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1996年(H08)民生経済委員会03月15日

◆吉川 委員 おはようございます。公明の吉川でございます。昨日、ここにございます、第二次障害者長期計画(案)というものをいただきました。家に持ち帰って昨日、すべて目を通させていただきましたけれども、ここには昭和62年3月に策定された第一次計画の完全参加と平等の実現という基本理念を継承し、1つ、障害者の自立生活の確立。2つ、機会均等な社会づくり。3つ、ともに暮らす地域社会の実現と、これを基本目標に新たに立てられて、5つの施策展開の視点から6つの分野にわたっての課題抽出と課題解決の具体的取り組み及びその目標値を明確にされた、大変立派な計画であると高く高く評価申し上げたいと思います。特に具体的数値目標と達成時期を明確に設定されたことは、中核市移行と相まって、市民の皆様にも大きな希望をお示しできることにもなり、この大変な作業に携わっていただいたすべての方々に対しまして、改めて敬意を表するものでございます。
 そこで、せっかくの機会でございますので、この計画を立案いただいたその経緯を簡潔にご報告いただきたいと思います。


◎池田 福祉部参事 おはようございます。先ほどお褒めの言葉をいただきまして、策定にいろいろかかわった者として非常にありがたく思います。
 それでは、計画の策定経過を簡単にご説明をさせていただきます。
 国が、さきの1983年から1992年の国連障害者の10年の終了後も、引き続き障害者対策を一層推進するために新長期計画を平成5年3月に発表し、府もこれを受ける形で平成6年3月に新大阪府障害者計画を発表しました。本市でもこうした動きを受けて、平成6年4月、国際障害者年堺市における長期計画に続く計画を策定すべく、福祉部に計画づくりのための専任スタッフとして企画担当を設けました。そしてその年の5月に、さきの計画の推進を図るために設けておりました国際障害者施策推進委員会、これを改組いたしまして新たに何人かの部長さんにお加わりいただいて、障害者施策推進委員会というものを設置いたしまして、当委員会において計画を策定すると、こういうことで決定いたしました。具体的な策定作業につきましては、推進委員会のもとに6つのテーマ別の作業部会を設けることとして、平成6年8月から策定作業を開始いたしました。
 平成7年3月には、一定市として今後取り組むべき課題ということについて、委員会の方に中間報告をさせていただきました。ことし1月に作業部会案をまとめましたけれども、それまでの約1年半にわたって正式な会議だけで延べ47回の作業部会を開催してまいりました。この作業部会案については、委員会に提案するに先立ちまして、各部長を取りまとめていただいております関係課長で構成する幹事会を開催して、そこで検討をしていただいた上、委員会に提案をさせていただきました。委員会では一応2月の9日にその開催をさせていただいて、それぞれ委員さんからご意見をいただいた上で、一部修正をさせていただいた上で委員会案を決定し、さらには障害者基本法の定めるところに従いまして、本市が附属機関として設置しております障害者施策推進協議会に、この計画案についての意見を聞くために諮問をいたしました。その結果、3月の8日付で協議会の方から、当計画案について承認するという答申と附帯意見をつけていただいております。
 こうした経過を経て、先日、議員の皆様に計画案をお配りしたところでございます。以上でございます。


◆吉川 委員 本計画策定にあたりましては、その当事者の皆様のご意見も十分に反映していただいたということでございますので、以降、これにつきまして少し質問させていただきたいと思います。
 まず、この計画は平成17年、2005年を目標年次としておられまして、それまでの期間を大きく3つに分けられているわけでございます。その最初の期間である前期が、いよいよもうこの4月から始まるわけでございますけれども、それでは、この前期で完了する、あるいは達成する施策といったものにはどういったものがあるのか、これをご説明願いたいと思います。


◎池田 福祉部参事 先ほども委員さんがおっしゃっていましたように、今回の計画は、計画を前・中・後と3期に分けてそれぞれ達成すべき目標を示しております。前期で達成すべきものとしては、おおむね次のようなものがございます。分野別に幾つかあげますと、保健医療では、障害者健康管理事業の実施に向けて、育成教育では、通級指導教室を各ブロックごとに1教室設置する。雇用就労では、精神障害者の作業所を拡大していく。地域生活では、在宅福祉サービスの充実、知的障害者の入所施設、通所施設の整備。まちづくりでは、人にやさしいまちづくり事業の実施。社会参加では、ビデオライブラリーや公衆ファックスの設置などがございます。以上でございます。


◆吉川 委員 計画を策定されたばかりで、もうすぐに実行に入っていかれるわけでございますので、まず、大きな期間ごとの達成目標をしっかりと見定めて、単年度ごとの着実な推進をお願いしたいと思います。この施策展開の視点にも本計画遂行は非常に広範囲な分野にわたることが明記されてるわけでございますけれども、それでは、具体的にこの施策を実行していく上での関係部局の連携というものは、どのような仕組みで行っていかれるのか、お答えいただきたいと思います。


◎池田 福祉部参事 障害者の施策は、広く関係部局にまたがる問題でございまして、この計画案も連携を図ることによってなし得たものでございます。今後の計画推進にあたっても、当然こうした連携を図っていく必要がございます。計画の中でも関係課による検討会の設置が取り上げられております。具体的には、推進体制等の中で触れられてますように、委員会のもと、あるいは協議会のもとにワーキンググループとか専門部会を設けまして対処してまいりたいというふうに考えております。なお、既に一貫した療育システムの整備や保健医療の総合相談窓口の設置などに関しては、一応検討研究グループが既に設置されております。以上でございます。


◆吉川 委員 この委員会の委員長は民生局長がその任にあたられていると思いますけれども、これは確認でございますけれども、この計画の推進にあたられましては、民生局長がその全責任を負われて推進にあたられるということでよろしいでしょうか。


◎岸 民生局長 そのようにご理解いただいて結構です。


◆吉川 委員 それでは、計画施策の1つであります、その他の、先ほど申し上げました5つのですね、他の5つの施策の1つの底辺となりますまちづくりの推進というものがあるわけでございますけれども、これは当然他の施策にも言えることでございますけれども、特に庁内以外の民間企業や市民の皆様の協力がなければ、その実現は非常に難しいというものがございます。それでは、そうしたことに対する働きかけ、推進というものは、どういった仕組みで行われますか。


◎池田 福祉部参事 堺市では、昭和57年に堺市福祉まちづくり環境整備要綱を制定しまして、福祉のまちづくりの推進を図ってきておりますし、大阪府では、平成5年からまちづくり条例が施行されております。国でも平成6年にハートビル法が施行されております。こうしたことは福祉のまちづくりに対する理解が社会全体に広がってきたものと考えています。
 この今回の計画でも特に意識した点は、1つは、福祉のまちづくりは単に障害者や高齢者のためだけでなく、福祉的な配慮がされたまちというのは、みんなにとっても心温まる住みよいまちになると、こういうことを市民一般に広く理解していただいて、これによって市民全体の理解と協力のもとに進めていくという点でございます。2つ目としては、障害者や高齢者など当事者の意見を十分反映させていくということ。3つ目は、大規模な施設整備だけでなく、より日常生活圏に目を向けて、小規模な施設へのバリアフリー化についても考えていかなければならないということ。4つ目は、単に建物のアクセスだけでなく、その施設が本来提供すべきサービスを障害者が利用できるようにするということ。つまりユーザービリティーに配慮するというようなこと。例えて言いますと、食事をするためにレストランに行くと、そのために障害者が注文をするときに、やはり点字用メニューを置くとか、あるいは図書館で車いす障害者が本を読まれる。このときには、車いすが利用できるような閲覧机を用意するとか、こういったユーザービリティーという視点をまちづくりにも新たに入れていこうという、そういうことで幾つかそういう意識をされておりますので、こういった考え方をもとに進めていくということでご理解願いたいと思います。


◆吉川 委員 考え方はわかりましたので、それに加えて、そういった働きかけを、どういった仕組みでやられるのかということについてもお答えください。


◎高田 福祉部副理事 ただいまのご質問でございますが、やはりハード面のですね、やはり啓発というのがこれから大事なものでございますので、関係団体等または関係部署等につきまして、一応そういうことの啓発をこれから進めていくようなことで考えていくということでございますので、よろしくお願いいたします。


◆吉川 委員 啓発ということが大事だということでございましたけれども、その仕組みをもう少し明確にしていただいて、庁内だけでは当然これは完遂はなかなか難しいわけでございますので、外に向けての働きかけというものも1つの仕組みをつくられて、そこでその推進を図っていただきたいというふうに要望したいと思います。
 それでは、今回のこの計画、多くの具体的な達成目標が掲げられているわけでございますけれども、中には、当然投資を必要とするものもございます。こうしたものに関しましては、当然、その財政的な裏づけがあって初めてその角度も高まるというふうに考えるわけでございますので、そういったことに対するご見解をお示し願いたいと思います。


◎池田 福祉部参事 計画の実現にあたっては、財源の確保は非常に重要なことであるという点については十分認識しております。具体的な財源確保については、それぞれ担当所管ございますので、そこで計画目標時期にあわせて、その確保を図っていただきたい。このように考えております。各年度のそれぞれの予算の定めるところにより実施してまいる所存でございます。
 計画の初年度でも、一応平成8年度当初予算においても一定計上させていただいたところでございます。以上でございます。


◆吉川 委員 先ほどもご答弁いただいた、まずこの計画の遂行にあたっては、庁内のあらゆる部局と連携をしないといけない。それから、庁内だけではなくて、外に向けての働きかけも必要だと、さらに財政的な裏づけもですね、財政的なバックアップも当然全庁挙げて行っていかないといけないと、こうした観点があるわけでございますので、先ほど確認させていだたきましたけれども、民生局長がその責任をすべて担われて推進されるということでございましたけれども、当然、担当助役並びに市長の強力なバックアップを強くお願いしたいと思います。
 それから、話は変わりますけれども、これは以前にもお話申し上げたかもしれませんが、私、二、三年前に鳥飼新市さんというルポライターと親しく話をする機会がございました。この方から1つ教えていただいた話があるんですけれども、これは千葉県の盲学校の寄宿舎のサッカーチームの話でございました。これはペガサスという名前がついたサッカーチームでございまして、これはこういうふうに本にもなっているわけでございますけれども、この、当然盲学校でございますので、視力に障害のお持ちのお子さんがそこに寄宿されているわけです。ある日、1人の少年が、当時はやってたのかもしれませんが、「キャプテン翼」という漫画がございましたけれども、そのテレビの音だけですね、目に障害がございますので、音だけを聞いていて、非常にリアルにゴールにシュートがなされる音が表現されていたわけです。その音を聞いたその少年は、この寄宿舎の生活指導の担当の霜田先生という先生に、サッカーって何やということを聞いたことが始まりで、2人でサッカーボールをけり合うことから、このペガサスというチームが生まれたわけでございます。
 当然、当初は多くの反対がございました。目にボールが当たれば、もう二度と視力は回復しないというリスクを背負っている子どもさんもいらっしゃる。その中で、霜田先生は情熱を持ってこのチームを育成することに頑張られたわけでございます。なかなか目に障害がある方がサッカーを行うというのは、普通で考えれば、すぐに不可能であるという結論を下してしまうわけでございますけれども、メロディーボールという音の出るサッカーボールの出現によりまして、見事ですね、このサッカーチームは普通の小学校と試合をするまでに成長するわけでございます。
 こうした、いわゆる長期の今回障害者の計画を立てていただいたわけでございまして、その中には、このバリアフリーという言葉がございました。非常に大事な観点ではなかろうかというふうに思います。この計画を推進する上で、当然あらゆる障害があると思うわけでございますけれども、この心のバリアフリー、この施策を実行する皆さん方の中にもないのかなという、どうかあってほしいなという希望があるわけでございまして、先ほど申し上げた強力な推進をお願いして、私の質問を終わりたいと思います。以上です。



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