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1999年(H11)文教委員会09月20日

◆吉川敏文 委員 公明党の吉川でございます。本日は教育の情報化についてお聞きをしたいと思います。
 これまでも議会で情報教育に関しましては何回か議論をさせていただきました。今回初めて文教委員会に入れていただきましたので、さらにこの議論を深めてまいりたいと、このように思います。
 平成10年12月に設けられました内閣総理大臣直轄の省庁連携タスクフォース、いわゆるバーチャルエージェンシーでございますけれども、ここが4つの提案をいたしました。4つのプロジェクトの提案をしたわけですけれども、その1つに教育の情報化プロジェクトというのがございます。本年7月26日にその報告が総理にされているというふうに伺っておるわけです。私もその内容を見させていただきましたが、非常に具体性があり、なおかつ、めざすべき目標も明確にされている報告ではないかなというふうに思うわけでございます。また、それに先立ちまして6月のケルンサミットのケルン憲章、ここにおきましても、すべての子どもにとって情報通信技術の能力が不可欠である旨が合意されておりまして、教育の情報化、日本の教育においても、これは非常に重要な課題であると位置づけられるのではないかと思うわけでございます。
 こうした世界的な趨勢の中で、それでは一体当市の小・中学校においては、この教育の情報化、一体どうなっているのかというあたりからお伺いしたいと思うんですけれども、まず初めに、この教育の情報化、これは何のためにやるのかと、この目的を再確認する必要があると思いますが、いかがでしょうか。


◎芝村 学校指導課長 お答えさせていただきます。
 教育の情報化の目的でありますけれども、本市教育委員会としては、以下に述べる3つのことを中心の目的と考えております。1点目につきましては、高度情報化社会に対応した情報活用能力の育成でございます。2つ目といたしまして、それをもとにいたしまして、みずから学び、考え、よりよく問題を解決する、そういう学ぶ力の育成であります。3点目といたしましては、幅広いコミュニケーションの中から生まれてくる豊かな人間性の育成、それら3点を主な目的として情報教育を進めているところでございます。以上でございます。


◆吉川敏文 委員 今、3点目的を明らかにさせていただきました。これは教育全般にわたる非常に大事な話ではないかということを頭に入れていただいた上でご質問したいと思います。
 まず、この教育の情報化、情報教育というんですか、これの現状がどうなっているのかということで、まず、ハード面と教員の指導力という、この2つの側面からお答えいただきたいと思います。


◎芝村 学校指導課長 本市の現状のうち、ハード面の整備状況でありますけれども、平成12年度に全小学校のコンピューター室の整備と各小学校22台のコンピューターの設置を完了いたしました。また、本年11年度につきましては、20校の中学校におきまして、平成3年度までに設置したコンピューターを最新のものと入れかえまして、各校それぞれ42台のコンピューターの設置を行いました。一方、教員の指導力等の現状でありますけれども、平成10年度末のデータでありますけれども、コンピューターを使うことのできる教員の割合は、小学校では80.7%、中学校では61.1%というデータを持っております。さらに、コンピューターを利用して授業を指導できる教員の割合につきましては、小学校で36.6%、中学校では43.1%というデータを持っております。以上でございます。


◆吉川敏文 委員 ただいまご報告いただきましたけれども、簡単に言うと、すべての小・中学校には最新のコンピューターが入っているよと、ただ、それを授業に活用されている教員の方々が40%前後だということだと思いますが、その授業での活用の状況をもう少し詳しくご報告いただけますでしょうか。


◎芝村 学校指導課長 先ほどの答弁、一部訂正させていただきます。全小学校のコンピューター室の整備と各校20台のコンピューターの完了につきましては、平成10年度の間違いであります。申しわけございません。訂正させていただきます。
 現状、コンピューターを活用した教育の現状をさらに詳しく述べさせていただきます。それぞれ小学校、中学校でどれぐらい子どもたちがコンピューター室に出向いてコンピューターを使った授業を受けているかということのデータをご紹介させていただきます。小学校につきましては、昨年度中で平均、全学校平均して16時間のコンピューターを活用した授業を受けております。中学校につきましては、平均20時間の活用でございます。小学校16時間、中学校20時間ということで、年間の授業週数というのは、ほぼ35週程度かと思いますけれども、ざっと2週間に一度は1時間はコンピューターを活用した授業を行っているというのが、おおよそ全市の平均的な状況であるかと思います。以上でございます。


◆吉川敏文 委員 今のご報告は平均の話ですので、各校非常にばらついていると私は思うんですね。その話はまた後でお聞きするとしても、こうしたあらかたの現状の中で、皆さんはこの課題ですね、こういう現状に対して課題を言う前に認識をお聞きしたいんですけれども、こういった現状がどうなのか、進んでいるのか、おくれているのか、このままでいいのか、どうしないといけないのかという、どういうふうな認識をされていますか。


◎芝村 学校指導課長 いわゆるコンピューターを活用した教育の推進につきましては、コンピューターを道具として、その操作にいかになれるかということ以上に、子どもを変える、あるいは学校教育全体を変えるということにつながるぐらいの大きな課題であると考えておりまして、教員の指導能力あるいは子どもの実際の活用状況につきましては、まだまだ課題が残っているものと考えておりまして、我々といたしましては、教職員の研修を一層充実させることと、コンピューターの取り扱いというだけでなしに、教育全体あるいは指導の中で位置づけて、子どもたちの学び方を変えていく、その中心的な課題であるという認識をそれぞれの学校、教職員に指導することを今後の緊急の問題意識としてとらえております。以上でございます。


◆吉川敏文 委員 今、さまざま課題があると、課題であるととらえているというお話がございましたが、そのあたりをもう少し明確にしたいと思いますけれども、それでは一体、何が課題なんでしょうか。


◎芝村 学校指導課長 今後の課題、何点かございますけれども、まず1点目といたしましては、教員の指導力の向上でございます。2点目といたしましては、将来、予想される全校へのインターネットの接続等のハード面の整備も当然課題と考えております。さらに、コンピューターを扱うという以上に、それを授業の中で日々の教育の中でどう活用していくかという考え方をそれぞれの教員に的確に伝えていくこと、それらをもとにして子どもたちが指導を受けていくわけでありますけれども、いわゆる情報モラルの育成ということも子どもたちに身につけさせていく、こういったことも課題の一つと考えてございます。以上でございます。


◆吉川敏文 委員 いろいろお答えいただきましたけれども、少しわかりにくいんですが、結局は、今はハードは整いましたよと、だけれども、子どもたちはこれを活用した授業を十分にまだ受けてませんよという理解でよろしいんですね、もうお聞きしませんけれども、ということは、今やらなければいけないことは、堺市のすべての子どもたちに平等の機会を与えるために、早急にこの子どもたちが学校のばらつき、格差をなくして、いち早く、時間がたてばたつほど、子どもたちはその教育を受けるという機会を損失していくわけですから、一刻も早く、そういう教育環境を整えるということが課題であると私は思うんですね。その中で大事なのは、一体何かということを浮き彫りにしていかないといけないと思うんですけれども、今何が大事なのか、要するにお金がないのか、それとも時間がないのか、それとも教師の指導力が足りないのか、それともやる気がないのか、一番、先ほど申し上げた子どもたちに平等にその機会を与えていくための一番今やらなければいけないことは何でしょうかね。


◎芝村 学校指導課長 4点ほど、委員の方から例示していただいた中で、時間あるいは経費、指導力等の問題もあったわけでありますけれども、それぞれの学校、教員あるいは教育委員会といたしましても、この新しい時代の情報教育について進めていくんだという強い決意というのがまず大切かと考えております。以上でございます。


◆吉川敏文 委員 強い決意は、じゃあ一体だれがするのかと、こんなことはもう聞きませんけれども、決意だけでは話は進まんわけで、これから進めなあかんという認識はあるんだけれども、何が障害になっているのかというあたりが、もう少しきちっと認識していただきたいと思うんですね。決意性だけで進むんやったら、世の中楽なもんですわ。
 先ほどコンピューターの活用状況教えていただきました。もう少し詳しい資料もいただいております。例えばこれを見るとですね、例えば中学校なんかは平成3年から始められているんですね、コンピューターの整備ね。それで40校がコンピューター活用しておりますという報告もいただいてまして、先ほど平均では20時間と、そこそこやないかと一瞬思ってしまうんですが、よく見ますと、例えば各教科で、このコンピューターを活用しているところ、国語2校、数学7校、社会2校、理科7校、音楽1校、技術36校、技術はプログラムの中に多分コンピューターを学ぶというプログラムがあると思いますので36校、それでも4校やってないんですね、何でかなと思うんですが、家庭が5校、美術1校、英語2校等々あるわけです。ということは、中学校ではほとんど教科には活用されていないということがわかりますよね。そしたら教科に、じゃあ活用するためには、どうしたらいいのかと、何が足りないのかということを、もう少し現状をしっかりと掌握していただきたい、よろしいですか。
 私、この情報教育のことを再三申し上げるのは、単にコンピューターを使えばいいという考え方ではなくて、先ほど目的のところでも確認をさせていただきましたが、21世紀の教育を変えていくという大きな力を持っているんではないか、教育を改革するための力を持っているんではないかなと、あくまでも手段としてですよ、というふうに考えるんですね。冒頭に紹介いたしましたバーチャルエージェンシーの教育の情報化プロジェクトの中にも、3つの視点で、これからこういう情報機器を活用することによって変わっていくということが書かれているんですね。
 例えば、この3つは子どもたちが変わる、それから授業が変わる、学校が変わる。例えば子どもたちが変わるというふうな項目ですと、先ほどの目的とよく似てるんですが、主体的に学び、考え、他者の意見を聞きつつ、自分の意見を論理的に組み立て、積極的に表現、主張できる日本人を育てるという、こういう観点がありますよと、具体的には、これまでの日本の学校教育においては、ディスカッション能力やプレゼンテーション能力など、説得力のある建設的なコミュニケーションを展開するために必要な能力が十分に育成されていない。これは戦後教育の一つの私は欠点だと思うんですけれども、これをコンピューター等活用することによって、こうした能力を飛躍的に高めることが可能であるという見方がございます。
 それから授業が変わる、ここの項目ですとね、現在学校の授業内容をおおむね理解しているのは、小学校5年生で7割弱、中高生で4割前後という調査結果があるそうなんですけれども、これは私よく知らないんですけれどね、そういう調査結果がある。ということは、授業がわからんということです。授業がわからない、そうすると何をしたらいいかわかる授業をするという、ですから授業が変わるということなんですけれどもね。例えばどうなるかというと、子どもたちの個性を理解度に応じたきめ細かな授業を行うことも可能になる。このように授業がわかるようにするためにコンピューター等をすべての教科等の授業で日常的に活用することが不可欠であるとも提言されておるわけです。
 こうしたことを考えると、まさに教育を改革する重要なツールであって、なおかつ、子どもたちの将来にとって必要な技術も身につくというこの情報教育、非常に大事だと思うんです。ですから、何回も同じことを申し上げているわけですね。
 今のこうした現状を皆様方が認識された後、じゃあ、先ほど決意の話をされたと思うんですが、私は決意も大事なんですけれども、それを推進していく具体的な体制、仕組みが必要であると思うんですね。これを皆さんどうお考えでしょうか。


◎芝村 学校指導課長 情報教育の課題解決あるいは将来の発展に向けましての体制、仕組みのことでございますけれども、教育委員会の学校指導課及び本市の教育センターと、それぞれ役割分担をしながら、まず、それぞれの学校の教員の資質向上ということで、多様な方法をもって研修を進めていくということがございます。さらに、それぞれの学校が単一校として努力していくだけでなしに、それぞれの学校の特色ある取り組み、あるいは先進的な取り組みを進めながら、それらコンピューターを活用した授業を相互に公開し合う、このことにつきましては、多くの学校でなされつつありまして、コンピューターの扱いになれるという一方で、授業の中でどう活用していくかというのを学校間で学び合う、あるいは校内の授業研究会通しまして、学校内でも学び合うと、そういったことございます。そういう意味で、教育委員会と学校との関係、さらに学校同士の横の関連を積極的につけていきまして、本市全体の情報教育の水準向上に努めたいと考えております。以上でございます。


◆吉川敏文 委員 1つは、学校指導課さんと教育センターが連携をとるという形の話、それからもう1つは、その学校間でそれぞれ頑張って交流せえよという話だったかと思うんですけれども、ちょっとこれ、教育センターさんと学校指導課さんとで連携されて、じゃあ、教師の方に、教員の方に研修をされると、そうすると、いつごろまでに教師の方はこの授業に活用されるようになるんでしょうね。


◎芝村 学校指導課長 達成年度につきましては、非常に難しいことではございますけれども、当面、新学習指導要領が2年半後に完全実施されますので、その時期については総合的な学習についても全校で実施され、その中で情報教育に関する学習活動も多様に行われなければならないということで、我々の当面の目標としては、もちろん早い方がいいわけでありますけれども、全校的な完全な立ち上がりという意味では、平成14年の春、新学習指導要領の完全実施の段階では、それぞれ総合学習の時間等の中でコンピューターを活用した子どもたちのさまざまな活動が展開されるよう善処していきたいと考えております。


◆吉川敏文 委員 2年後ということで、本当はここで、わかりました、よろしくお願いしますと言えばいいんですが、ちょっと申しわけないですがね、先ほどコンピューターを利用して指導できる教員の割合40%前後だと、ということは残る60%の方々を研修で、じゃあ2年間で授業に活用していただくようにするということでよろしいんですか。


◎芝村 学校指導課長 コンピューターを使用できる教員の割合、あるいは指導に活用できる教員の割合についても年々伸びてきているわけでありますけれども、必ずしも、先ほど申しました年度に100%になるかということについては、その確信を持てるわけではございませんが、学校の中で、それぞれ教員の得意分野あるいは専門分野というのがございまして、学校の中である学級に入ったからコンピューターを活用する授業が受けられなかったとか、そういったことのないように一人一人の教員の資質の部分につきましては、学校体制の中で子どもたちに等しく情報教育を受けられる機会をつくれるよう、学校体制をきちっとさせていくと、私どもといたしましても、当面それぞれの学校の中核的な役割をする教員の養成ということについて心がけておりまして、その教員が一人得意であるということでなしに、その教員を中心にした他の教員への波及及びその教員等を中心にした学校体制の確立といった面についても指導するよう努力していきたいと考えております。以上でございます。


◆吉川敏文 委員 その中核になっていってもらう教員の方の、それではね、教育研修プログラムははっきりしているのかというあたりをお聞きしたいんですが。


◎楠 教育センター所長 私どもの情報教育の研修期間でございますけれども、委員もご存じかと思いますが、教育センターには研修室に10台コンピューターがございます。これは他市に比べまして決して多いというような状況ではございません。10台のコンピューターを使いますと、モデルのコンピューターもございますし、プログラムを組むコンピューターもございますので、それを除きますと一度に1台に2名座りまして15人という研修状況でございますが、その研修を繰り返しまして、基礎研修講座、応用研修講座、主担者講座、コンピューター活用講座、あるいは管理職におけるコンピューター講座というふうに、もう日々フル回転をさせまして、研修のプログラムを組んでおります。
 少人数ですから、先ほど申し上げました研修と同じように、研修企画担当者が2名、情報専任ということで指導しておりますから、少人数の方が効率が上がるといえば上がるわけですけれども、そのような研修を組んでおります。そして、そこである程度の専門性の豊かな教員を指導いたしまして、各学校園でその方を中心にして広めていくと。そして、おかげさまで先ほど課長が申し上げましたように、各学校園にはコンピューターを設置していただいておりますので、現在その、夏休みもそうでございましたが、2名の私どもの研修センターの職員が午前、午後、フル回転をいたしまして、学校園の現場でお一人、お一人の先生方に、センターですと15人ですけれども、20人、40人と学校現場では研修を打てますので、私どもが出向いていった研修ということで、できるだけ効率が上がるように取り組んでいるところでございます。したがいまして、いつまでということはできませんが、本当に汗を流して頑張っておりますのでご理解をいただきたいというふうに思っております。


◆吉川敏文 委員 これ以上、いろいろ突っ込んでお聞きするつもりはございません。その研修と皆様方の姿勢に期待をしたいわけですけれども、この平成11年度に入っても一度もそのコンピューターに触れてない子どもたちがいらっしゃいます、現実。こういうことも皆さん知っていただきたい。子どもたちは平等に教育を受ける権利があるわけで、特にこうした効果が認められるというものに対しては一刻も早く子どもたちがそのメリットを享受できるような形を整えていただきたい。
 先ほどのご答弁でしたら、最終的には学校が責任持ってやってくれというような、ちょっと姿勢かなとも思えたんですが、皆様方の役割は子どもの創造性を育て、自主性を重んじ、新しい世紀の子どもたちを育てるというのが皆様方の仕事だと私は思います。ということは、皆様方が教育委員会全庁挙げて、やはりしっかりとした体制をつくった上で、学校任せにしないで、着実にこの教育の情報化を進めていただきたいことをお願いをいたしまして質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。


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