2011年
第3回 定例会(9月5日)
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◆42番吉川 敏文君)(登壇)
 
 皆様、こんにちは。公明党の吉川でございます。我が会派といたしましては3巡目の質疑でございますけれども、本日は今議会に提案された議案について何点か伺いたいと思います。どうか私ども議会が責任を持って審議し判断できるよう、明快かつ要領を得た御答弁をお願いいたします。

 初めに、議案第94号大阪府道高速大阪池田線等の事業の変更の同意、いわゆる阪神高速道路の距離制料金への変更のほか、事業の変更についての議会同意について伺います。

 阪神高速道路の距離制料金導入については、平成19年よりその案の提示がございましたが、今議会への議案提案に至る経緯、今回示された料金案及びその考え方、平成19年の申し入れの内容とその対応、この3点についてそれぞれ簡潔にお答えをいただきたいと思います。

 次に、議案第80号堺市鉄道軌道整備基金条例の一部を改正する条例並びに議案第95号平成23年度堺市一般会計補正予算案のうち、阪堺線の自立支援事業についてあわせて伺いたいと思います。

 この議案第80号は、堺市鉄軌道整備基金の条例の一部を改正し、現時点で約33億円と伺っておりますけれども、この基金を阪堺線の自立支援事業に利用できるようにするためのものであり、補正予算案は、その基金の一部を取り崩し、阪堺線にLRV導入を行うための補正予算案でございます。
 私ども市議会は、阪堺線の支援については5項目にわたる要望決議を行い、10年間で約50億円に上る支援策の一部執行を認めたという経緯がございます。このことは市当局も十分認識をされていることであると思います。それは裏返して言えば、5項目を実行できなければ、次の新たな支援策に対して議会は認められませんよと、このように私は認識をしております。ちょうど1年前のお話でございます。

 念のため、この5項目を確認いたしますと、

1つ目は、本市総合都市交通計画を早急に策定し、阪堺線の自立支援策及び鉄軌道を基本とした路面公共交通による東西交通軸との結節について具体的に示すこと。

2つ目は、当局は阪堺線利用促進策を初めとする本支援策の実施に当たっては、定期的かつ継続的な検証を行いながら効果測定を行い、費用対効果を見きわめること。

3つ目が、阪堺線沿線地域の活性化のみならず、全市的なまちの魅力の向上及びにぎわいと交流のまちづくりに寄与する方策を本市及び事業者だけでなく、市民及び地元企業などの協力も得ながら、一体的連携のもと早期に検討を行い、具体的かつ明確に示すこと。

4つ目が、阪堺電気軌道株式会社及び南海電気鉄道株式会社に対し、具体的な経営方針の確立を求めること、また、行政レベルにおいても、沿線自治体である大阪市とともに利用促進策等について働きかけを行うこと。

そして最後が、阪堺電気軌道株式会社が求めている阪堺線の公有民営化については、東西鉄軌道との一体経営という事業スキームを前提として合意されたことであり、阪堺線単独での公有民営化には慎重に対応すること。この5項目でございました。

 確かに、この中には時間をかけて議論をし、結論を出せないものもあるかと思いますが、新たな支援策を提示するのであれば、まずこの10年間、50億円の事業計画をどのように考えているのか、また、市長がいつもおっしゃっている費用便益性、いわゆる費用対効果をどのように算出しているのか、これは最低限明確にしていただきたいと思います。これは民間企業では当然のことであり、新たな投資を行うならば、その費用便益を明らかにするというのが当たり前のことでございます。その上で、この支援策の新たな提案あるいはその継続を提案すべきであると、このように考えますが、当局の見解をお示しいただけますでしょうか。

 加えて、今回はLRV車両の導入ということであり、お聞きすると、この車両は軌道補修が必要なことから、大阪市内には現状のままですと乗り入れができないということでございます。したがって、LRV車両は導入したとしても、大和川を越えられない。この問題も大阪市への積極的な働きかけはどうも行われていないように感じられます。本気で阪堺線を自立させようと考えているのか、疑わしくさえなってくるわけでございます。そうした状況で、この提案をしてこられたわけでございます。心して御答弁いただけますようお願いをいたします。以上で1回目の質問を終わります。

 (小西一美副議長、馬場伸幸議長にかわり議長席に着く)
 
○副議長小西 一美君)(登壇)
 
 これより答弁を求めます。
 
◎建設局長坂本 和之君)
 
 議案第94号大阪府道高速大阪池田線等の事業の変更の同意についての御質問にお答えいたします。

 平成19年に阪神高速道路株式会社が示しました距離料金案に対しまして、案を修正するよう強く申し入れを行った後、平成20年度に対距離料金制への移行を平成23年度以降に延期する事業許可が申請され、本市議会の議決を経まして本市として同意いたしております。その後、国土交通省が平成22年12月に高速道路の料金割引に関する基本方針を、また平成23年2月には具体的な割引内容を示す高速道路の当面の新たな料金割引についてを発表いたしております。これに基づき、今回阪神高速道路株式会社から料金制の改定を含む事業計画の変更に係る同意申請がなされ、本議会にお諮りしているところでございます。

 次に、今回示された料金案につきましては、長距離利用者の負担を軽減し、圏域間の移動においても利用しやすい料金体系とするため、料金圏のない対距離制とし、下限料金を500円、これに6キロメートルごとに100円を加算し、上限900円を設定されております。

 料金設定の基本的な考え方といたしましては、現在の阪神高速道路における平均的な利用者は普通車で、平均利用距離約15キロメートル、支払い額約760円となっております。これを基本額として、これより高くなる利用者数と安くなる利用者数がほぼ同じとなるよう設定いたしております。

 次に、申し入れの件でございますが、平成19年では3点の申し入れを行っております。

 まず1点目といたしましては、平成19年の案では、東圏域では上限1,200円の対距離料金制が示されていたため、上限料金の引き下げを申し入れております。2点目といたしましては、都市高速道路の一体的なネットワークとして、効率的に利用できる連続利用や乗り継ぎ利用への割引制度の導入を申し入れております。これら2つの事項に関しましては、上限を900円とするとともに、料金圏が廃止されるなど一定の改善がなされた案となっております。

 しかしながら、3点目の申し入れ事項であります軽自動車料金の設定につきましては、今回の料金案には反映されておりません。このため、軽自動車料金の設定も含め、利用しやすい新たな料金体系につきまして、国土交通省、地方公共団体、日本高速道路保有債務返済機構及び高速道路会社から成る国と地方の検討会におきまして検討を行うとともに、大阪府など関係府県市と連携し、国や阪神高速道路株式会社に対しまして、料金体系の一元化に向けた提案、要望等を行い、その実現に向けて努力してまいりたいと考えております。

以上でございます。
 
◎建築都市局長荻田 俊昭君)
 
 堺市鉄道軌道整備基金条例の一部を改正する条例についてお答えをいたします。

 阪堺線の活性化を図っていく上では、市民、企業と行政が一体となって取り組むことが重要であるものと考えております。このたびの条例改正の趣旨は、基金の対象事業を拡充し、阪堺線のLRV導入などにも本基金を適用するとともに、ふるさと納税制度や市民、企業からの寄附金の受け入れ先にも活用しようとするものでございます。

 今回1両編成のLRV導入を予定しており、国の3分の1の補助制度の活用を前提として、市民、企業からの寄附金も含めて基金から約1億6,000万円を充てる想定をしております。

 なお、東西鉄軌道のあり方につきましては、公共交通検討会議において今後とも引き続き十分に議論を尽くしていただきたいと考えております。

 続きまして、阪堺線への10年間の支援スケジュール及び費用対効果についてお答えをいたします。

 昨年10月20日に阪堺電気軌道株式会社と締結した阪堺線(堺市内区間)の存続に係る基本合意に沿って、老朽化対策への支援、高齢者割引、運賃均一化など利用者拡大策への支援などを実施しているところでございます。

 今後の支援につきましては、阪堺線の利用状況調査や阪堺線の沿線の方々の意向を伺いながら、毎年効果分析を行い、緊急性や市民ニーズの高いものから実施をしていきたいと考えております。

 低床車両の導入は、人と環境に優しい交通をめざす本市が鉄道やバスなどの交通施策のバリアフリー化を推進してきた中で、バリアフリー化がおくれている阪堺線についての市民からの強い改善要望に対応しようとするもので、阪堺線の利用拡大にもつながると考えております。

 阪堺線支援の効果といたしましては、施設改修による安全性の向上、利用者の増加、事業者の収支改善、観光客など沿線来街者数の増加、市民、来街者の満足度の向上などが考えられます。利用者の増加につきましては、阪堺線と上町線の全路線の利用数が前年度の同月と比較いたしますと、1月から3月においては1日当たり平均715人の増加、4月から6月には1,229人の増加と大きな伸びを示すなど、効果があらわれております。専門家も参画しております阪堺線への支援に対する効果検証を行う阪堺線活性化推進懇話会での議論も踏まえ、市民の方々にわかりやすい効果分析に向けて努力をしてまいります。

 次に、阪堺線の自立に向けた道筋につきましては、阪堺線の利用者を持続的に拡大させ、安定した経営をめざすには、沿線の活性化が最大の課題であると認識をしております。本市では、これまでも沿線において、観光などまちづくりの取り組みを行ってきたところですが、この9月に旧市立堺病院跡地の暫定駐車場のオープン、また、10月に町家歴史館清学院のオープン、同月、仮称ではございますが、堺伝統産業会館などのリニューアルオープンなど、さらに沿線のまちづくりが進みつつあります。また、大阪市内路線へのLRVが整備されるよう大阪市にはさらに働きかけをかけてまいります。

 今後とも市内関係部局が連携し、阪堺線沿線の活性化を進めていきたいと考えております。

以上でございます。
 
◆42番吉川 敏文君)
 
 議長。
 
○副議長小西 一美君)
 
 42番吉川敏文議員。
 
◆42番吉川 敏文君)
 
 それでは、まず議案第94号大阪府道高速大阪池田線等の事業の変更の同意についてでございますけれども、御答弁をちょうだいいたしました。

 料金の設定については、普通車での平均利用距離約15キロメートル、支払い額約760円を基本額として、高くなる利用者数と安くなる利用者数がほぼ同数になるように設定されたと、このようなことでございます。これは大変合理的な設定であるとこのように思いますけれども、聞くところによると、この料金改定で料金収入は年間約13億円増加するということでございました。こうしたことや阪神高速道路株式会社の体質は改善されているとはいえ、利用者に納得のいくものになっているかどうか。あるいは3点にわたる申し入れについては一定評価ができるものの、軽自動車料金への対応など不十分な面もあり、これは十分今後議論が必要であるとこのように考えます。この議案につきましては、常任委員会でさらに議論を深めてまいりたいとこのように考えます。

 次に、議案第80号及び議案第95号の阪堺線の自立支援事業についてでございますが、この本会議が始まる前に答弁書をいただきましたので、2問目が整理をできておりません。何を言い出すかわかりませんが、お許しをいただきたいとこのように思います。

 まず、阪堺線の支援策について御答弁をいただきましたが、率直な感想として、はしにも棒にもかからない答弁じゃないかというふうに思っております。これまでの皆様方が御答弁をされてきた内容を整理をして、御自身で一度御答弁の内容を整理をしていただきたい、このように思うわけでございます。

 先ほども申し上げましたが、新たな投資をする以上は、当然その投資がどういう効果があるのか、さらには、それが市民にとってどう便益を与えるのかということをやはり最低限提示をすべきでございます。これ、きょう申し上げて、あした答えをくれという話ではなくて、既に1年前、さかのぼると、この議論はずっとあったかと思うわけでございますが、この間皆さんはその御準備をされてこなかったのかどうか、大変疑問に思うところでございます。どうかこの点は、ぜひとも議会が責任を持って判断できる皆様方の提案をしていただきたいと思うところでございます。

 かつて市長は、阪堺線についていろいろ御答弁をされておりますけれども、子どものときから阪堺線を利用していました、阪堺線のファンでございます、阪堺線を何とか存続したいというふうに思っているということを述べられました。私は堺で生まれ育っておりません。住んでいるところも泉北でございます。阪堺線のファンでも何でもないです。

 しかし、この堺にとって阪堺線というリソースは、公共交通におけるリソースは大変有効であるとこのように思っております。しかし、その阪堺線が存続の危機にさらされて、市長がおっしゃったカンフル的にまず支援をしようと、そして元気にするんだ、さらにその先には自立、これも皆さんがしっかりと御答弁をいろんなところでされているわけでございますけれども、持続的に自立運営ができるようになること、これが最大の目標であるというふうにおっしゃられているわけでございまして、ならばこの10年間をどうとらえるのかということでございますけれども、これも議会で皆さん御答弁をされております。

 この自立に至る期間、市長は、私は10年ととらえなければならないというふうに思っているということをお答えになられた。そうすると、この10年で阪堺線自立の道筋をきちっと立てないといけないと、皆さんは私ども議会におっしゃられたわけでございます。その上で、まず阪堺線支援のカンフル剤的な支援を議会としては了承したと、私どもはそのように理解をしているわけでございます。

 ならば、10年間のどういう形でどういう支援をして阪堺線を自立に導いていくのか、あるいは阪堺線の経営状況がどういうふうに変化をしていくのかということは、最低限皆さんがお示しをいただかないと、我々は頑張りますという決意だけでは判断ができないというふうに思っているわけでございます。

 さらに、今回のLRVの導入、先ほど御答弁をいただいたわけでございます。低床車両の導入というのは、人と環境に優しい交通をめざす本市が交通施設のバリアフリー化を推進してきた中で大変おくれていると、だからバリアフリー化をするんだと御答弁があったわけでございます。今回の予算案では、1編成のLRV導入。1編成とは私は詳しくわかりませんが、多分1両導入するんでしょうけれども、じゃあ阪堺線全体のバリアフリー化というのはどういう計画で、どのように進めていき、果たして堺はそれに対してどういう支援をしていくのか、これもまた次の課題になってくる、このように思うわけでございまして、次々と現象、今起こっている現象は皆さん報告をいただいているわけでございますけれども、それを分析して将来どうするのかということは一向にお示しにならないというふうに感じたわけでございます。

 また、この阪堺線、自立させるためには沿線の活性化が最大の課題と、また新たな課題が出てきたわけでございまして、当然それは、これまでも言われてきたことでございます。沿線のまちづくりというのが大事だよと。そこにLRTに乗っていただくインセンティブがないと、なかなか乗客はふえないだろう。当然そうなんですが、じゃあこの都心のまちづくりの中で、それにつながる皆様方の御提案が明確になっているかというと、なかなかそういうふうには思えない。こんな現状の中で、この10年をどう使うのかということが皆さん本当に明らかになるんだろうか。10年たっても今の現状が変わらなければ、一体この50億円にわたる支援策は何だったのかということになるわけでございます。

 さらに申し上げさせていただきますと、先ほど、この支援策によって乗客がふえてきた、私はこれはよかったなと思います。支援策をいろいろやって乗客がふえなければ、それこそ大変なことでございますけれども、乗客がふえたということは、一義的には効果があったと見えますけれども、果たしてそれがどのように自立につながっていくのか、ここが見えないわけです。乗客がふえて、それは料金を税を投入して安くしたから、あるいはいろんなゾーンチケットをやったからふえた。当然そうだろうとは思いますけれども、じゃあそれは経営改善にどのような効果があるのか。この支援策がなくなっても、この乗客を維持できるのかどうか。多分できないと思うんですけれども、そのことも考えないといけない。

 さらに、阪堺線を自立させるためには、今の乗客数の倍の乗客を見込まないとだめですよと皆様方は過去におっしゃったことがある。じゃあ倍にするためにはどうするのかという。私は、小さな支援策の積み重ねでは、なかなか倍にはならないんだろうなと漠然と思っております。路線を拡大する以外にないんじゃないかなとも思っております。

 しかし、そのことについて皆様方は合理的にこうだという説明がないわけでございまして、その中でこんなお金を使いますというのはいかがなものか。ましてや東西鉄軌道のために積み立ててきた基金、これをLRVの購入に使いますよ。私は、これは明らかに目的が異なっているというふうに感じます。

 東西鉄軌道については、今、総合交通計画検討会議でしたかね、ちょっと正確ではないかもしれませんが、そこで議論をしている。まだこの結論は出ておりません。その中で、過去に東西鉄軌道のために積み立ててきた貯金をこの阪堺線の支援策に使っていいのかどうか。これは、私は決してそうではないというふうに感じたわけでございます。皆様方のそうした姿勢が何か今、場当たり的に行われているように見えて仕方がございません。

 どうかこの件については、建設委員会もございます。細かいところも議論いたしますけれども、どうか筋の通った、さっき黒田議員がおっしゃっていました、筋が通ることが大事だと。まさにそのとおりでございまして、市民の税金を使う以上は、公平・公正に市民の皆様方にこれだけの税金を使います、それは堺市にとってこれだけの効果があって、市民の方にこれだけの恩恵をもたらしますということぐらいは、せめておっしゃられてはどうかということを申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。

以上です。
 
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