1998年(H10)環境保健委員会12月11日
◆吉川 委員 おはようございます。公明党の吉川でございます。私の方からは、ごみ行政の今後の考え方について質問をしたいと思います。
本年9月、堺市廃棄物減量等推進審議会から本市における一般廃棄物の減量及び適正処理に関する基本的な事項について(その2)という答申がございました。近代化が生み出した余りありがたくない副産物である都市ごみが私たちを大変苦しめているわけでございますが、21世紀を展望する中で、このごみをどのように扱っていくのかということは、環境問題を初め、コスト負担も含めた大きな課題として認識しているわけでございます。そこで、今回のこの答申、非常にさまざまな課題も提示していただいてるわけでございますが、それに対しての当局の認識はいかがでしょうか。
◎田中 環境事業部次長 答申では、4件ほど課題を提示して提言をいただいております。共通的な認識でございますけども、近年の大量生産、大量消費、大量廃棄に伴い、いろんな減量化施策を実施しているにもかかわらず、ごみはふえてきております。いかに市民、事業者、行政が一体となってごみの排出量を減らし、環境に負荷の少ない資源循環型社会を構築するということが大きな課題になっていると認識しております。以上です。
◆吉川 委員 この答申の課題に対する当局の認識は一致してるというふうに理解したいと思います。この答申の中では、その課題の抽出に加えて、さまざまな提言をいただいてるわけでございますけれども、先般、議会でも行財政改革特別委員会の提言の中でも、このごみ行政については提案してるわけでございます。そうしたものに対して当局は今後どのような対応をされるかお聞かせ願いたいと思います。
◎田中 環境事業部次長 審議会答申は、次世代のための環境行動の推進を基本的な姿勢とした行政以外の立場からの貴重な提言であり、今後のごみ行政のあり方や環境負荷を考慮した資源循環型社会の構築に向けた効率的かつ効果的な内容となっております。現状を直ちに直視するもの、市民や事業者のコンセンサスを得ながら中期的な計画を立てるもの、法改正や国及び他の自治体との協議を重ねながら長期的に取り組むものなどがあるので、答申を尊重し、その趣旨に沿って検討を重ねてまいります。また、行財政改革特別委員会からは、清掃工場の運転管理業務については民間委託を進めることと、ごみ収集業務については直営業務のあり方を明確にするとともに、効率的な収集体制の確立を図るため委託範囲の拡大を検討することの提言をいただいております。部といたしましては、これまでも職員の理解を得ながら南工場の運転委託を初めとしまして委託業務の拡大を図るとともに、収集分野では直営の効率化のため職員の適正配置等に努めてまいりました。今後も提言を踏まえ、東工場並びに環境事業所における対応について検討を重ねながら順次実施してまいります。以上です。
◆吉川 委員 検討されるということでございましたけれども、それでは、その検討というのは、どこで、だれが、どういう体制で責任者となって進めていくのかお答え願いたいと思います。
◎田中 環境事業部次長 環境事業部内に部長を委員長とした(仮称)提言推進委員会を設置し、関係部局と調整を図りながら具体的な検討を行ってまいります。以上です。
◆吉川 委員 今、提言推進委員会を設置して検討されるという体制をお答えいただいたわけでございますけれども、先ほどのご答弁にもございましたように、この課題を解決するためのやらなければならないことというのは、短・中・長期的なものがあるということでございました。これを一度、短期的にはどのようなことをやらないといけないのか、また中・長期的にはどのようなことをやらないといけないのかということを、まず一たん整理していただいて、市民の皆様方にもお知らせ願いたいと思います。また、当然検討のプロセスも含めて、当然実施ももちろんのことでございますけれども、目標管理的な手法をしっかり用いていただいて、着実な検討を市民の理解を得ながら行っていただきたいと、こういうふうに思います。
それでは、このごみの処理とかリサイクルにかかる、現在かかっている直接的な経費、それから間接的な経費というのがあると思うんですけれども、平成9年度の実績で結構でございますので、ご報告いただきたいと思います。
◎塩尻 事業課長 ごみ処理にかかる直接経費を申し上げますと、収集運搬及び中間処理、埋め立て処分にかかる経費でございますが、平成9年度の実績で約100億円でございます。また、リサイクルにかかる経費といたしましては約8億円でございます。次に間接経費でございますが、これを施設の減価償却という観点で考えていきますと、減価償却という概念が市ではございませんので、約20年ぐらいで減価償却すると考えていきますと、昨年完成しました第二清掃工場が200億、プラザというのが平成7年に完成しております。それから収集事業所がことしの4月、それらを合わせますと約220億円、それを単純に20年と試算いたしますと、1年間、平成9年度で申し上げますと11億円ぐらいかかっているであろうと、これはあくまでも試算でございます。以上でございます。
◆吉川 委員 莫大な費用がかかってるというご報告をいただきましたけれども、これを市民1人当たりの経費に換算するとどれぐらいになるのかなということと、これは他市と比べてどのような堺市が水準にあるのかお答えいただきたいと思います。
◎塩尻 事業課長 堺市及び他市の市民1人当たりの経費ということでございますが、堺市の経費に関しましては、平成9年度実績で1万2,473円でございます。主な他市の状況でございますが、中核市の一例を取り上げますと、大分市で平成9年度1万6,689円、それから姫路市で1万3,578円、浜松市で1万1,100円、それから豊橋市で1万2,035円と、堺市では平均的な経費になっていると思われます。以上でございます。
◆吉川 委員 ただいまさまざまな数値を報告いただいたわけでございますけれども、公明党が昨年の7月に大阪府下の実態、ごみ処理に関する実態調査というのを行っておるわけでございますけれども、ただいまの報告では1人当たりのごみ処理にかかる年間経費というのは、他市と比べると一つアベレージであるということでございますけれども、この公明の実態調査の中では、大阪府下なんですけれども、1人当たりの年間ごみ処理量が少ないところでは300キロ以下のところがございます。先ほどの報告の中で当市に当てはめてみますと、大体年間のごみ処理量が32万トンですから、80万市民とすると400キログラムと、1人当たり400キログラムということになるわけです。こうした数値をアベレージであるからよしとするということではなくて、より少ないところもあるわけでございまして、そうしたこともしっかりと分析もしていただきたいなというふうに思います。
平成9年度の実績でのごみ処理経費の合計、先ほど約100億とお答えいただきましたけれども、1人当たりにすると年間1万2,473円ということでございますけれども、平成9年度の市税における市民税というのは大体582億円だったと記憶しとるんですけれども、このごみ処理の直接経費、間接経費も含めた経費がおよそこの20%に当たるわけです。要するに市民の皆さんから直接いただく税金の20%は、ごみを集めて、燃やして、埋めるということに費やされてるということに、このままのこういう状態でいいのかなという、一つ私は疑問がわいてくる数値であるというふうに思います。一方、この税の公平な執行を前提とするならば、例えば減量努力をされている方、一生懸命ごみを減らそうとして実際ごみを減らしてる方、そういうことにとんちゃくせずに出た分だけごみを捨てられる方、現状では、これ多分同じ負担になってると思うんですけれども、この税の公平な執行という観点から見ると、これはどうなのかなというふうに私も思うんですけれども、当局はこのことに関してどのようにお考えでしょうか。
◎田中 環境事業部次長 事業者及び消費者は、それぞれの受益に応じてごみ処理コストを負担することが社会的公平性の原点であります。事業系ごみにつきましては、本年10月からごみ処理手数料の改正を行い、直接経費相当分を負担していただくこととし、将来的には間接経費を含め100%負担を実施してまいりたいと考えております。また、家庭ごみにつきましては、公平性の観点から有料制を実施する自治体が増加しており、市民意識の高揚と、ごみ減量にかなりの効果を期待できるものであります。
現在、他の自治体で実施されている有料化には大別して二通りあり、標準量までは無料で、それを超過した分を有料とする方法と全面的に有料の方法があります。前者の場合は、標準量の算定を現状の排出量にするのか、少し減量に努力すれば可能な量にするのか、相当な努力を必要とする量にするのか基準が難しく、いずれの基準にしても人それぞれに考え方や努力度合いが異なるため、全く公平になるとは言いがたい面がありますが、現在のところ、この方法が市民の理解が得られやすく、効果的との評価が高くなっております。後者の場合は、ごみを出せば即料金が必要となり一見公平に見えますが、全くごみを出さない人はいないためコンセンサスを得にくいことと、料金さえ支払えば幾らごみを出しても構わないとの考えになびく可能性もあります。これは高所得者に有利で低所得者に不利な面があります。いずれにせよ、適正な料金設定や公平な実施方法はまだ議論が十分でなく、今後も議論を重ねながら慎重な検討が必要との審議会答申を尊重し、今後も検討を重ねていかなければならないと考えております。
また、市民がごみの減量に努力できる環境づくりもあわせて整備する必要があるため、事業者へはリサイクルが容易となる構造、材質、規格での製品製造、使用済み容器の自主回収などを要望をしていくとともに、リサイクルルートの確立や、ごみ処理事業の効率化等を図っていく必要があると考えております。以上です。
◆吉川 委員 このごみの問題というのは、非常に小さくて大きな問題であると私は認識しとるんですけれども、法律の整備を含め、さまざまなこれから解決しないといけない課題があるというふうに思います。今までの当局のご努力も評価するわけですけれども、この将来を展望する中で、もう一歩踏み込んだご議論も積極的に行っていただきたいというふうに思うわけです。
その中で、この提言にもございましたけれども、ご存じかと思いますけれども、イギリスのサッチャー政権は、経済悪化、財政赤字拡大、行政肥大化などのいわゆる英国病を克服するために世界に先駆けてこの民営化路線を引いたわけでございます。公共事業及びサービスへの市場原理導入によって、公共部門縮小、規制緩和を大きく推進したというふうに伺っております。こうしたこの行革の延長線上に位置づけられておりますPFI、プライベート・ファイナンス・イニシアチブは非常に注目をされてるわけですけれども、その後のブレア政権に引き継がれて、現在その累計で3兆円を上回る事業額に達しているというふうに聞いてるわけです。それによって、その効果は国・地方の財政を着実に減少しているということが伝えられてるわけでございまして、先ほどさまざまな経費のお話も聞かせていただきましたけれども、将来この大きくコスト負担を強いられるごみ行政に対しても、単なる民営化とか、単なる第三セクターへの移行とかいうことではなくて、ひとつこのPFIも、当然法的な整備も必要かと思うんですけれども、ひとつご議論をしていただきたいと思うんですけれども、現時点ではこのPFIの可能性ですね、当市における可能性、法的な面、現実面では何か検討されてますでしょうか。
◎塩尻 事業課長 ただいまご質問のPFIにつきましてご説明いたします。
PFIにつきましては、通称PFI法案が現在国会で審議中であります。既にこのことについても本格的に導入を検討してる市町村もあるやに聞いております。本市におきましては、このような動きを受け、清掃工場へのPFI導入に関して調査を行っております。現在もおりますが、まだ法案が審議中の段階でありまして、規制緩和策や補助制度等々周辺整備がなされておらず、これの評価につきましては明確なものは今現在持っておりません。しかしながら、廃棄物処理施設についてはPFIを導入する上で法的な問題が比較的少ない分野と言われておりまして、ごみ処理コストの低減化という観点からも導入も視野に入れ、さらに積極的に検討を続けてまいりたいと考えております。以上でございます。
◆吉川 委員 こうした先進的な手法も、ぜひとも今ご答弁ございましたように、積極的にご検討、ご研究いただきたいと思います。
昨日ですか、ちょっと忘れましたが、新堺市行財政見直し実施計画というのを私いただきました。その中ではごみ処理及び収集業務についてですけれども、民間委託というのがうたわれておるわけでございます。こうした、確かに部分的な委託を順次推進していくということも確かに必要なことかもしれませんけれども、ごみの収集から焼却、廃棄までのこのプロセスの中で、一たん全体を見渡していただいて官民の役割分担を、当然行革を念頭に置きながら検討していただきたいというふうに思います。いずれにせよ、検討、計画実施、これを市民の皆さんに見える形で一刻も早くお示しいただきたいと思います。
最後に1点だけでございますが、泉北御池台には清掃工場、南工場というのがございます。私も泉北ニュータウンの住民の一人として、地域住民の方からさまざまなお声をいただいてるわけでございますけれども、最後にこの南工場の更新についての現状についてご報告いただきたいと思います。
◎塩尻 事業課長 南工場につきましては、竣工が昭和48年と、現在でも25年を経過しているわけでございます。平成2年度、3年度及び平成8年度、9年度に周辺の環境調査を実施しており、庁内的に現在、焼却方式、処理規模、運営手法などについて調査・検討を進めているところであります。それらのことを勘案して早急に結論を出し、着手したいと考えておりますので、よろしくお願いします。