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1997年(H09)建設委員会12月12日

◆吉川 委員 おはようございます。公明の吉川でございます。私の方からは1点、先ほど駐輪の話が出ましたが、自動車の駐車問題について質問したいと思います。
 今議会の本会議の冒頭で市長は所信表明の中で、「安全で健康なまちとするため、阪神・淡路大震災の教訓を生かし、災害に強いまちづくりを進める。また、うるおいのある快適な環境を備えたまちにする」と、こういうふうにその思いを述べられたわけでございます。これを実現する上では、さまざまな解決しないといけない課題があると思うわけでございますけれども、その1つに、私はそれの実現の障害となる車の駐車問題が大事な点ではないかなというふうに思います。
 例えば安全なまちという観点から見ますと、私は、消防本部の方にちょっと確認したわけでございますが、火災時に消防自動車が消火活動をする際に不法駐車の車が障害になって敏速な消火活動ができなかったというような事例が平成8年では9件、本年度では既に6件あるということでございました。人の命にかかわる大事な問題であると、こういうふうにも思うわけでございます。また、快適な環境を備えたまちという観点から見ましても、この迷惑駐車があちこちに目立つ状況が果たして快適な環境なのかということは甚だ疑問であるわけでございます。この駐車問題について、まず、この現状をどのように掌握されているのか、また、この対応についての基本的な考え方をまずお示し願いたいと思います。


◎吉川 街路課参事 近年の著しい自動車交通が増加しておるわけでございます。こういうことによりまして、自動車交通のふくそうもさることながら、増大する路上駐車によりまして、良好な交通環境及び都市活動を妨げていることが大きな現在社会問題となっております。本市におきましても、駐車対策の確立と計画的な駐車施設の整備が重要な課題となっておるわけでございます。特に都心地区におきましては、堺の商業業務機能の中心となっているところでございますが、路上駐車が顕在化しておりまして、交通混雑とか交通ふくそうを起こしておるところでございます。このことから、重点的に駐車場整備を行う地区といたしまして、都心部に駐車場整備地区を約237ヘクタールでございますが、指定を行いまして、駐車需要の質と量に応じた公共と民間の役割の分担のもとに駐車場施策を現在推進しておるところてございます。以上でございます。


◆吉川 委員 まず、これは大きな社会問題であると、さらにこの対策の確立というのは重要な課題と認識しているということでございましたが、では、現在この実施されている対策とその効果を現時点でわかる範囲で結構でございますので、お示し願いたいと思います。


◎吉川 街路課参事 現在、駐車場施策として実施しておりますのは、特に都市部でございますが、先ほど申し上げましたように、駐車場整備地区の指定を平成5年の8月に実施しております。それと同じ平成5年の8月に公共駐車場の都市計画決定もあわせて行っております。それと平成5年の10月から実施しておりますが、附置義務条例の施行もやっております。それと平成5年の1月に民間駐車場に対する助成制度もあわせて行っております。それと、駐車場整備地区指定に伴いまして、駐車場の整備計画の策定・公表を平成7年の9月に行っております。それと本年の4月に違法駐車等の防止に関する条例の施行と駐車場の有効利用をするということでの駐車場案内システムの実施を行いまして、今現在事業を進めておるところでございます。
 それと効果でございますが、特に違法駐車等の防止に関する条例並びに駐車場案内システムの実施に伴う効果につきましては、実施から約半年以上たっておるわけでございますけれども、ちょうど3カ月ぐらいの調査でちょっと申し上げますと、特に違法駐車の防止指導員が回っている重点路線がございます。これにつきましては、大阪和泉泉南線、ちょうど市役所の南側の市道、それと砂道翁橋線と、その部分とですね、大小路線、この4路線につきましての指導員が巡回しておるわけでございますけれども、その重点路線におけます路上駐車の減少でございますが、駐車場案内システムを実施する前に比べまして、おおよそ約40%減少しているような状況になっておるわけでございます。それと駐車場案内システムを実施した後の駐車場の利用実態でございます。これにつきましては、入庫台数につきましては、約8%増加してございます。それと満車率でございますが、これは収容台数に対する滞留率でございます。それにつきましては約4%増加しておる。以上のようでございます。


◆吉川 委員 ただいま都市部の特に重点地区を指定していただいて、そこでの対策、その効果を少し紹介していただいたわけでございますが、私は泉北ニュータウンに住んでいるわけでございますが、こうした住宅地でも、この迷惑駐車、不法駐車がかなり多いわけでございまして、この住宅地における駐車場対策という観点もひとつ必要ではないかなと思うわけでございます。そこで、この住宅の建設、建替え時に、この駐車ということに対して、どのような対応をされているのか、お示し願いたいと思います。


◎松井 建設総務課参事 建築物の開発行為の際に、堺市宅地開発等指導要綱の事前協議が必要とする開発行為について、戸建て住宅、共同住宅、単身者住宅等用途区分に応じまして、算定基準により確保していただくように指導いたしております。


◆吉川 委員 それでは、公共の建物等、また病院等ですね、このようなものに対してはどのようにされていますか。


◎本田 住宅政策課長 公共の建築物の建設時の対応のうち、住宅に係る部分についてお答え申し上げます。
 初めに、公団住宅につきましては、比較的大規模な団地が多いわけでございますけれども、建替えの計画等にあたりましては、建築基準法第86条によります一団地計画による総合設計制度を適用いたしております。最近の事例で申し上げますと、金岡団地の第1期工事の建替えの場合、堺市宅地開発等指導要綱によりまして、80%の設置率を確保いたしておりますけれども、従前居住者の所有実態、車両の所有実態等を勘案いたしまして、現状60%で整備いたしております。なお、新規建設の住宅につきましては、70から80%で設置をいたしております。
 次に、大阪府住宅供給公社の場合ですけれども、最近募集されました諏訪ノ森住宅の場合の駐車場設置率は80%となっております。
 また、堺市住宅供給公社の場合ですけれども、過去の駐車場の、共同住宅の場合ですが、設置率、平均67%でございます。同じく戸建て住宅の場合は、これは分譲でございますけれども、100%の設置率となっております。
 それから、府営住宅の場合ですけれども、例えば福田、大美野、東陶器住宅での建替えにつきましては、平均65%の設置率となってございます。
 最後に、市営住宅についてお答えを申し上げます。市営木造住宅建替事業に伴う駐車場の設置台数につきましては、堺市宅地開発等指導要綱に基づきまして、80%の指導を受けておりますが、入居者の車の保有台数を把握した上で、現状60%ぐらいで設置をいたしております。なお、計画上は80%設置可能なように対応はいたしております。以上でございます。


◎山本 建築課長 私の方からは、ご質問の公共建築物のうち住宅を除く他の市有建築物についてご答弁させていただきます。
 駐車場施設設置につきましては、堺市宅地開発等指導要綱第22条に基づき設置をしております。また、堺市建築物における駐車施設の附置等に関する条例の適用もあわせて受ける公共建築物の場合は、2つの基準を遵守し、駐車施設を設置しております。以上です。


◆吉川 委員 いずれも宅地開発等指導要綱に基づいてこの駐車場の設置を増設または新築時に適用して指導されているということでございましたが、この要綱におけるその設置の基準はどのようになっていますか。


◎松井 建設総務課参事 事前協議を必要とする場合の対象が、開発区域が面積が500平米以上、また建築の面積が1,000平米以上、集合建築物で5階以上または10戸以上の建築行為及び開発行為につきまして、戸建て住宅につきましては1戸につき1台以上、その他共同住宅、医療施設、商業施設であるとか工業施設等用途区分に応じて、また商業地域であるとか近隣商業地域、その他の地域ということでの用途別の地域に分けて基準を設けております。以上でございます。


◆吉川 委員 まず、この開発指導要綱22条関係の指導基準の細則として基準を設けられているということでございましたが、この基準を見ますと、例えば住宅においては、例えば一戸建て住宅では、商業地域では1、1戸につき1台ということですね。それから近隣商業地域も同じ、その他の地域も同じ、共同住宅に関しては、1戸につき商業地域は0.5、その他の地域では0.8等、この条例適用地区外では設定をされているわけでございます。しかし、私は、この共同住宅においても近年の自動車の保有状況を見ますと、本当に商業地域で0.5、その他の地域で0.8等のこの数値が妥当なものかという若干疑問があるわけでございますけれども、こうした指導の基準の根拠並びに見直しの経過について報告いただきたいと思います。


◎松井 建設総務課参事 今ご指摘の基準でございますが、昭和49年に宅地開発等指導要綱が制定され、建築物に対する駐車場の附置が指導されてきましたが、その後、高度成長期でありますとか、車両保有台数も増加しまして路上駐車がふえまして、駐車場の設置基準の強化の要望が相次ぎまして、警察署と交通関係者とも協議をしながら、今おっしゃいます地域の状況を、1つは建物の用途区分に見合った基準を設け、その基準につきましても、開発者並びに各個人さん、厳しい基準でということなんですが、今まで長い指導の中で皆さんにご理解を得て、定着してきております。
 それで49年当時、そのときの要綱の内容によりますと、中高層住宅以上の開発行為については、計画戸数の3分の1以上の割合で確保してくださいと、それでデパート、事務所、工場等に需要の多い施設についても必要な台数を有するということで、具体的に数字が指示されてなかったというふうなことで、先ほど申しましたように、自動車交通の状況変化であるとか、住居系、商業系、先ほどおっしゃいました商業地域においては、あるいは近商においてはということにつきましては、公共交通機関が十分あるというふうなこと、あるいはその地価の高騰であるとかいうことで、いろいろ勘案しまして、先ほどおっしゃいましたような数字になったわけでございますが、その数字におきましても、他都市との状況でありますとか、交通警察の関係でありますとか、そんな関係機関との協議を行いまして、それと加えまして、長年にわたる指導の中の経験数値を総合的に判断して定めたものでありまして、また、平成5年にも先ほど説明ありましたような、建築物における駐車施設の附置等に関する条例制定の基準の内容との整合を図り、項目も絞り、整理・見直しを行って現在に至っておる状況でございます。以上でございます。


◆吉川 委員 現状をさまざまにお調べいただいた上でこの基準も見直しもしていただいているということでございましたが、先ほど申し上げたこの数値についても、状況は刻々と変化しているわけでございまして、いまだに当然、これは今のお話は新しい建替え、新築ということに関してだけでございましたが、既設の建物については、手を打つことがなかなかできないわけでございますが、今後、この新築、建替えに適応するこの基準というものに対する、私はちょっと若干疑問に思っている部分もあるわけでございますけれども、今後、この基準に対してどのようにするかという考え方はございますか。


◎松井 建設総務課参事 今ご指摘ありました、今後どうするかということなんですけども、我々にしましたら、現在の基準につきまして、いろいろ過去の、先ほど申しましたような過去の経験から妥当であると考えておりますが、この基準は、最低の、最低といいますか、それ以上という意味の最低の基準でありますので、特に集合住宅、30戸以上の大規模につきましては、その基準より20%増の設置をしていただくように指導いたしておりますし、今後とも開発者の理解を得ながら、駐車場の確保を図ってまいりたいと考えております。また、住宅周辺における路上駐車の今おっしゃる解決なんですが、駐車場の確保という枠づくりだけではなしに、自動車の所有者並びに運転者のモラルの向上が大きな要因であるとも考えております。そのため、警察並びに関係の自治会であるとか、そういう商業あるいは事業者であるとか、そういうふうな関係団体による連携によりまして、駐車マナーの高揚キャンペーンの展開を図り、例えば企業、事業所における実施活動を推進することにより、業務用の車両の持ち帰り自粛などですね、推進することも重要なことと考えておりますので、よろしくお願いいたしたいと思います。以上でございます。


◆吉川 委員 今、種々ですね、開発指導要綱に基づく新築並びに建替えに対する一つの対策をお聞きしたわけございますが、これは非常に狭い範囲の話だと今思っているわけでございます。これだけで当然、この駐車問題は解決できない。ただ、非常に小さな範囲の中でも、例えば基準の設定とか、もうひとつ釈然としない部分もあるわけですけれども、この議論はおいておくといたしましても、非常に広範囲な駐車問題というのは、いろんな課題を抱えているなというふうに思います。この違法駐車で車があふれているようなまちにするのか、それともそうした状況が全くない、すっきりとしたまちにするのかという、これはまちのグレード、景観、いわゆるまちづくりにかかわる問題であると思うわけでございまして、そうした視点を持つということも必要ではないかなと思います。安全なまち、快適な環境を備えたまちをどうつくるのか、そのコンセプトを形にするためにはどうしたらいいのかということが考え方として必要になると思うわけでございまして、先ほどから種々ご答弁していただいているこの範囲は非常に小さな範囲のことでございますので、もう少し幅広く考えていかないといけないのじゃないかなと思います。
 これは何も公共が駐車場をどんどんつくってやっていけばいいのかという、この単純な議論ではないというふうに思います。現象は、違法の車があちこち止まっているという非常に単純な現象でございますけれども、その解消は非常に複雑な多くの問題を抱えていると、このように考えます。この対応については、ここにいらっしゃる皆さん、建設3局の皆さんだけでは決して私は解決することができないと思うわけでございまして、部局を超えて全庁的にこの問題に今後対処していかなければいけないんじゃないかなと思いますけれども、当局の見解はございますか。


◎清水 建設局長 ただいま委員から駐車、それから駐車場問題について幅広いいろんなご意見をいただきました。ご指摘もいただきました中で、私も全くそのとおりだと思っております。特に今先ほどから各課長が答弁いたしておりますように、急激に車がふえたというような中で駐車場が追いついていけなかったと、あるいは道路整備が追いついていけないということもまた事実でございます。いずれにいたしましても、公共駐車場あるいは民間の経営する駐車場を除きましては、駐車場というのは大半が各施設に附属してつくられているというのが現状でございまして、その施設が、それぞれの施設の管理者がそれぞれ異なるために、それに対応する我々行政側の部局も異なっておるというのが現実でございますが、しかし、ご指摘のことはまことにごもっともなことでございますので、今後、この駐車問題というのは、まさに非常に深刻な状況にございますし、まさに都市問題でもあると同時に、非常に大きな社会問題になっておりますので、我々各関係部局、いろいろ分かれておりますけれども、連携を密にいたしまして、駐車問題に真剣に取り組んでまいりたいと、かように考えておりますので、いろんなそういう組織的なものにつきましても、また庁内的にもいろいろご相談もしていきたいと思っておりますので、いましばらくご容赦いただきたいと思います。


◆吉川 委員 今、局長からご答弁いただきましたが、私は何も当局の皆さんだけが、この問題について苦しむ必要はないんじゃないかなと、当然考えていっていただかなければいけないわけでございますが、市民の皆様もひとつ考えていただかないといけないんじゃないか、そういう土壌をつくるということも必要じゃないかなと思うわけでございます。開発指導要綱の事前協議にかからない部分もたくさんあるわけでございまして、行政の皆さんが、この目に見えない部分もあるわけでございまして、そうした皆さんの協力を得るという体制も、一つその中で考えていただくことを要望いたしまして質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。


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