1995年
民生経済委員会(6月12日)
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吉川 委員
 
 皆さんおはようございます。公明の吉川でございます。私にとりましては、今回が初めての質疑になります。どうかよろしくお願い申し上げます。

 さきの本会議におきまして、公明から大綱質疑の中で質問させていただいた市政の市民参加システムと福祉ボランティア育成について、これを高齢者福祉拡充の観点で具体化してまいりたいと、このように思います。

 総務庁の推計によりますと、昨年9月現在、わが国の65歳以上人口は、全人口の14%を超え、ほぼヨーロッパ諸国の水準に達したわけでございます。そして今後、この高齢化は急速に進むと予測されておるわけでございますが、当市でもその対応は、既にさまざまな形で計画、実施されていることと思います。なかでも高齢者介護サービスの拡充は、安心して暮らせる社会の実現にとりまして、非常に重要な課題であると認識しております。そこで、初めに在宅介護3本柱の1つでございますホームヘルプサービスについて、ここ数年の派遣状況をお尋ねしたいと思います。

よろしくお願いします。
 
井口 高齢化対策推進課長
 
 おはようございます。よろしくお願いいたします。

 ここ数年のヘルパーの派遣状況でございます。平成4年度から申し上げます。平成4年度は2万1,392回でございます。平成5年度でございます。2万8,256回、前年に比べて約32%増でございます。平成6年、3万6,243回、前年に比べまして約28%の増でございます。平成7年は当初予算ベースで申し上げます。平成7年度当初予算ベースでは4万3,600回を予定しております。この数字は前年に比べ約21%の増でございます。

以上でございます。
 
吉川 委員
 
 ただいま派遣回数ということで、お答えいただきました。

 皆様のご努力で毎年二、三十%増加しているようでございますけれども、本市の高齢者保健福祉計画に示されております目標量と比較いたしますと、非常に低い数字のように思いますが、この平成7年度当初予算ベースでこの4万3,600回というご予定でございますが、これは目標量に対してその達成度はどの程度になるか、お答えいただけますか。
 
井口 高齢化対策推進課長
 
 目標量に対する達成率でございます。18.8%と相なります。

以上。
 
吉川 委員
 
 これも計画目標量に比べると、非常に低い数字でございます。先ほどお示しいただきましたここ数年の派遣状況、年率二、三十%で増加させていっているという、この状況のままで推移いたしますと、これ目標年度は平成11年かと思いますが、計算してみますと約12万5,000回程度にしかならないわけでございます。これは、目標量23万1,622回というのを目標に掲げられておりますけれども、これの約半分ということでございまして、今お答えいただいた状況から目標量、本当に達成できる見込みはあるのかどうか。また、その場合はどのような方法でもって達成されようとしているのか、お答えいただきたいと思います。
 
井口 高齢化対策推進課長
 
 過日の本会議でもご答弁させていただきました。計画としてお示しした目標でありますので、ぜひとも達成したいという我々の考えは変わっておりません。現状を申し上げますと、市のヘルパーと特養のヘルパー、二本立てで派遣をしている状況でございます。市のヘルパーにつきましては、現在欠員補充のみで、全体の枠をふやすということは考えてございません。ですから当面は特養のヘルパーをふやしていくと、このような方法で対応していきたいと考えております。

以上。
 
吉川 委員
 
 それでは、確認のためにお尋ねいたしますが、ここ数年のヘルパー数の推移はどのようになっているのか。また、保健福祉計画の中での目標ヘルパー数をどのように設定されているのか、お答えいただきたいと思います。
 
井口 高齢化対策推進課長
 
 まず、ヘルパー数のお尋ねでございます。

 平成4年度からお答えいたします。平成4年度につきましては、常勤8名、非常勤75名、非常勤、これは定日制の非常勤でございます。それから登録制の非常勤が9名、特養等の委託ヘルパーが17名、合計109名でございます。

 平成5年につきましては、常勤が7名、定日制の非常勤が74名、登録制の非常勤が7名、委託ヘルパーが22名、合計110名でございます。

 平成6年度につきましては、常勤が7名、非常勤定日制が76名、非常勤の登録制が12名、特養等委託ヘルパーが35名、合計130名でございます。

 平成7年度、現時点直近の数を申し上げますと、常勤は7名、非常勤定日制が76名、非常勤登録制が12名、特養等委託ヘルパーが46名、合計141名でございます。

 お尋ねの目標はどのぐらいかということでございますけれども、本市保健福祉計画でお示ししました目標量、すなわち常勤に換算いたしまして322名のヘルパーが必要だと考えております。

以上。
 
吉川 委員
 
 ただいまお答えいただきました直近のヘルパー数を見ましても141名と、その中には非常勤の方もいらっしゃるわけで、常勤換算での322名という目標達成度を見ますと、非常に厳しい数字ではないかというふうに思います。これに対しては一日でも早く手を打っておかなければ、急速に広がっていく高齢化には対応が難しいんじゃないかというふうに考えるわけでございます。さらにホームヘルパーの数でございますが、65歳以上人口1,000人に対するヘルパー数が最も多いところ、これは東京でございます。資料は若干古いんでございますが、総務庁の統計局による資料ですと、これが6.4、1,000名に対して6.4という数字になってございます。

 本市保健福祉計画の目標年度での65歳以上人口の予測はどうなっているかと申しますと、これは約11万1,000名というふうになっているわけでございます。それからすると、この平成4年の東京並にしようと思えば、700名以上のヘルパーが必要になるということになるわけでございまして、今お答えいただいた目標数も、この東京の平成4年度の水準の約半分ということになるわけでございます。

 確かに西洋諸国の約4倍のスピードで高齢化が進んでおるわけでございまして、これらの対応というのは非常に大変な課題だと思います。ですから皆さん方に一方的に押しつけるのはどうかと思いますけれども、ここでどうしたらいいのかということに対して知恵を出していかないといけない。いろんなですね、アイデアを出していかないといけないんじゃないかなというふうに思うわけでございまして、中核市・政令指定都市をめざす中で、さまざまな今議論もあるわけでございまして、これをきっかけとして思い切った政策をドラスチックに展開してはどうかというふうに思うわけでございます。現在の延長線上だけでも、施策では来るべき高齢化、超高齢化社会には対応できないんではないかというふうに思います。

 ここで1つ提案でございますが、政官財民、場合によっては学の知恵も拝借し、共同作業としての政策の執行を可能ならしめる仕組みづくりというものを行ってみてはどうかというふうに思うわけでございます。その1例といたしましては、最近では松本市などが設立いたしました福祉公社を挙げたいと思います。その中でも市民の皆様の互助制度によるホームヘルプサービス事業、これは非常に有効ではないかと考えるわけでございます。市政への市民参加、市民参加システムを組み込みながらボランティア育成の両面を併せ持っているわけでございまして、非常に時代に即応した形ではないかと思います。当局の方でも当然各市の状況を把握されておられると思いますけれども、ここでそういう状況がございましたらご紹介いただきたいと思います。
 
井口 高齢化対策推進課長
 
 各市の公社の状況でございます。

 平成5年の12月現在の数字で申し上げますと、全国で46の公社がございます。委員仰せの松本市の公社につきましては、平成7年4月1日の設立と伺っております。ですから、現時点では先ほど申しました46以上の公社があるんではないかなというふうに思っております。松本市の公社、それとお近くの伊丹ふれあい福祉公社、どういった事業を展開されておられるのか若干紹介したいと思います。

 まず、松本市の公社でございますけれども、いわゆる公社の必須事業としまして研修、それから各種講習会を開催されたり、それから情報提供サービスや相談サービスをされております。それ以外に公社の独自の事業といたしまして、有償のホームヘルプサービス事業、これは家事援助、それから身体介護、両方含んだ有償のホームヘルプサービス事業を実施されております。それと、各種あっせんサービス事業といたしまして、紙おむつの宅配、ふとん丸洗い乾燥、理美容の出張、福祉機器等のあっせん、こういった事業もされておられるようでございます。

 続きまして、伊丹ふれあい福祉公社でございますが、先ほど申し上げましたように、公社の必須事業としての研修、講習会の開催、情報提供サービス、それから相談サービス、それ以外に伊丹の場合は、市の事業を受託している分もございます。市の受託事業といたしましては、ホームヘルパーの派遣サービス、それから訪問入浴サービス、住宅改造費助成サービスなどを行っております。それから公社独自事業といたしましては、身体介護サービス、これは協力会員のヘルパーを派遣する制度でございます。それ以外に訪問理容サービス、おしめ宅配あっせん、ふとん丸洗い乾燥サービス、食事宅配サービス、福祉機器等のあっせん、大掃除等のあっせん、それから資産活用という観点より、福祉資金のあっせん融資等も行っているようでございます。それと、あと将来の社会ニーズにどういったサービスが適用するのかというような研究開発事業というのも伊丹市ではやっておられるようです。

以上でございます。
 
吉川 委員
 
 それでは、再度急速に拡大する需要にこたえるためのマンパワーの確保、また市民参加という観点から、こうした公社がぜひとも私は必要と思うわけでございますが、当局のご見解はいかがでございましょうか。
 
井口 高齢化対策推進課長
 
 公社についてどうかというお尋ねでございます。

 私ども当面の目標といたしまして、高齢者保健福祉計画の目標を達成したいという気持ちを持っております。

 また、21世紀の高齢社会ということを考えますと、ホームヘルプサービスは、やはりデイサービス、ショートステイとともに在宅福祉の中核をなすサービスでございます。そういった意味からも、やはりマンパワーの確保の方策、そして委員仰せのとおり市民の活力を生かすという観点からも、この公社というのは1つ有効な方策の1つであると認識はいたしております。ですから検討してまいりたい、このように考えております。

以上。
 
吉川 委員
 
 ただいま積極的なご答弁をいただき、大いに期待したいところでございます。

 2020年、今からわずか25年先でございます。厚生省は、65歳以上人口25.5%と推定していることは、皆さんよくご存じかと思いますけれども、これも本市高齢者保健福祉計画目標年度からわずか21年先の話でございまして、当市では65歳以上人口が20万人を超えると予測できるわけでございます。こうした時代への対応とともに、この公社は大きな力を発揮することと思いますので、ぜひとも実現するよう強く要望したいと思います。

 ただいまの質問とも関連するわけでございますが、高齢化社会を迎える中で、それが形成する市場を地元経済活性化のカンフル剤として活用できないかという観点について、経済局のご答弁をお願いしたいと思います。

 21世紀に期待されている産業分野といたしましては、情報通信関連分野がございます。2010年のこの市場規模は120兆円、雇用規模は467万人とも言われてるわけでございますが、一方ではシルバーマーケット、いわゆる65歳以上の方たちがつくり出す市場でございますが、ある民間のシンクタンクは2000年の時点で、124兆円というふうにこの市場を推定しております。

 私はこうした市場をもっと注目していかないといけないんじゃないかというふうに思います。超高齢化社会が訪れることは先ほどの話からも間違いないことでございまして、だから一方では福祉が大切だと皆さんおっしゃってるわけでございますが、しかしこれを単なる福祉だけの観点でとらえるのではなくて、1つの地元産業活性化の市場と考えられないかということでございます。高齢化イコール福祉イコールそれは民生局の担当ですというふうに、こういうふうにしてしまわないで、ここに経済活性化の視点を持っていけないかと思うわけでございますが、その点はどのようにお考えか、ご答弁よろしくお願いいたします。
 
浅井 工業課長
 
 委員ご指摘のとおり、超高齢化社会が近い将来訪れること、またそうしたシルバー層を対象としたいわゆるシルバーマーケットが、今後大いに期待される産業の分野であることは間違いのないことだと認識しております。シルバーマーケットを対象とした産業への参入は、きめ細かなサービスが要求されるものであるとともに、市場規模等不確実な要素もあり、大企業が比較的参入しにくい分野であります。このことは多品種、多規格の製品やサービスの提供ということから、中小企業がその機動性を生かせる特異な分野であることを示しており、本市の産業構造からして、魅力ある市場であると考えております。

以上でございます。
 
吉川 委員
 
 ただいまのこのシルバーマーケットが、本市の産業構造から非常に魅力ある産業であるというふうにお答えいただけたかと思うわけでございますが、一方では非常な円高の中、また景気の低迷の中で多くの企業が、新たな市場に向かうだけの企業体力を少なからず奪われてるように思えるわけでございます。そこで、行政が有望と思われる今のこのシルバーマーケットや、さらにその中に潜在的にあります福祉のマーケット開拓の先行投資的要素を担っていくというような役割を果たせないものかどうか、当局のご見解をお聞かせいただきたいと思います。
 
浅井 工業課長
 
 シルバーマーケットを対象とした産業の育成についてでございますが、市としては今後対応を進めていくべきものであると認識しております。本市内の製造業におきましても、既に数社がシルバー機器への進出を企画しており、現に本市が市内工業振興施策の1つとして実施しております堺市商品開発大学の研究テーマとして、福祉機器、シルバー産業への参入を取り上げる企業もあらわれており、新商品開発に対するアドバイスを行っております。今後とも資料の収集、情報の提供等により企業の誘導を図るとともに、融資等を通じて地域中小企業の技術開発、市場開拓に尽力してまいりたいと思っております。

以上でございます。
 
吉川 委員
 
 それでは、ここで少し角度を変えてお尋ねしたいと思います。

 障害者通所授産施設についてでございますが、まず現在当市における認可された施設が幾つあって、それの受け入れ可能な人数はどうなっているのか。また、無認可の施設のそれはどうなっているのか、お答えいただきたいと思います。
 
阪口 障害福祉課参事
 
 本市内にございます授産施設の数並びに措置人員でございますが、4月1日現在、本市内には認可通所授産施設として、知的障害者を対象とする施設が府立1施設と法人5施設の計6施設、措置人員が345名でございます。そして身体障害者を対象とした法人1施設、これは措置人数40名でございます。

 続きまして、無認可の共同作業所につきましては市内に31カ所、現在358名の方が通所されておられます。

以上です。
 
吉川 委員
 
 そういたしますと、現在、認可、無認可合わせますと743名の方が通っておられるというふうになると思いますが、本来この通所授産施設と申しすのは、社会に定着するための1つの準備施設のように思うわけでございますが、これらの方々の進路というものはどのようになっているのか、教えていただきたいと思いますが。
 
阪口 障害福祉課参事
 
 認可・無認可作業所へ通所されてる方の進路についてでございますが、精神薄弱者福祉法に基づきまして、認可の授産施設は、雇用されることが困難な方を対象としております。

 また、無認可の作業所につきましては、養護学校卒業後の重度障害者の方の労働と生きがいの場、いわゆる社会参加の場として作業所づくりが進められてきたという経過がございます。

 そして、ともに8割近くの通所者の方が重度、重複の障害者という実態がございます。

 そういったことから、進路といたしまして作業所からの就労など、そういった進路としてつながるケースは、ほとんどないというのが現状でございます。
 
吉川 委員
 
 進路については、非常にもう難しいという今のお答えでございました。いずれにせよ、この授産施設も含めまして仕事をやっておられるわけで、進路を含めてですね、これは大変に難しい課題であるとは思いますけれども、1つ目は何点か課題があると思うんですが、私は3つ課題があるんじゃないかなと思います。

 その1つ目といたしましては、現在その就労、例えば可能な状態になっても、就労先が非常に少ない、また授産施設そのものが仕事をですね、とってくることが非常に難しいという課題がございます。

 それから、2つ目は、就労可能な状態にならない場合、ずっと施設に頼るわけでございますけれども、そういった場合はどうしていくのか。

 また、3つ目といたしましては、これらの方々は、ほとんど保護者の方が面倒見られてるわけでございまして、確かに面倒見られる保護者の方が元気なうちはよいわけでございますが、病気になられたり、ご不幸があった場合はどうするのかということがございます。当局は、これらの課題に対してどのようにお考えか、お答え願いたいと思います。
 
阪口 障害福祉課参事
 
 現在の障害者の方々を保護されている方々の亡き後、また保護者の方の高齢化等、また障害者自身の高齢化、また障害の重度化といったいろんなことがございます。そういった障害をお持ちの方が地域で安心して生活できるような、そういう施策としてはグループホームとか、福祉ホーム、また短期入所施設、また入所型施設、またデイサービスの充実といったような施策が考えられると思います。

 これらの施策につきましては、第三次堺市総合計画にも掲げておりますので、我々といたしましても、今後充実に向けて努力してまいりたいと考えております。

以上です。
 
吉川 委員
 
 今、お答えいただきましたけれども、なぜ突然にですね、このようなことをお聞きしたかと申しますと、先ほどはシルバーマーケットの市場の活性化ということでご質問をさせていただいてたわけなんですが、この活性化の一施策としてさまざまな私が申し上げたような公社の話がございますけれども、この公社の周りにさまざまな企業を引っ張ってくる。そうすると就労の場が広がるんではないかという発想からでございまして、非常に障害者の方は就労という観点で見ますと、当然でございますが、非常に難しい状況に置かれてるわけでございまして、先ほどの公社を考える上で1つの大事な視点かと思いましてご質問した次第でございます。

 先ほど民生局からご答弁いただきました福祉公社でございますけれども、重ねて申し上げますが、これを単なる福祉の充実だけの公社ととらえるのではなくて、さまざまな観点から高齢化福祉の観点はもちろんのこと、障害者福祉の観点、また経済活性化の観点、まちの1つの大きな文化をつくっていくそういった観点、さまざまな観点からご検討していただきまして、その設立育成をお願いしたいと思います。特に、またこの公社をコアにさまざまな事業を展開していただいて、地元経済の活性化を図っていただきたいことを強く要望いたしまして終わりたいと思います。
 
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