2011年
第5回 定例会(12月2日)
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◆42番吉川 敏文君)(登壇)
 
 公明党の吉川でございます。ただいま提案されました堺市教育基本条例案について質問をしたいと思います。

 公の議会に提案された条例案でございますから、私どもは真摯に議論をしてまいりたいと、このように思っております。

 本条例案の第1条には、付議案件綴22ページでございますけれども、先ほども提案理由で、ほぼこの条例案の前文を述べられたわけでございますが、私どもはこの前文を中心に質問をしたいと思います。この条例案の第1条には、教育基本法と国法が定める教育目標を市において十分に達成すべく、これらの法令を補完することを目的とすると、同条例の目的が記述をされております。しかし、一方では付議案件綴21ページ、4行目でございますけれども、前文の4行目でございますけれども、教育に民意が十分に反映されてこなかった結果生じた不均衡な役割分担を改善し、政治が適切に教育行政における役割を果たし、民の力が確実に教育行政に及ばなければならないとも記述をされているわけであります。あくまで本条例案が法の補完としながらも、明らかに法に定められている役割分担を改め、政治の教育行政への影響力を強める、法が定める教育の政治的中立性を侵そうとするものと考えられます。

 私どもは社会のための教育ではなく、教育のための社会、チャイルドファースト社会の実現を提唱しております。その立場から申し上げても、教育の政治的中立性は守り抜かなければならないと考えていることをまず冒頭申し上げたいと思います。

 それでは、提案会派に伺いたいわけでございますけれども、条例案の前文には、付議案件綴21ページの前文の7行目でございますけれども、教育行政に政治は一切関与できないかのように認識され、その結果、教員組織と教育行政は聖域扱いされがちであったと、先ほどもおっしゃられたわけでございます。現状の地方自治体の教育行政が聖域化されて、選挙で選ばれた市長や民意を代表する議会の意見などが教育行政に反映できないんではないかと、このように現状認識を示されているのではないかと解釈をいたしますけれども、それで間違いがないかどうか、まず、この点を提案会派である維新の会の皆様にお尋ねをいたします。

 次に、同条例案には、これも前文でございますけれども、付議案件綴21ページ、前文の9行目でございます。教育の政治的中立性とは、本来、教育基本法第14条に規定されているとおり、特定の政党を支持し、また、これに反するための政治教育などを行ってはならないとの趣旨であって、教員組織と教育行政に政治が関与できない。すなわち住民が一切の影響力を行使できないということではないとも記述をされております。

 しかし、私どもは教育の中立性については14条だけではなく、同法16条にも、教育は、不当な支配に服することなく、この法律及び他の法律の定めるところにより行われるべきものでありと、このように定められており、ここにも教育の中立性を求める教育基本法の趣旨があるのではないかと考えるわけでございます。この点については、教育行政のプロである教育委員会にその解釈をお尋ねをしたいと思います。

 さらに、前文には、付議案件綴22ページ、前文の2行目でございますけれども、地方教育行政法の組織及び運営に関する法律の第25条においては、教育委員会及び地方公共団体の長は、事務の管理・執行に当たって、条例に基づかなければならない旨を定めている。すなわち、議会が条例制定を通じて、教育行政に関与し、民意を反映することは禁じられているどころか、法律上も明らかに予定されているのであると、このようにあるわけでございます。しかし、この地教行政法第25条は、同法に定める教育委員会の職務権限、長の職務権限、そして、職務権限の特例の3つの条項の事務を管理し、及び執行するに当たっては、法令、条例、地方公共団体の規則並びに地方公共団体の機関の定める規則及び規定に基づかなければならないということであります。いわゆる23条から25条の前の3条を、実は25条では、それは法令、条例、地方公共団体の規則並びに地方公共団体の機関の定める規則及び規程に基づかなければならないということであって、それぞれの職務権限を自由に条例で定めてよいということではないと、このように考えるわけでございますけれども、提案会派はどのようにお考えなのかお示しください。また、教育委員会にもそれに対する見解を求めて1回目の質問を終わります。
 
○議長馬場 伸幸君)
 
 これより答弁を求めます
 
◆31番水ノ上 成彰君)
 

 議長。

 
○議長馬場 伸幸君)
 

 31番水ノ上成彰議員。

 
◆31番水ノ上 成彰君)
 
 公明党吉川敏文議員の質問にお答えをいたします。

 まず最初に、前文の教育の政治的中立性の話でしたかね。現在の市長が必ず選挙などをするときには、教育の目標なりを公約に掲げます。教育に興味のない市長、首長はいらっしゃいません。当選した暁には、その掲げた、民意で当選をされているわけですから、その民意を、信託を受けたその公約をいかにして教育行政に反映させるか。そのときに、そのまま市長の教育目標が教育委員会の目標になるかならないかは大きな問題だと思うんですけれども、民意で選ばれた市長の目標が、協議という場を置いてでも、直ちにそれが教育行政に反映されることは、私は望ましいというふうに思っています。しかし、現在では、その教育委員会の独立性ということが、中立性、独立性ということが余りにも大きく取り上げられて、なかなかそういうところにはなっていない。もちろん、市長は予算の編成権、執行権がございますから、その範囲内で効力を及ぼすわけですけれども、もっと高い、または長期間の目標を掲げることは、私は必要だというふうに思います。そういう意味で、一定の政治的な関与はあるとしても、我々の求めるところは、もう少し高いところまで政治的な関与を求めたいというふうに思っているわけであります。

 続きまして、25条の件ですけれども、地教行法の25条は「教育委員会及び地方公共団体の長は、それぞれ前3条の事務を管理し、及び執行するに当たつては、法令、条例、地方公共団体の規則並びに地方公共団体の機関の定める規則及び規程に基づかなければならない」と、このようになっております。これは23条から24条の2までのことを指しているわけでありますが、そこで条例に基づくということで、先ほども議論がありましたけれども、地方自治法の第112条におきまして、普通地方公共団体の議会の議員は、議会の議決すべき事件につき、議会に議案を提出することができると、予算を除いてですけれども、そういうふうに定められておりまして、我々議員が、教育委員会のこの23条から24条に掲げる事務を管理し、それに当たっての条例を定めることは制限されることではなく、当然、議員提案権はあるというふうに考えております。

以上です。
 
◎教育次長石井 雅彦君)
 
 教育基本法第16条、教育は、不当な支配に服することなくという文章の解釈について、まずお答えします。

 本条は、教育及び教育行政のあり方を示すもので、教育が国民全体の意思とは言えない一部の勢力の不当な介入を排除して、中立性及び不偏不党性を確保しつつ行われることが必要であること、また、教育が公正・中立に行われるためには、教育基本法を初めとする関係法規の定めるところにより行われるべきことを明確にしているものであります。

 続きまして、地教行法の第25条の解釈について御説明申し上げます。

 地教行法第23条、24条は、教育委員会と首長の職務権限をそれぞれ定めております。また、同法第24条の2では、例外として首長が教育に関する事務を管理・執行できる職務権限の特例について規定をしております。

 地教行法第25条は、教育委員会及び地方公共団体の長が所管事務を処理するに当たっては、法令、条例等に準拠しなければならないという原則を規定したものであって、それぞれの職務権限を自由に条例で定めてよいということではございません。したがいまして、条例案前文における地教行法第25条の条文解釈については、適切なものではないと考えております。

以上です。
 
◆42番吉川 敏文君)
 

 議長。

 
○議長馬場 伸幸君)
 
 42番吉川敏文議員。
 
◆42番吉川 敏文君)
 
 まず、御答弁いただきました、ちょっと質問した内容と違う御答弁だったかと思うんですけれども、まず、この条例を提案される際に、前文が先ほどの堺市職員基本条例も同じなんですが、前文にこの条例の重要なファクターがおさめられているというふうに我々は解釈しておりまして、そこに貫かれている理念が、あの条例を支配しているのではないかなというふうに思うわけですけれども、基本的に維新の会の皆さん方は、選挙で当選した首長あるいは議会がもっと積極的に教育行政に関与すべきではないか、その裏返しとして、現状、余り教育行政に議会も含めて影響力がないんじゃないかということを言われているのかなというふうに私は解釈したわけですね。

 ただしですね、現在の教育行政は、確かに教育委員会というのは確かに独立機関で、大変大きな教育行政に対する役割を果たしているというふうに思うわけですが、その教育委員会の委員を任命するのは、これ市長なんですね。首長、大阪府にあっては知事。ですから、教育行政の大きな役割を果たす教育委員会の委員を選ぶのは、実は首長であるという、そこにまず大きな首長の教育に対する思いがまず伝えられる部分があるのではないかというふうに思っております。ですから、維新の会の皆さんが言う、まず首長が教育行政にあんまりかかわれないという話ではないのかなというふうに思います。

 それから、民意を代表する議会が、教育に対して住民の意見を反映できないんではないかという認識なんですが、それではこの私たちの堺市議会は何なのかという自己否定につながらないか。我々は、本市の教育行政にかかわるさまざまな議案を、並びに我々が提案した内容をここで議論をして、その結果、教育行政に反映させていただいていると、私は認識をしております。現に教育行政に特化した常任委員会である文教委員会も、この堺市議会には存在するわけで、果たして民意を代表する議会の意見が教育行政に反映されてないということにはならない。それは、もしそう断言するのであれば、自分たちの役目は何なのかということすら否定することにつながるんではないかと、私は危惧をするわけでございます。

 ただし、教育基本法に定められた教育委員会の役割、あるいは首長の役割、議会の役割、それぞれこれはあるわけでございまして、それは法に定められた役割を守ることによって、先ほど来申し上げている教育の政治的中立性を保とうとする力が、そこで働くんではないかというふうに考えているわけでございます。

 それから、この提案された堺市教育基本条例案でございますけれども、全部で47条の条項が定められているわけですが、実は12条から40条まではほぼ罷免、懲戒処分、分限などを含んだ人事管理的な内容でございます。教育委員を除いて、実は堺市立高校にしか適用されない内容であるわけです。この条例案の大部分を占める部分が、実は堺市立高校1校にしか適用されないという内容でございまして、果たして私はこのような条例が、堺の子どもたちをはぐくむ堺の教育によい結果を生むことができるのか、甚だ疑問であるわけでございます。

 先ほど提案理由のところで述べられた国際的に通用する人材を育てていくんだというお気持ちもよくわかりますし、現状の堺市の教育行政がすべてパーフェクトに執行されているとは言いがたいという部分も共感はできるところでございますが、法に定められた役割をきちっと遵守する中で、私たちはその改善を行っていかなければならないのではないかというふうに思います。

 大変失礼な話ではございますけれども、法令に抵触するような条例というのはつくれないわけで、この議会でこれが法に抵触する、いや、抵触しないという、こんな押し問答をしても、それは結果が出ないわけでございまして、抵触しないのであれば、なぜ抵触しないのかという、先ほど長谷川議員もおっしゃってましたけれども、判例をもってやはり証明するしかないわけでございまして、そこの部分を指摘をしておきたいと思います。また、この条例の内容については、常任委員会でしっかりとまた議論をしてまいりたいということを申し上げて、質問は終わります。ありがとうございました。
 
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