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1997年(H09)建設委員会09月12日

◆吉川 委員 おはようございます。公明の吉川でございます。私の方からは、公共工事コストの縮減ということと、それから堺市の住宅計画、この2点についてお伺いしたいと思います。
 さきの大綱質疑でも申し上げましたけれども、財政当局よりお示しいただきました財政健全化についてでは、財政再建への目標に加えまして10項目にわたる当面の取り組みと、それから平成10年から5カ年における改善目標額も掲げていただいたわけでございます。この財政健全化についての中では、例えばおおむね700人の見直しを目標とした定員管理の適正化、また施策・事業の見直し、さらには大規模プロジェクト事業の見直しなど今後の市政運営の根幹にかかわる非常に重要な項目も掲げられていたわけでございます。そしてこの8番目の、10項目のうちの8番目の項目に建設事業コストの引き下げという、このような項目があるわけでございます。残念ながら現時点ではこの5年間の累積の改善目標額はまだ記されていないわけですけれども、公共工事コスト縮減対策に関する行動指針を踏まえてコスト削減策の検討を進めると、このように記述いただいてるわけです。
 ここに記述していただいてますこの公共工事コスト縮減対策に関する行動指針、これは本年4月4日に公共事業コスト縮減関係閣僚会議で決定されたと伺ってるわけでございますが、それに伴いまして同日付で事務次官通知、自治事務次官通知ですね、並びに自治大臣官房企画室長及び自治省の財政局指導課長の通知でございます公共工事コスト縮減に対する取り組みについてという文書が配布されたわけでございますが、まずお伺いしますが、この公共工事コスト縮減に対する取り組み、この趣旨をお示しいただきたいと思います。


◎山本 建築課長 お答えします。本年8月に設置されました堺市公共工事コスト縮減に関する行動計画策定事務局を財政課長、建設総務課長、建築課長の3名が担当しております。そこで代表して私からお答えさせていただきます。
 趣旨でございますが、政府では、現下の厳しい財政事情のもと限られた財源を有効に活用し、効率的な公共事業の執行を通じて社会資本整備を着実に進め、本格的な高齢化社会到来に備えるには早急な諸施策を実施し、公共工事コストの一層の縮減を推進していく必要があるとして、先ほど委員おっしゃいました平成9年1月に公共工事コスト縮減対策閣僚会議を設置しました。4月には公共工事コスト縮減対策に関する行動指針を策定しました。また、関係省庁では同指針に基づき行動計画を策定したところでございます。そこで6月には自治省から都道府県総務部長あてに公共工事コスト縮減対策に関する取り組みについてという通達がございました。そこで本市といたしましては、本市の事情等への配慮を行いつつ、公共工事コスト縮減に資することを目的として、公共工事を取り巻く諸環境の改善に関する諸施策を総合的に、かつ持続的に実施し、公正な競争により決定した建設業者に低いコストで適正な機能、品質を持つ目的物を建設していただける環境づくりを行うという基本的な考え方を持ちまして取り組みに着手したいと考えております。以上です。


◆吉川 委員 ただいま公共工事コスト縮減に関する基本的な考えをお示しいただいたわけでございますが、その考えに基づきまして、これ4月から始まってる話でございますが、当市での取り組みはどのようになってるかお聞かせいただけますか。


◎山本 建築課長 公共工事コスト縮減に関する本市の取り組み状況についてお答えします。
 本年4月、大阪府を通じ政府策定の公共工事コスト縮減対策に関する行動指針及び建設省策定の公共工事コスト縮減対策に関する行動計画の資料送付を受けました。同6月、庁議において、公共工事コスト縮減対策の検討を進めることが確認されました。また府土木部により府下市町村に対し公共工事コスト縮減についての説明会が行われました。7月に入りまして公共工事コスト縮減の取り組みに関する第1回会合が関係部長参加のもとで行われました。8月に入りまして公共工事コスト縮減の取り組みに関する第2回会合が開かれたわけですが、そこにおいて堺市公共工事コスト縮減に関する行動計画策定委員会が設置されました。また同時に関係課長による幹事会も設置されました。さらに前年設置されました堺市建設関係情報交換懇談会において建設関係諸団体より公共工事コスト縮減についてご意見をいただきました。現在は行動計画策定に向け本市の公共施設建設の現状把握を鋭意行っているところでございます。以上です。


◆吉川 委員 ただいまご報告いただいたとおり、庁内には関係部長に参加していただいて、堺市公共工事コスト縮減に関する行動計画策定委員会を設置していただいたと、で、関係課長によりまして幹事会も設置されたということでございますけれども、この取り組みの現時点での今後のスケジュール面での概要というのはどのようになっておりますか。


◎山本 建築課長 堺市公共工事コスト縮減に関する行動計画の策定めどということでお答えさせていただきたいと思います。
 本市の行動計画策定に大いに関係といいますか、影響のある大阪府の公共工事コスト縮減に関する行動計画の策定めどが本年秋と聞いております。したがいまして、本市の行動計画策定のめどは本年12月末ということで考えております。以上でございます。


◆吉川 委員 先ほどの体制の中で12月末までにそういう行動計画を策定していただけるということでございますので、スケジュールおくれることなく、しっかりと取り組みをお願いしたいわけでございますが、先ほど申し上げたその自治省からの通知文書では、公共工事コスト縮減の数値目標が示されてるわけでございます。読み上げますと2点書かれてるわけでございまして、「全体の取り組みにより、公共工事のコストを少なくとも10%以上縮減することをめざす」と、それから「このため平成11年度末までにすべての施策を完了し、この期間中におおむねの縮減効果が得られるよう最大の努力をする」というふうに示されてるわけでございます。当然当市での財政健全化における経済効果というものは大いに期待できるわけでございますけれども、この数値目標ですね、これはどのように設定されておりますか。


◎山本 建築課長 本市の公共工事コスト縮減の数値目標についてお答えします。
 政府の行動指針、建設省の行動計画における数値目標は、計画から施行に至る4分野に対応して定められております。詳細に申しますと、第1分野の工事の計画、設計等の見直し、第2分野の工事発注の効率化等により6%、第3分野の工事構成要素のコスト縮減、第4分野の工事実施段階での合理化、規制緩和等により努力目標として4%、合計10%が公共工事コスト縮減の数値目標となっております。本市といたしましては、これらを参考に本市の建設状況にマッチした数値目標が、今後、堺市公共工事コスト縮減に関する行動計画策定委員会において本年12月末をめどに設定されると考えております。よろしくお願いします。以上でございます。


◆吉川 委員 これも12月末までにそのあたりを明確にしていただけるということでございますので、しっかりとその数値を明らかにしていただきたいと思います。財政健全化に掲げられました経常収支比率80%台、この試算では89%という試算の表も出ておったわけでございますけれども、この市税収入が2%伸びるという仮定した中でこの89%を達成するという計算では、5年間の累計がほぼ720億を超えなければ、要するにそれだけの財政改善をしなければこの財政健全化の目標を達成できないということでございました。
 その上から考えると、この公共工事のコスト縮減というのは、その額から考えると非常にこの影響は大きいのではないかと私は思うわけでございますので、今後種々検討されるということでございますので、3点ほど要望しておきたいわけですが、まず1点目といたしましては、市民の皆様の理解が得られるように、この取り組み内容をわかりやすくしていただきたい。当然業界諸団体の皆さんのご意見も十分聞いていただいて、ひとり相撲にならないようにしていただきたいということがまず1点でございます。そして、そうしたことを十分された上で、この取り組み効果、これを定量的に評価できるように事前に評価基準というものをきっちりと定めていただきたいと思います。先ほども申し上げたその数値目標というのも当然のことでございますけれども、このあたりの設定ですね、非常にこの内容を見ると大変定量化は難しい内容もございましたけれども、ぜひともそのご努力をお願いしたいと思います。それから3点目といたしましては、この財政面で考えると、財政面というのはすべて数値であらわれてくるわけでございますので、あいまいな言葉の表現だけでの評価というのはぜひとも避けていただきたいなというふうに思います。それからこの3年間と、平成11年末ということは実質3年間と非常にタイトなスケジュールで自治体に要望が参ってきてるわけですけれども、このタイトなスケジュールの中でも初めと終わりをきっちりとけじめをつけていただきたいということを要望いたしましてこの質問は終わりたいと思います。
 続きまして、堺市住宅計画についてでございますが、昭和61年2月3日、住宅審からの答申を受けられまして同年7月に堺市住宅計画を策定していただいたわけでございます。もう随分日もたってるわけでございますけれども、この住宅計画の進捗、現在どのようになってるのか、非常に幅広い内容でございますので要約していただいて結構でございますので、ご報告いただきたいと思います。


◎本田 住宅政策課長 本市では良質な住宅の供給と良好な住環境の整備を促進し、定住魅力ある都市づくりと都市活力の向上を図り、長期的な目標のもとに総合的・体系的に諸施策を推進していくため、昭和61年堺市住宅審議会のご答申を得まして堺市住宅計画を策定いたしました。その後、平成3年2月の第三次堺市総合計画の策定並びにその当時の経済社会情勢の変化、また居住者ニーズの多様化、そして本市の地域特性等を勘案した中で再度住宅審議会のご答申を受けまして平成6年7月に同計画の改定を行っております。この中で計画の長期目標といたしまして5つ掲げております。まず1点目が定住の促進でございます。2点目が居住水準の向上、3点目が高齢化社会への対応、4点目が地域特性に応じたまちづくり、5点目が住文化の創造でございます。
 この目標の主なもののうち、特に主な施策に係る事業の進捗の概要でございます。まず1点目の定住の促進につきましては、中堅勤労者のファミリー向けといたしまして民間活力と連携した良好な都市型住宅であります特定優良賃貸住宅の供給を平成4年から行っておりまして、管理ベースで既に358戸を供給いたしております。また昭和51年から堺市住宅供給公社によります分譲住宅の供給に努めておりまして、既に596戸の供給を行っております。そのうち平成6年からの供給実績では23戸でございます。今後ともこれら良質な住宅の供給によりまして人口の定住と誘導を図ってまいりたいと考えております。
 次に、2点目の居住水準の向上につきましては、本市の場合、特に公営・公団等いわゆる公的賃貸住宅の老朽化した住宅において居住水準が低くなっておりますが、これらの住宅につきましては、平成5年度に策定いたしました堺市公共賃貸住宅再生マスタープランに基づきまして居住水準の向上を図るべく建替えを鋭意推進しておるところでございます。その中で公営住宅の建替えの進捗率は、着工をベースにしまして現在約40%となっております。一方で府営、公団等ほかの事業主体につきましても本市の建替え事業と連携しながら、例えば金岡団地あるいは新金岡団地を初めといたしまして、建替えや一部屋増築等によりそれぞれ居住水準の向上を図っておられます。
 3つ目の高齢化社会への対応でございます。これは平成2年度に策定いたしました堺市地域高齢者住宅計画に基づき鋭意推進中でございます。特にハード面におきます市営住宅等の対応といたしましては、スロープ、手すりの設置、それから5階以上のエレベーターの設置、段差の解消、また浴槽の落とし込み等をいたしております。一方民間への啓発といたしましては、平成3年度堺市地域高齢者住宅設計指針、それから平成4年度に、これをよりわかりやすくいたしましたお年寄りに配慮した住宅設計のポイント等を作成いたしました。さらには、平成元年度より建設省で定めております10月の住宅月間にちなみまして、毎年10月に住宅フェアを開催し、福祉部局等とも連携しながらこれらの普及・啓発に努めております。
 4点目の地域特性に応じたまちづくりの推進でございます。特に本市におきます課題地区でもあります老朽木造住宅等の密集地区につきましては、現在湊及び湊西地区において53ヘクタール、これを整備計画の大臣承認を得まして、現在木造の賃貸住宅、それからこれに伴う面的整備等を推進しております。現在まで3カ所の建替更新、それからこれに伴う狭隘道の拡幅並びに公園用地等の取得をいたしております。これ以外に堺市内の他に、ほかに点在いたします8カ所につきまして約500ヘクタールございますが、こういった密集地区につきましても平成8年度、その現況調査を終えております。
 最後に住文化の創造でございます。これからのまちづくりを進めていく上で、市民のまちづくりへのご理解と協力は欠かせないというふうに考えてございます。このため毎年10月の住宅フェアを初めとしまして、パンフレット、広報等、また関係部局と連携とりながら、今後ともあらゆる機会をとらえて、まちづくりへの理解を醸成してまいりたいと、このように考えてございます。主な施策の進捗の概要につきましては以上のとおりでございます。


◆吉川 委員 今大変丁寧に報告いただいたわけでございますけれども、堺市にとりましては、市長がいつも申されてます政令市をめざす上ではこの人口問題というものが非常に大きな課題になってるわけです。先ほどの質問にもございました、確かに少子・高齢化という一つの課題も抱えてるわけなんですけれども、21世紀を展望した堺のまちづくりを考える上では、一つこの人口問題というのをしっかりととらえていかないといけないと思うわけですけれども、この人口問題にかかわる公営住宅、特に市営住宅ですね、のあり方についてはどのようにお考えでしょうか。


◎本田 住宅政策課長 人口問題を考える上で住宅政策はその施策のうちの重要な一つであるというふうに考えております。平成5年度の住宅統計調査によりますと、本市の住宅総数は29万9,330戸でございます。このうち持ち家と借家の割合はほぼ同数となっております。借家のうち公営、それから公団、公社等いわゆる公的賃貸住宅の占める割合は22.7%でございまして、これは大阪府平均の11.8%、また全国平均の7%と比べまして非常に高い割合というふうに考えております。しかし一方で、人口の定着と、定住という観点から考えますと、居住者ニーズに対応した良質で多様な、それからさまざまな施策による住宅、これがこれらの多様な住宅の供給も必要であろうかというふうに考えております。こうした観点から今後公営住宅の建替時においても、公社・公団等他の事業主体とも連携をとりながら多様な住宅の供給に努めるべく、今年度策定の堺市住宅マスタープラン等において検討してまいりたいと思います。以上が公的住宅の考えですけれども、一方民間住宅におきましても従来の規制から誘導への転換を図る中で総合設計制度等の活用、あるいは宅地開発等指導要綱等の活用を図りながら良質な住宅の供給増と人口の定住に努めてまいりたいというふうに考えております。以上です。


◆吉川 委員 住宅問題にかかわる住宅のあり方というのを公・民両面からお答えいただいたわけでございますけれども、この人口にかかわる住宅のあり方というのは、おっしゃられるように確かに重要な要素であると私も考えるわけでございます。ただ、時代の変遷とともに特にこの公営住宅のあり方というのは変化しているというのは実情でございます。単に公営住宅をふやすだけが一つの方策ではないというのは、私はもう明らかなことではないかなというふうに思っております。この人口をふやすという観点から、もう十分に今年度に堺市住宅マスタープランというのを策定していただけるというご報告でございますので、この観点を十分に取り入れてこのマスタープランを策定していただきたいと思います。既に現状の課題等は住宅審議会にも報告していただいてますので、これら等十分、何が課題なのか、そして何をやっていかないといけないのか、そのためには例えば公営住宅では、単にふやすだけでいいのか、そして従来の施策であるその場所を単に供給するだけでいいのか、低廉な家賃の住宅を供給するだけでいいのかという、公の立場をもう一度ゼロから見直していただいて、新しい時代の要求、ニーズを正確にとらえていただいて、このマスタープランもしっかりと策定していただきたいというふうにお願いいたしまして質問を終わりたいと思います。以上です。


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