審査会において、施策目的を達成する手段として、関連事業も含めてわかりやすく整理することの必 要性、また目的に沿った成果指標の立て方などについての御指摘もいただいております。今後より評価の有効性や精度を高めるために改善を図るとともに、予算 編成や要員管理等とも連動する行政評価制度の構築を進め、その中でみんなの審査会の位置づけをより明確にしてまいりたいというふうに考えております。そう いった行政評価の取り組みを進めることによりまして、限られた資源を最大限に活用することによる効率的な行政運営に努めてまいります。以上でございます。

◆38番(吉川敏文君) 議長。

○議長(松本光治君) 38番吉川敏文議員。

◆38番(吉川敏文君) 市長を初め理事者の皆様から御丁寧な答弁をいただきました。
  まず、平成22年度堺市一般会計補正予算(第2号)のうち、債務負担行為の補正についてでございます。まず、保険年金電算システムの再構築の開発費用で 20億円の債務負担行為が新たに発生するとのことでございました。その額の妥当性はコンサルや、あるいは他社との見積もりを照合して担保したとのことでご ざいますが、聞くところによりますと、このコンサルにも3,000万円支払っているということでございまして、これは後ほど述べたいと思いますけれども、 ちょっと認識をしていただきたいと思います。
 これまで私はこうした事務処理をできるだけ電算化し、市民の利便性を向上させるとともに、大幅な人 件費の削減を行うとして、大いに賛成の意を唱えてまいりました。しかし、費用対効果を客観的に評価しなければならないとも同時にお願いをしてきたところで ございます。今回の議案にある電算システムの再構築は、開発費用だけで20億円、余りにも大きな金額であります。確かに現行システムを継続して使用するこ とに比べ、計算上の経費削減効果は認められるかもしれませんが、ゼロベースでとらえたときに、果たして20億円の開発費用が容易に認められるとは考えにく いのではないでしょうか。
 今、民間企業では、ブラックボックス化したシステムにかかる費用に対し、従来の常識を否定することから取り組む大幅削減策が実行されております。中でも最も削減が難しいと言われている既存システムの保守運用経費の削減が行われているわけでございます。
  例えばリコーでは年間で5%の削減目標では手ぬるい、今から2年間で運用保守コストを30%削減せよとの自社の運用保守要員にこう命じ、既に2010年4 月時点では2007年度比16%の削減を達成しています。期限までの残り約1年で、さらに14ポイントの上乗せをねらっているとのことでございます。新規 開発費ならばともかく、保守運用費を1年間で30%削減するのは至難のわざであり、企業においては30%も削減するためには、10年間かかるところもある と伺っております。そこには保守運用費は簡単に下がらないという思い込みを払拭し、本気で運用保守費の削減に取り組み始めたことがうかがえるわけでござい ます。また、東京海上日動火災保険では、予算費5分の1を達成、カルピスでは遠隔サービスで委託費半減を達成と、多くの企業が経費の大幅削減を成功させて おります。
 今回、補正予算ということもあり、特に目立ってしまったこの内容について、殊さら申し上げるのは担当課に申しわけないわけでございますけれども、この機会にぜひすべての電算にかかる経費の見直しをお願いしたいと思いますが、当局の見解をお示しをいただきたいと思います。
  次に、路面電車の活性化事業についてでございますが、総合都市交通計画の観点では、既存の鉄軌道網を生かした路面公共交通による利便性の高い公共交通ネッ トワークの形成に向けての第一歩と御答弁いただきましたが、いま一つわかりにくく釈然といたしません。また、阪堺線は南北に大きく発達した鉄軌道である南 海本線、南海高野線、JR阪和線、地下鉄御堂筋線等がある中で、その乗車数は非常に限られたものと認識をしております。それを単独で支援をするというこの 補正予算は、ほかの利用しない市民の理解を得ることが非常に難しいのではないかと考えております。
 さらに、市長、御答弁いただきましたが、提案 理由説明の中でもおっしゃった次年度以降に実施する予定の支援策全体計画もあわせて議論せよということになると、10年間50億円の支援策の是非も問わな ければならず、ましてや既存の鉄軌道網を生かした東西方向の交通軸の強化や交通相互の結節など、総合的な公共交通体系の構築が必要になってくるというあい まいな御答弁では、市民への十分な説明であるとは思えません。
 そこで、重ねてお尋ねいたしますが、今回の阪堺線支援策の理由についてお示しください。あわせて、今回の支援策の実施により、利用者が約21万5,000人増という見込みがございますけれども、その根拠もお示しをいただきたいと思います。
  次に、子宮頸がん予防ワクチンの公費助成についてでございますが、本市において2分の1相当額、1回7,000円を助成することは、教育費の支出が何かと 多い世代の保護者にとって非常にありがたいことでございます。しかしなお、3回の接種ということでございますので、2万1,000円が負担として残り、受 けたい人が受けられないという問題も発生すると考えられます。また、来年度以降の助成制度については、国の方針が明らかになった時点で改めて検討する必要 があるとの御答弁でございましたが、国での助成の可否にかかわらず、全額公費負担への拡充を実施していただくよう要望し、この質問は終わりたいと思いま す。
 次に、平成21年度決算と平成23年度予算への反映について御答弁をいただきました。さきの質問で、私は、歳入は前年度比に比較して約4,000億円増と言ってしまいましたが、400億円の増でございますので、訂正もあわせて申し上げたいと思います。
  本市が非常に厳しい財政状況の中で事業展開を続けていく御苦労を私どもは察するわけでございますが、市税収入の落ち込みや扶助費の増加等に対する特効薬は なかなか見つからないのが現状でございます。今年度継続された企業立地促進条例は、企業誘致並びに投資を促進し、法人市民税の涵養につながる大きな成果を 得るものであると考えております。また、民間事業者、省エネ設備等導入事業なども同じく重要であると考えており、税の涵養という視点をさらに強化をしてい ただきたいと要望したいと思います。
 決算結果に対する監査の意見にもありますように、常に事務事業の費用対効果の検証を行い、事業の選択と集中 を図り、緊密な組織連携のもと、真に必要な事業に効率的・効果的に取り組み、市民ニーズに即した効率的な行政運営や、中長期的な視点に立った計画的な財政 運営に努められることを要望いたしまして、この質問は終わります。
 次に、堺市の将来ビジョンと堺市マスタープランについて、それぞれに御答弁をいただきました。これはこれからも十分議論をしていきたいと思いますが、何点か先に要望を申し上げておきたいと思います。
  まず、戦略的な都市経営の視点から、政策、施策を打ち出してまいりたいとの御答弁でございましたが、この戦略的な都市経営の視点とは何かを、ぜひ明確にし ていただきたいと思います。また、経営戦略として、子育てがしやすいまちづくり、歴史文化を生かした魅力あるまちづくり、環境先進都市の実現という3分野 に経営資源の集中を行うとのことでございました。こうした明確な指針、戦略を持たれることは、私は大いに評価をしてまいりたいと思っておりますが、ぜひ子 育てがしやすいという分野では、日本一をめざした教育と子育て環境の充実と、こうした視点をぜひとも盛り込んでいただきたいと思います。そして、将来の都 市経営を支える財源の確保について、マクロ的視点での財政、その考え方はぜひお示しをいただくことを要望いたしまして、この質問は終わりたいと思います。
  次に、国民健康保険の保険料の軽減、負担の軽減でございますけれども、現状把握から経費の分析、さらに可能な方策を検討いただいているとのことでございま した。先ほども申し上げましたが、市民生活は一層厳しい状況に追い込まれており、一刻も早く具体策を実施いただきたいと思います。また、高齢者の健康施策 が国保に与える影響もぜひこの際研究いただき、単に国民健康保険財政単独で負担軽減を図ろうとするのではなく、総合的な健康施策を費用対効果を具体的に示 しながら進めていただくことも要望いたしまして、この質問は終わりたいと思います。
 次に、おでかけ応援バス事業について御答弁をいただきまし た。高齢者の社会参加を促すことを目的とし、平成21年度では約1億円の支出で、延べ122万回の利用をいただき、おでかけ応援バスカードの発行枚数は 10万6,000枚を超えているとのことでございました。これは高齢者の約半数に達するということでございます。しかし、評価に関しては、カード発行枚数 から外部支援に寄与しているとともに、民間バス事業者との共同事業であることから、効率的かつ効果的に実施していると、これだけの答弁にとどまっておりま した。これはしっかりとしたこの事業の評価ができていないんじゃないかと感じるわけでございます。
 まず、事業の目的が高齢者の外出支援であるな らば、この事業によって外出されるようになった高齢者がどれだけ増加したのか、これが評価の基準であり、さらに経済波及効果や健康促進による医療費抑制な どの効果も多岐にわたっているはずでございます。また、利用者の把握ができなければ、バス事業者へ支払う金額の妥当性を欠くことにもなります。1億円の事 業費に対して、高齢者の約半数の方がバスカードを持ち、122万回の延べ利用回数を確保していること、これはある意味、非常に成功している事業であり、さ らに拡大すべきとの見方もできるわけでございます。正確な事業評価ができない中で、現状維持といった判断を行うことは、1億円という予算を単に拡大できな いという、ただそれだけの判断でしかないのではないかと思うわけでございます。老人連合会を初め多くの高齢者が要望しているこの事業の拡大については、正 確な評価をいただき、再度検討いただくことを要望いたしまして、この質問は終わります。
 最後に、堺版事業仕分け、みんなの審査会について、私は 市長がおっしゃっている市政の見える化や市民目線での市政運営については、どんどん進めていただきたいと、このように考えております。本来、地方自治はそ こに住む住民のために仕事をする、そのことが最大のミッションであり、その声を聞き、そこにあるニーズにこたえていくことは当然でございます。市民目線で の市政運営とは、これは私なりの解釈でございますけれども、市民のニーズにぴったりとフィットした政策が無駄なく効率的に実行されている姿であると、この ように考えております。しかし、市民の声を聞く、あるいはそのニーズにこたえていくという姿勢に対し、最近の政治も含めた行政のやり方に若干違和感を感じ ております。
 ある方は選挙結果をもってすべて民意にこたえていると独走されたり、また、ある方は人気があることをもって民意に反映していると おっしゃっている、また、ある方は住民に接する機会をふやすことで民意を反映していると、このようにおっしゃる方もいるわけでございます。しかし、地方政 治や地方自治において、民意にこたえるとは、単に直接住民の意見を聞くだけにとどまらず、本来すべての住民のニーズを正確に把握して、その優先順位を明確 にした上で、税の使い道を適正に配分することにあると考えております。残念ながらすべての住民のニーズを把握することは、これは物理的に不可能であります から、さまざまな手法がそこで考えられていくわけでございます。そして、最も合理的で公平かつ民主的な手法として、議会制民主主義が用いられていると私は 認識をしているわけでございます。今さらこのような基本的なお話をしなければならないのは、その原点を政治も行政も、そして住民も見失っているのではない かと感じるからでございます。
 行政は本来、より多くの住民ニーズを把握し、それにこたえる政策、施策、事業、予算を提案する。議会はそれがより 多くの民意にこたえているかどうかを判断する。当然、利害がぶつかることもあるわけでございますから、そこは多数決という方法で結論を得るわけでございま す。事業評価とは、そうしたことが具体的政策や事業の中で機能しているかどうかをチェックすることにあると思います。したがって、実は事業を企画する段階 から評価は始まっていると考えるのが妥当だと思うわけでございます。
 こうしたことを前提に、今回の事業仕分けを検証すれば、まず事業が対象者と する市民のニーズに合っているかどうかという点を、全くその事業に縁もゆかりもない、抽せんで選ばれた市民の方が評価できるのかという問題点が浮かんでく るわけでございまして、それは先ほど御答弁をいただきました評価結果に要改善の選択をされる方が一番多いということからも十分うかがえます。行政から聞か れれば、改善してくださいよと、まず答えるというのが常ではないでしょうか。さらに、市政全般を俯瞰して、事業単独の視点だけではなくて、市政全般を俯瞰 して、最近では政策連携が非常に多くなっているわけでございますから、それを理解した上での判断ができるのかということも気になるわけでございます。
  次に、外部評価の必要性を質問いたしましたが、御答弁では外部評価は必要だから必要ですというふうな意味にしか聞こえませんでした。内部評価の結果も含め て、検討委員や市民の評価委員にレクチャーをし、コンサルを使ってその運営を任せなければならない外部評価が600万円という税金を使って本当にやるべき 外部評価の姿なのでしょうか。既に監査や包括外部監査という仕組みがあり、そして議会という市民ニーズに日常的に接している、ある意味、最大の外部評価機 関である議会をきちっと位置づけることなく、はやり病のように形だけをまねてコンサルをもうけさせるパフォーマンスは、まさに事業仕分けの対象とすべき事 業ではないかとさえ思うわけでございます。いま一度、外部の視点という定義を明確にしていただいた上で、議会の議論と相まった的確な行政評価ができる仕組 みを再構築するべきであると私は感じました。
 それから、何点かまだあるわけでございます。先ほどの御答弁では、公開の場で議論することによっ て、職員が事業の必要性等の説明責任の重要性を再認識することができたと。うーんと思います。そして、この内部評価では、拡充もしくは現行どおりとしてい る26事業のうち24事業について、市民審査員による評価で要改善と選択されたと、これが行政の気づきにつながったのではないかとお答えになりました。こ れもうーんと言わざるを得ないのではないかと私は思います。職員が自分の足を使って、現場での市民の意見や新たなニーズを集めることのほうが、よほど私は 画期的だと思います。そして、市民の皆様の声を聞く仕組み、これは大変重要でございます。市民のニーズを的確にとらえる。これを他市をまねるのではなく て、堺市独自の仕組みの構築を行っていただきたい。そして、全国を牽引していただきたい。
 私どもは札幌市にこの市民による事業評価を視察にいっ てまいりましたけれども、堺も形はそっくりなんですね。だけれども、札幌市の職員さんの言葉の裏に、その評価をお聞きをすると、うーんとおっしゃっており ました。そういうことよりも、先ほど申し上げた市民目線での行政を達成するために、どの時点で市民のニーズを吸い上げるのか、事業を行ってから今言ったよ うな形で意見を求めることも必要かもしれませんが、それよりも前段階で、本当に切実なニーズを抱えて、この事業の恩恵を受けているけれども、まだまだここ が足りない、あるいはこんなことは要らないという現場の生の声をぜひとも職員の足で稼いでいただきたいと申し上げまして、2回目の質問を終わりたいと思い ます。

○議長(松本光治君) 答弁を求めます。

◎総務局長(辻林茂君) 情報システムにかかる経費の見直しについてお答えをいたします。
 情報システムは市政運営において、今や なくてはならないツールとなっております。しかしながら、議員御指摘のとおり、それにかかる経費は少なくないということも事実でございまして、その削減に 向けた取り組みは急務であるというふうに認識をしております。議員から民間企業における運用保守経費削減の事例をお示しをいただきましたが、本市といたし ましても、情報システムにかかる経費の見積もり積算内容の妥当性検証を進めますとともに、全庁的な視点で効率的なシステムの構築や運用保守を実現すると いった、いわゆる全体最適化に向け取り組んでまいりたいと思います。以上でございます。

◎建築都市局長(荻田俊昭君) 今回の阪堺線への支援策案の理由につきましては、既存の公共交通を維持・活性化すると同時に、高齢社会の進 展への対応、商業、観光機能との連携、交流人口の増加など、今後の堺市全体の公共交通において求められる方向性にも合致したものであると考えております。
  東西方向の交通軸の強化や交通相互の結節などにつきましては、これまでも検討議論を重ねてまいりましたが、合意形成を得て実現化するに至らなかった経過を 踏まえまして、今回、市全体の総合交通体系を検討するにあたっては、市民の皆様に見える形で広く意見をお聞きしながら進め、市民理解を得ていくことが肝要 であると考えております。ワークショップや市民アンケートなどを通じて、みずからの交通行動や自動車利用のあり方などについて考えていただき、公共交通に 関する市民理解を深め、本市の公共交通の活性化につなげてまいりたいと考えております。そのためにも既存の公共交通機関である阪堺線を存続させることは重 要であり、今回の支援策について御理解をお願いしたいと考えております。
 次に、利用者が増加する根拠について、まず、堺市内、大阪市内区間の1 区間運賃化につきましては、平成18年度に2カ月間実施した社会実験の結果、4割近く利用者が増加したことから、年間12万人の増加があると見込んでおり ます。高齢者利用割引につきましては、バスにおけるおでかけ応援制度の実績から、年間5万9,000人の増加があると見込んでおります。ゾーンチケットに ついては、堺都心1日フリー乗車券の販売実績から、年間3万6,000人が増加し、合計で21万5,000人が増加すると見込んでおります。以上でござい ます。

◆38番(吉川敏文君) 議長。

○議長(松本光治君) 38番吉川敏文議員。

◆38番(吉川敏文君)  電算にかかる経費の見直しについて御答弁をいただきました。電算システム全体にかかる費用、これ、市長、もう莫大なんですが、年間44億円を超えており ます。これは実に退職手当を除く人件費の約1割に相当する額でございます。今後の財政運営を考えるならば、この部分に切り込まなければならない、このよう に私は訴えたいわけでございまして、その見直しを全庁的な視点で行っていただけるとのことでありますが、その目標と計画、推進体制も含めて明確にしていた だき、業界の常識を打ち破るコスト削減に取り組んでいただきたいことを要望して、この質問は終わりたいと思います。
 最後に、阪堺線活性化事業で ございますけれども、私どもも阪堺線は存続・活性化させなければならないと、このように基本的に考えております。しかし、今回上程されております補正予算 にある公費を投入させる場合、これを未来永劫ずっと続けるのかどうか、こうした判断をできる説明は、まだまだ不十分ではないかというふうに感じておりま す。また、他の公共交通機関しか利用しない方、特に私は泉北に住んでいるわけでございますけれども、もう本当に申しわけないんですが、日常的に阪堺線を利 用することは皆無です。しかし、阪堺線が自立して可能となる拡充策、例えば堺市の悲願である東西鉄軌道との結節だとか、地域公共交通ネットワークの確立、 これはぜひとも私どもは必要であると、このように考えております。そうでなければ、先ほどの御答弁いただきました乗車人員がふえても自立できない、つま り、その支援をやり続けなければならないということでございまして、この件に関しましては、本日の御答弁を十分吟味しながら、委員会でさらに議論をしてま いりたいというふうに申し上げて、私の質問は終わりたいと思います。ありがとうございました。


[議会での質問]メニューに戻る]