[議会での質問]メニューに戻る]


1995年(H07)平成6年度決算審査特別委員会11月16日

◆吉川 委員 おはようございます。公明の吉川でございます。1項商工費における2目商工業振興費について質問いたします。
 先日この決算委員会に備えまして家で勉強しておりました。テレビがついておりまして、マヨネーズで真珠ができるということが、ながらで見てましたので何のことかなと、ふとテレビに注目したわけでございます。どうやってマヨネーズから真珠ができんねんと、ほんまかいなという気持ちで見たわけでございますけれども、結論から申しますと、見事に真珠ができておりました。原理は非常に簡単なんですね。つくり方もせっかくですから言うておきますけど、水槽の中に水を入れまして、金魚を飼うときにぶくぶくぶくという泡がありますね、あれをぶくぶくぶくとさせるんです。そこにいきなりマヨネーズをだらっと垂らすと、そこに味の素3振りぐらいです。料理番組じゃないんですけど、味の素3振り、それから和風だしの素、コンソメ4振り、どんな味かいなと思いながら見てまして、いきなりそこへ消石灰、運動場に白い線を引くやつですね、あれをばらばらと入れたわけでございます。それをすぐできるのかなと思ったら4日もかかるということで短縮して見てたわけなんですけども、すると、どうなるかと言いますと、この消石灰というのは、カルシウムですね、ほとんどが。ぶくぶくぶくという泡の中には二酸化炭素がございまして、反応して炭酸カルシウムができると。そこに、先ほどの調味料ですね、これ、アミノ酸がたくさん含まれておりまして、そのアミノ酸と反応を起こして真珠の膜ができるというんですね。マヨネーズは何やねんと。これはつや出しやということで、どうやってマヨネーズを入れることを思いついたんかなと思いましたけれども、全く真珠貝の中でできる真珠と同じ環境をその中につくりだして、そこに1振りマヨネーズという、このなんというかみそというんですか、マヨネーズですけどみそがあったわけでございます。非常にこれ見てまして思いました。きょうは特に商工業振興費についてお伺いしようと思うんですけど、この工業の振興、私も長年エンジニアとして勤めてまいりまして、工業というのは日本を支えてきた大事なものであるという認識はあるんですけど、ここ数年の産業構造の大きな変化の中で、日本がどっち向いて行くねんということを非常に今問われているところでございます。その中におきまして、大事なことは、既存の考え方、既存のやり方、その中では決して活路は見出すことはできないんじゃないかなと、大きな発想の転換という言葉は平凡な言葉かもしれませんけれども、マヨネーズの1ひねりというか、こういうような発想が大事なんではないかと。行政におきましては、工業振興は非常に取り組みが難しい課題だと思うわけでございますけれども、ひとつそういう考え方を中心にして、少し質問をさせていただきたいと思います。
 決算説明資料の204ページ以降に、財団法人の中小企業振興会で行われております事業も含めまして、1億弱の決算額があげられているわけでございます。これは、その対象とされているのは、まず、中小企業がその主な対象だと思うんですけれども、それでよろしいでしょうか。


◎浅井 工業課長 大変興味深い示唆に富んだお話を伺いしましたんですけれども、私、そのテレビを見てなかったんで非常に残念なんですけれども、今、委員ご指摘のとおり、堺市の工業振興施策といいますのは、中小企業を対象にしております。平成5年度の工業統計調査によります本市事業所総数3,740のうち、99.3%に当たる3,714の事業所が従業員300人未満のいわゆる中小企業であり、本市の工業振興施策はまさにこういった中小企業を主な対象として実施していると言って過言ではないと考えております。以上であります。


◆吉川 委員 3,700余りの企業があるということでございますけれども、本市の中小企業の特徴と言いますか、主な業種と言いますか、それはどういったものでございますか。


◎浅井 工業課長 本市の中小企業3,714を事業総数で見ますと、金属製品製造業が約800、一般機械製造業が約700、輸送機器製造業が約300となっており、これらが主な業種であります。以上の点から、本市の場合は金属関連産業が多いというのが1つの特徴であろうかと思われます。


◆吉川 委員 産業構造の変化の中では、いわゆる1次から2次、2次から3次産業へというシフトがどんどん進んでいるわけですけれども、今のお話ですと、金属が中心ということで、いわゆる1次産業寄りと言いますか、そういったものが堺市の特徴だということでございました。先ほどの地場産業のお話でもございましたけれども、こうした工業における中小企業というのは非常に現在苦しい経営を強いられていると思うわけでございますけれども、こうした企業というのは、今後どのようにあるべきだというふうにお考えでしょうか。


◎浅井 工業課長 こうあるべきだというようなことはなかなか言いがたいのですが、私どもがめざしておりますのは、それぞれの企業が他社にない特徴を持っていただきたいと、そのように考えております。それは、例えば独自の技術であったり、どこにも負けない低価格であったり、あるいは他社ではつくれない製品をつくるというようなものであります。また、現在、中小企業におきましては、既存市場の大幅な拡大は見込めないと思われますので、新分野進出や事業の多角化といったような自己変革もしていかなければならないだろうと考えております。以上でございます。


◆吉川 委員 いわゆる商品の製品の付加価値を高めていくと、一言で言えばそういうことかと思うわけですけれども、そのための企業の努力というものも必要だとは思うんですけれども、それでは、そういったことを企業が成し得るためには、行政として、市としてどのような施策を展開されようとしているのか、これまでされてきたのか、お伺いしたいと思います。


◎浅井 工業課長 本市の中小企業振興施策の柱の1つは、企業の経営体質の強化であります。そのため、堺市中小企業合理化研究モデル工場指定制度事業あるいは無料経営クリニック事業により、業績の向上と効率的な経営をめざしております。また、もう一つの柱は、人材の育成・確保であります。そのため、技術知識の習得を目的に、テクノオープンカレッジ、先端科学技術の最新情報を入手する機会を提供するとともに、技術者の交流を促進するため、先端科学技術シンポジウム「テクノフィユージョン」を、また自社商品の企画開発を進めていただくため、堺市商品開発大学等の事業を実施してきたところであります。そして、これらの事業を補完するため、堺市中小企業人材育成事業助成制度や種々の融資制度、そして需要開拓事業を実施してまいりました。以上でございます。


◆吉川 委員 いろいろな施策を今ご紹介いただいたと思うんですけれども、企業にとりましては、資金的な融資という援助というのは非常に求められているとは思うんですけれども、ただいま紹介いただいた、単なる資金援助ということではなくて、いわゆるテクノロジー、技術というものに対してもいろいろ施策を展開していただいていると思います。特にそういった部分での成功事例がございましたら、ちょっと紹介していただけますでしょうか。


◎浅井 工業課長 中小企業合理化研究モデル工場指定制度事業では、指定後に業績が向上しておりますし、商品開発大学の受講企業からは新商品が生まれております。最近の事例といたしましては、ここで開発企画した商品で、社団法人関西ニュービジネス協会のNBK大賞を受賞された企業もございます。以上でございます。


◆吉川 委員 また後で、具体的なもう少し成功事例の、後で結構でございますので、内容の資料をいただきたいと思います。
 先に質問した中で、堺の中小企業の特徴というものは、金属というものが主だというお話がございました。その後に、これからの企業のあるべき姿の中では、いわゆる付加価値を高めていくような姿勢というものが企業に求められているということでございました。先ほどご答弁いただきました、そのための市としてやっている施策というものを教えていただいたわけなんですが、それでは、これから具体的にさらに施策を展開していくためには、そういった金属関連、例えばまんべんなくやるというのは確かに大事なことかもしれませんけれども、これから堺市の工業を高めていくためには、金属が多いというのであれば、金属をターゲットとして施策を打っていこうと考えられているのかどうか、お答えいただきたいと思います。


◎浅井 工業課長 堺市の工業振興施策のターゲットは、金属関連企業であるかというご質問だと思うんですが、確かに本市には金属関連の企業の集積が多いということがあります。したがいまして、テクノオープンカレッジなどは、金属関係の分野を対象にして今まで事業を実施してまいりました。また、これまでの高度成長期には、重化学工業や自動車・家電等の機械組立産業が我が国の産業発展の牽引車の役割を果たしてきたと認識しております。しかしながら、現在においては、これらの産業にとってかわり、今後の産業発展をリードするような単独の産業を見出すことは難しい状況にあります。国の産業構造審議会においても、今後成長が見込まれる産業として、住宅関連、医療・福祉、情報通信関連など12の産業が挙げられております。市といたしましては、成長が見込まれるこのような多種多様な産業への市内企業の進出を支援する必要があると考えております。先端科学技術シンポジウムでは、材料、情報、システム、バイオ、環境などについての最新情報を入手できる機会を提供してまいりました。また、新分野進出を図ろうとする中小企業に対する融資制度を設けております。今後とも成長が見込まれる産業分野を含め、新たな事業にチャレンジしようとする意欲ある企業に対して積極的な支援を図ってまいりたいと考えております。以上です。


◆吉川 委員 これからの日本、景気動向指数や住宅投資、消費者物価指数など、いずれの数字を見ましても明るい見通しというのは短期的には見出せないわけでございます。しかし、反面、半導体事業や情報関連事業、御存じのように、非常にそれへの投資というものが好調でございます。また、最近話題になっておりますインターネットなどの普及で、情報家電製品と言われるもの、こういった需要の伸びというものが非常に大きいわけでございまして、情報産業分野への明るい見通しというものが今後期待できるんじゃないかなと、1つは思うわけでございます。前回の常任委員会でも申し上げましたシルバーマーケット、これはまだ実際には顕在化してないんじゃないかなというふうに思っているわけでございますけれども、そういった1つの大きな市場というものが見えているわけでございまして、それへの転換への支援といったものも必要ではないかというふうに一方では思うわけです。それと、今後の中小企業対策として、どうしても親企業に頼るという、従来型の体質からの脱却というものももちろん必要なことでございまして、また新たな分野を開拓した企業間をネットワークしながら、相互に互いに情報交換し、なおかつ受注活動も分配していくというようなことをやりながら、高度化を図っていく、レベルアップを図っていくということも必要ではないかというふうに思うんです。これは、中小企業間だけでは非常に難しい要求でございまして、当然、膨大な情報収集能力と、それを分析する力、またそれにかける時間とお金も必要だと思うわけでございまして、こういったことに対して、行政としては支援が必要だと思うんですけれども、いかがお考えでしょうか。


◎浅井 工業課長 委員ご指摘のとおりであると思います。今後の産業支援策は、単なる保護であってはならないと考えております。最初に言われましたように、既存の考え方、やり方では活路を見出せないと、このように最初におっしゃいました。まさにそのとおりだと思います。今後、現状からの脱皮と言いますか、新しい形態、新しい事業に挑戦する企業への支援が重要になってくると私ども認識しております。また、そうした企業のネットワーク化も今後重要なことだと考えております。よろしくお願い申し上げます。


◆吉川 委員 通産省は、現在ベンチャー企業への支援というものを非常に重視していこうという姿勢がございます。三和銀行はこの6月ですか、ベンチャー企業に対して非常にハイリスクを伴う事業でございますけれども、それへの出資というものを決定してその事業を始めるという記事が新聞に載っておりました。また、先ほどのおっしゃっていただいていた今後の育成事業として、通産省も言っているわけですけれども、12にわたる成長分野を位置づけたわけでございまして、その中でもベンチャー企業の育成というものに対して一歩踏み込んでいくという姿勢を示しているわけでございます。こういうことも考えながら、先ほどご答弁いただきました、まだ形にはなっていない考え方でございますけれども、それを形に一日も早くしていただいて、堺の工業振興の大いなる支援をいただきたいというのを要望いたしまして質問を終わりたいと思います。

[議会での質問]メニューに戻る]