1995年(H07)民生経済委員会09月18日
◆吉川 委員 おはようございます。公明の吉川でございます。今回の本会議でも確認させていただきました堺市行財政見直し推進計画、これは中核市への第一歩を踏み出しました当市にとりまして、まさに政令市実現を占う大事と思うわけでございます。
そこで、市長答弁にもございましたこの計画達成への不退転の決意をここで確認させていただきたいと思います。
その前に、少し余談になりますが、最近私こういう本を読ませていただきました。「人間を幸福にしない日本というシステム」と、ご存じの方もたくさんいらっしゃると思います。カレルバン・ウォルフレンという方が書かれた世界的なベストセラーの本でございます。この中に、これは日本の官僚主導型のこの日本の政治のあり方、行政のあり方というものを痛烈に批判した本でございまして、その中にその日本の官僚の欠点というものが幾つか指摘されてるわけでございます。私がそうだなと本当にうなずいて読んだ箇所がございますが、それをちょっと先に紹介させていただきたいと思います。
ここに書いておりますのは、まず2種類の責任というものがあるというお話の中で、この2種類の責任というのは、1つはいわゆるリスポンシビリティー、責任、まさにその責任そのものということと、もう1つはアカウンタビリティー、いわゆる説明する責任というこの2つがあるということでございます。日本のその官僚というものは非常に責任感が強くて、自分たちがこの日本を背負ってるんだという、前者のこのリスポンシビリティー、いわゆるもう責任そのものというものが非常に強いわけでございますが、後者のこのアカウンタビリティー、いわゆる説明する責任というものが全く欠落されてるというような指摘をされてるわけでございます。確かに、日本のいろんな行政のシステムを見ますと、1つのことを興すときにいろんなことが言われます。そして、その中間のプロセスが全く省略されて、結論がボンとこう出てくるというのが非常に私も不思議に思っておったわけでございますけれども、まさにこの説明する責任というものをこれからはひょっとしたらこの堺市でも市民の皆さんに対してしっかりと持っていかなければいけないんじゃないかなというふうに思うわけでございます。
そこで、この堺市行財政見直し推進計画におきましても、少しその今回さまざまな項目がこの中に書かれておりますけれども、このプロセス、ここに至ったプロセスについて少し、きょうは民生局を中心に、経済局には申しわけございませんけれども、少しお聞きしたいと思います。
まず初めに、今回民生局で取り上げられておりますこの堺市行財政見直し推進計画の中にある項目、これについて民生局が担当されるところというのはどういうことか、まずこれを説明していただきたいと思います。
◎池田 福祉部長 もう民生で掲げております事業のうち、見直し計画でいろいろ指摘をされている分がございます。それについて、総括的にお話を申し上げますと、かなりたくさんの項目が民生の見直し項目として上げられてるわけですけれども、これの背景で申し上げますと、基本的には社会経済状態の変化といいますか、著しい変化、あるいは財政構造の悪化、こういうものが基本にあるとは思いますけれども、それにあわせて少子化、高齢化社会への進展に伴う福祉サービスに対する住民ニーズの増大、多様化、こういう時代背景が1点あるというふうに我々としては思っております。
それからもう1点は、福祉八法の改正といいますか、いわば在宅福祉等、福祉行政のかなりの部分が市町村の責任といいますか、市町村で責任を持ってやっていかなきゃならんという、そういう社会的な要請といいますか、そういうものが背景にあるというふうに思っております。そうした時代的な要請に沿って、それらにふさわしいサービスの提供体制やとか、あるいは組織のあり方、こういうものが見直し計画の中で提起をされているというふうに我々としては考えております。行政効果の費用とそれからその効果といいますか、観点から一体見直すべきものはないのかどうなのかというふうなことで、組織についての指摘、それから住民ニーズにこたえ得るサービス提供体制といいますか、そういう意味では福祉公社等の設立、そんなことも指摘をされております。それから、住民に素早く対応できる、あるいは高度な情報処理といいますか、そういう意味では福祉施策の電算化、事務処理の効率化、こういう観点から、あるいは高度化という観点からも電算化を求められているというふうに思っております。それから、もちろんこうした住民のニーズが非常に多い、行政需要が非常に増大してくる、そうした中で公共施設の管理の見直しといいますか、民間に任せられるべきものはもっと民間に任せたらいいんではないかと、こういう指摘だというふうに思っております。我々としては、民生局全般にかかわりますけれども、こうした見直し項目についてはこの見直し方針に沿って真摯に取り組んでまいりたいと、こんなふうに認識をしておりますし、今委員さんの質問にもありますように、民生、どこの部局ということでございますけども、民生局全般について言えばそういうことだということでございます。
◆吉川 委員 ただいまお答えいただきましたご答弁によりますと、1つは市の財政や社会経済状況への対応ということと、当然サービス、市民の皆様方のニーズに対応するためと、大きくこの2つかなということが見直しの基本的な考え方だというふうに理解したわけでございます。
私思いますのは、最終的にはこの行財政見直しというもののアウトプットというものは、その歳出のいわゆる圧縮というところにしか、数量的にはあらわれてこないのかなというふうに思うわけですので、まずこの問題を上げられる前に、その絞り込みのプロセスで、この財政面でどういうふうな検討されたのかなということをお聞きするために、まず初めに今回の平成6年度の決算における民生局のその内訳というものを少し説明願いたいと思います。
◎北野 福祉総務課長 それでは、平成6年度の普通会計の決算ベースでございますが、性質別からとらえた決算額をご答弁させていただきます。
性質別分析で、民生局はトータル578億円という決算ベースになっておりますが、その内訳としまして人件費が138億1,000万円、それから扶助費が318億1,000万円、それから繰出金が55億3,000万円、補助費等が28億4,000万円、物件費等が17億8,000万円、その他として1億8,000万円、こういう内訳になっております。以上でございます。
◆吉川 委員 今のお答えいただきました総額で578億円ということでございます。これ全体のほぼ4分の1に当たる非常に大きい額かなと思うわけでございますが、ただいまの内訳ですと、人件費の138億というのと扶助費の318億というのが非常に大きくそれを占めているというふうに思うわけですけれども、当然そういう費目で、また性質別費目で大きいものから攻めていくというのが妥当なことだと思うんですけれども、まずこの2つ、人件費と扶助費に着眼されて、非常に大きいと。じゃ、この行財政見直しを図る上で、こういった総額として全体の4分の1を占めると、その中でもこの2つがその大半を占めるということに対してどういうふうな検討をされたのかお答えいただきたいと思います。
◎池田 福祉部長 先ほどご説明を申し上げましたように、確かに民生費の内訳で申し上げますと、人件費が4分の1、それから扶助費が約3分の2以上の金額ということでございます。確かにこの額というのは非常に大きゅうございますけれども、民生行政の主に占めるところといいますのは、人が人に対するサービスというのはかなりの大きな分野がございますから、必然的に人件費が多くなるのかなというふうに我々としては思っております。もちろん、だからといって人件費をこのままでいいということではございません。見直すべき点は見直していきたいというふうに思っております。そういう意味でいえば、既存の施設等については行財政見直し計画の中でも言われてますように、民間の活力を生かすという意味で民間委託という点も考えていかなきゃならんだろうというふうにも思っておりますし、それから増大する住民サービスにこたえるという意味では、新たに福祉公社をつくって、そうしたサービス提供体制を整えるというふうなこと、これも一方では人件費を抑えていく1つの方策でもあろうかというふうに思っております。そういう取り組みを我々としてはやっていきたいといふうにも思っております。
それから、扶助費で申し上げますと、我々民生で抱えております福祉行政というのは、ある意味ではシビルミニマムというか、あるいはナショナルミニマムというか、必要欠くべからざるものに対する援助といいますか、そういう意味ではこの扶助費というのもかなりの額を占めていることは事実でございます。ただ、これも財政的な観点から一概に削ることが可能かどうかというと、いろいろ問題はありそうな気はします。ただ、おっしゃるように、例えばこれについてもその制度の趣旨といいますか、あるいは法の趣旨に基づいて、たとえて申し上げますと、例えば生活保護なんかですね、これ生活が困ったときに自立までの援助ということで生活扶助をしておるわけです。この扶助費というのは極めて大きな額になっておりますけれども、これについても法の趣旨にのっとって、やっぱり自立をめざしていただくという、そういう観点から生活保護家庭に対する指導をしてきました。かつては約200億に近くなる扶助費もかなり減ってきたことは事実でございます。ただ、これについて申し上げますと、先ほどから何遍か申し上げましたように、財政的な観点からこれをやるというのではなくて、法の趣旨に基づいて、住民の皆さんにやっぱり自助の努力をしてもらうということも1点大切かなというふうにも思っておりますから、そういう観点からの指導といいますか、そういうことも我々やってきました。こういう点も今後も引き続いてやっていきたいと、かように思っております。
◆吉川 委員 今お答えいただきました人件費については当然それは圧縮するという考え方で臨むということでございますが、その扶助費に関してはこの行財政見直しの項目としては、それは考えられていないということなのか、例えば当然必要な扶助というのは当然していかないといけないというのはよく理解できるわけでございますけれども、それに対して財政的に圧縮するとかという観点ではなくて、より自立を促すような施策というのを検討されたのかどうか。実際見てみますと、この推進計画の中にはそういった項目が、どの項目がそれにじゃあ当たるのかなということがよく理解できないわけでございますけれども、その点少し説明していただけますか。
◎高橋 社会福祉課長 行財政見直し推進計画の中にその扶助費ですね、この見直しはどこか別に項を起こしてるかと、こういうご質問でございましたが、それはございません。生活保護につきましては、今先ほど部長が答弁をさせていただきましたように、法の目的に最低生活の保障と合わせまして、自立の助長という、そういうことが明記をされております。したがいまして、被保護者の方の持っておられる能力を活用していただき、あるいはまた活用すべきそういう資産等がございましたら、それを活用していただきまして自立をしていただくように従前から働きかけてまいりました。ただ、平成5年の12月ごろでしたか以降、保護の増加傾向が続いております。これは今般の不況が長期化をいたしまして、とりわけ現在保護を受けておられる人たちの大半が高齢者、あるいは母子家庭、障害者等、自立するには大変困難な、そういうハンディキャップをお持ちの方が保護の大半を占めているという、こういう現状からいたしまして、保護の増加傾向が続いているという、こういう現状でございます。以上でございます。
◆吉川 委員 お聞きしてるのは、その現状ふえてるということも十分認識しておりますし、おっしゃることもよく理解できるわけですけれども、要はそういう費用が非常に大きいという部分に対してどういうふうな検討を加えられたのかということをお聞きしたいわけなんです。ですから、単に財政的に多くなったよ、法律がこうだよということではなくて、それを少しでも、いわゆる圧縮するというのは非常にそぐわない言い方かもしれませんけれども、当然その自立を促していかないといけない、そこにこの原点があるわけでございまして、そこをどういうふうに検討されたのかなということをお聞きしたいわけなんですけれども。
◎池田 福祉部長 偉い申しわけないんですけども、先ほどからお話し申し上げてますように、例えばとして、生活保護を例にとりまして過去10年間、生活保護世帯の自立に向けた取り組みといいますか、そういう観点から進めてきました。それからもう1点は、これからの話になりますけれども、確かに住民の自立といいますか、自助、あるいは互助ということも含めて申し上げますと、例えば高齢者が病院に長期に入院なさる高齢者もやっぱりいる、その場合に自立、在宅の生活をできるような支援策をやっぱり講じていかなきゃならんだろう、それが結果として財政に対する貢献をするといいますか、言い方これも少しそぐわんですけども、財政的な観点からしても効果があるであろうというふうなことから、今後でいいますと、例えば在宅福祉サービスを充実をして、住民の自立、自助を、側面的な援助をしていくといいますか、そういうことも必要であろうと。それからもう少し申し上げますと、例えば事務事業の見直しいうことで、例えば今言うように、扶助費にかかわる部分で、金額を引き下げたりというようなこともごくわずかではございますけど、今までからもやってきております。例えば、生活保護でいいますと、入院患者の見舞金を引き下げてきたり、あるいは在宅の見舞金を抑制してきたり、こういう努力を今までもしてきました。そういうことも今後も続けていかなきゃならんだろうと。
ですから、そういう意味では新たにということではなくて、常日ごろそうした観点から歳出経費についての見直しを今後も続けていきたいと、かように思っております。
◆吉川 委員 今ちょっと誤解されると困るのは、これお聞きしてるのは、そういった福祉費用を小さくするとか、そういうことを申し上げてるのではなくて、抜本的にそこの費目に大きく出てる部分の根本は何なのかという原因を追求して、そこに対する施策をどのように考えられたのかということをお聞きしてるわけです。例えば、見舞金、今回もたった1項目載っておったと思いますね、高齢者の方の見舞金を検討するとございました。これだけ見ますと、今までやってきた福祉のサービスを切ってしまうのかというふうに見えるわけでございまして、その辺の考え方を常にこうはっきりと説明願いたいなというふうに要望したいと思います。
今回、何項目か民生局で項目を上げていただいてておりますけれども、最後にお聞きしたいのは、特にどのポイントに、どの項目に重点を置かれて、それに対して今後おおむね5年間ということでございますので、この5年間、どういうふうなスケジュールでそういった項目を実施されるのかお答えいただきたいと思います。
◎池田 福祉部長 これも私から一括してお答えするのが適当かどうかというのはいろいろ問題がございます。先ほどからお話しのように、事務事業見直しをしていくということも我々としては考えております。そういう意味では、例えば過去を踏襲するだけで存在意義が薄弱になっているものはないかどうかという観点からの見直し、それから行政効果に比べて多額の経費を費やしているものはないかどうか。それから、ほかと整理統合することにより、より実情に合い合理的になるものはないかどうか。それから、代替施策の方がむしろ効果的、効率的にできるものはないかどうか。それから、先ほどからるる申し上げてますように、市が行うより民間へゆだねた方がより効果が上がるものはないかどうか。こういう観点から民生各部でそれぞれ取り組みをしているところでございます。
今日の財政状況や、社会経済状況からして、事務事業の思い切った見直しやとか、経費全般にわたる徹底した節減、合理化といいますか、そういう工夫なり努力をしていかなきゃならんというふうに思っております。
それから、具体のスケジュールというようなお話でございますけれども、福祉部で申し上げますと、確かにこの中で、見直し計画の中で上げられておりますもののうち、例えば社会福祉施設の民間委託といいますか、こういう1項がございます。これの施設を民間に委託できないかという指摘でございますけれども、これについても5年をスパンにして一応計画を立てていきたいというふうに思っております。現時点で申し上げますと、まず民間委託をする際に生ずる問題点の整理といいますか、こういうものを今やっているところでございます。それからあと、受け皿の体制といいますか、外郭団体なり、民間へ委託する場合に、受けるべき受け皿の整備をしなきゃならんということから、受け皿はどうあるべきかと、こういう観点から現在検討の段階でございますので、まだ具体にお話しを申し上げるというところまでいきませんけれども、福祉部としてはそういう取り組みを今やっております。以上でございます。
◆吉川 委員 今お答えいただきましたけれども、この5年間、それぞれの節目、節目で検討された内容もまた説明願いたいと思うわけです。
ただ1点だけ、この主客逆転だけは避けていただきたい。と申し上げるのは、民生局といいますと、当然福祉というものが重点でやられてるわけでございますので、この福祉サービスを充実するということが主眼であって、1つの手段としての行財政見直し、これが目的にならないように、ぜひともこの推進計画を実施していただきたいと思うわけでございます。
また、話は余談になるわけでございますが、先日もこの行財政見直し推進について同室長といろいろな話をしている中、ちょうど電話がかかってまいりまして、ある企業の次長さんという方でございました。ちょうど、従業員が本社だけで7,000名ぐらい、ちょうど堺市とよく似た規模でございまして、7,000人ぐらいの企業です。グループを入れると当然数万人ということになると思うんですけれども、その方がおっしゃるには58歳で次長さんでございまして、この年になって、東北に出向を命ぜられたということで、家庭の状況、今まで過ごしてきた生活環境を考えると、当然今さら年いって東北出向ということは考えられないわけでございまして、やめざるを得ないというような非常に厳しいお話を伺ったわけでございます。今民間は、本当に血を流す思いでリストラに取り組み、その生存をかけて頑張ってるわけでございますので、ぜひともこの行財政見直し推進計画もそういった緊張感を持ってやっていただきたいなというのが私の要望でございます。
それと先ほども申し上げた、重ねて確認いたしますけれども、福祉はそのサービスの充実が根本でございまして、主客逆転のないように、ぜひともお願いしたいということを要望いたしまして終わりたいと思います。