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1996年(H08)平成8年度予算審査特別委員会03月07日

◆吉川 委員 公明の吉川でございます。私は1項2目商工業振興費に関連して、特に工業振興策について質問をしたいと思います。
 工業の発展には技術ノウハウの蓄積や新規技術の開発が非常に重要なことはわかっているわけでございますけれども、そのかなめは人であり、ひいては人材育成がその源になるというふうに考えるわけでございます。先ほども、ちょっと質疑をされておりましたけれども、今回この南大阪地域地場産業振興センター事業の推進として2億2,849万5,000円が計上されている、その中にも人材育成事業があるわけでございます。そこで工業振興という観点で、特にこの力を入れられている事業には、どういうものがあり、その目的は何なのか、それからその現状及びその効果、これを簡潔にご報告いただきたいと思います。


◎熊取谷 工業課参事 ご指摘のとおり、経済の構造変化が生じております現在、技術開発、情報化、人材育成は中小企業の発展のために必要不可欠なものと考えております。特に人材育成につきましては、最重点課題の一つといたしまして、当センター設立当初より積極的に取り組んでまいったところでございます。ご質問の人材育成につきまして、当センターで実施しています主な講座と平成7年度の実績を申し上げますと、まず、企業の中間管理職・中堅職員を対象といたします能力開発、組織活性化などのテーマといたします実務セミナーを年2回開催いたしまして、延べ54名の参加を得ております。次に経営手法、社員教育、技術開発をテーマといたします経営管理講座は24名の参加者が7つの講座を受講いたしました。また、地元大学との産学交流を促進することによりまして、地域企業の技術水準向上を目的といたしました産業技術交流会、これは2回開催しております。延べ143名の参加をいただきました。そのほか、常設のスクールといたしまして、OA機器の実務実習を行いますOAスクール、これは本年2月末現在で930名の受講がございました。それとコンピューターを使いました設計製図のオペレーターを養成いたしますCADスクール、これにつきましては130名の受講者がございました。いずれも受講者数といたしましては前年度と比較いたしますと増加の傾向にございます。
 なお、事業の効果ということでございますが、総体的に受講者数の伸び、参加者のご意見などを勘案いたしますと、地域におけます人材育成機関として地域企業に一定の評価を得ているものと思っております。以上。


◆吉川 委員 実務セミナーが年2回で54名、経営管理講座が7つの講座で24名、産業技術交流が2回で143名と、あとOA、CADが非常にたくさんの方が受講されてると。その評価がちょっとよくわからないわけですが、一定の評価を得ているという評価をされてるということですが、ちょっと話はちょっと横道にそれるんですが、今、行財政見直し推進計画の中で、スクラップ・アンド・ビルドというものが非常に叫ばれてるわけでございます。ちょっと私、歳出を見ますと、この商工費、非常に細かいたくさんのメニューの中で構成されてるんですが、いわゆる前年度比の増加比率が高いように思うんですね。これは、じゃあ特出しているのはどれなのかというと、よくわからないわけですけれども、こういった絶対額が細かいけれども、積み上げれば大きくなってしまって、いつの間にか前年度比に比べてその増加率が多いと、ほかの款に比べてですね、多いというようなことになってしまうというのは、このスクラップ・アンド・ビルドが本当にきちっと、こういった事業に関してもなされてるのかなという疑問があるわけでございます。個々の費用は小さいけれども、たくさんあると。これ見直しは大変であるわけですけれども、そこはきっちりと、評価をきっちりとしていただきたい。私がご質問申し上げたのは、工業の振興という点で効果があったのかということでございますので、こういった点に関しても一定の評価をどう評価するのか、しっかりと詰めていただいて、この事業を継続するのであれば継続するといった形で進めていただきたいと思いますけれども、ご見解はいかがでしょうか。


◎熊取谷 工業課参事 委員おっしゃるご指摘のですね、ただ、じばしん南大阪という部分からとらまえますと、スクラップ・アンド・ビルドということで、ただ私どもの先ほど申し上げましたOAスクールの中のカリキュラムの変更とか、それと我々も財源としております貸し館事業もやっておる中で、歳入という部分も含めました中で見直しという部分もやっておりますので、ご理解をよろしくお願いいたします。


◎浅井 工業課長 事業のメニューとしては例年どおり先端科学技術シンポジウムなりテクノヒュージョンということで上げさせていただいておりますが、委員ご指摘のとおり、内容につきましては、最先端のそれぞれの経済情勢に見合うような内容をということで柔軟に対応していると、そのように考えております。スクラップ・アンド・ビルドもそういう中でやっております。なお、従来、私どもは企業の合理化研究モデルということで、経営合理化について非常に力を入れてまいりました。本年度は企業の技術支援に力を入れたいということで、予算をちょうだいしてる部分があります。そういうことでご理解を賜りたいと思います。


◆吉川 委員 しっかりとその辺を見ていただけるんであれば結構でございます。
 話は本題に戻すわけでございますけれども、ここに野村総合研究所、野村総研が出した日本の優先課題 '96というのがございます。ここには、景気の長期低迷は冷戦終焉に伴う産業構造調整が背景にあるというふうに指摘されておりまして、この大きな産業構造の変化が起こっていると、その変化を正確にとらえて、従来の施策の延長を繰り返すことは許されない愚行であるというふうに結論づけられてるわけなんですね。旧東側の諸国が20億のマンパワーを西側諸国の経済市場にシフトするというような、この構造の変化が現在のこの長期低迷をもたらしているんではないかということでございますけれども、先ほどのご答弁にもございましたが、構造変化が生じてる、生じてると。じゃ、その本質は何なのかということをとらえていただきたいわけでございます。そうした変化をとらえながら、次の施策を考えていかないといけないわけでございますけれども。ここでお尋ねしたいんですが、この当市における次代の産業、工業に絞っていただいても結構でございますけれども、先ほど技術支援に力を入れていくというお話でございましたけれども、その振興策をどのように考えられているのか、そのご見解をお示し願いたいと思います。


◎浅井 工業課長 先ほど申し上げました技術指導・相談事業でございますが、昨年度から、じばしんの方に予算をちょうだいしまして、昨年、平成7年度ですが、市場調査という形で各企業の需要調査を行いました。今年度はこれを実施したいというふうに考えております。具体的な私どもの構想でございますが、持っておりますのは、各企業に技術者を派遣して、それぞれの企業が持っております技術のそれぞれの問題点をできるだけ解決していきたいと。例えば今100の製品をつくれば10の不良品が出てくると、これを技術者を派遣して相談業務に応ずることによって、あるいは指導することによって5に減らせないかなと、そういうことで堺市の地場の産業を振興していきたいと、かように考えております。以上でございます。


◆吉川 委員 今、省力という結果をもたらす技術支援を行っていきたいというふうにお答えいただきましたけれども。私が思いますのは、以前から申し上げていることは、しっかりとした考え方を明言すると、いろんな方法があるけれども、当局としてこういう考え方に基づいてこういう施策を行いますということを打ち出すべきではないかなというふうに思うわけでございます。
 近年の家電業界を見てみますと、例えばシャープがございます。シャープはこの産業構造の変化にいち早く着眼して、皆さんもご存じのように先端技術デバイスを国内に残していこうということで大英断を下しまして、液晶ですね、この液晶というデバイスをつくることを日本に残したわけです。最終製品の組み立ては、もう海外にどんどん移転していくというような一つの方向を明確に示したわけです。結果は成功したと評価されてるわけです。また、サンヨー電気も最近ではこの日本に残すものとして、ここは高付加価値デバイス、いわゆるユニットとか部品、高付加価値のコンプレッサーとか載ってましたけれども、あと忘れましたけれども、そういったものを日本に残していこうという、この戦略を明確にしたわけです。こうしたことを、とにかくいろんな方法が考えられるけれども、この混迷の時代でございますので、すべてを満足する正解はないと私は思うわけでございます。そこで、しっかりとした市の施策を決定するにあたっては十分な議論をしていただいて、課題を先送りするのではなくて、結論を出していただきたいというふうに思うわけでございます。
 例えば一つ提案なんでございますが、最近注目されております地域ベンチャー育成施策、これを例えば打ち出してはどうかなと思うわけでございます。これは地域を新しい消費市場として浮上することが可能なベンチャーに対して、行政がインキュベーターとしてかかわることができないかというような施策でございます。その消費市場を、例えば、先ほども久保田委員の方からあったんですけれども、この消費市場を行政課題をテーマにしてもいいのではないかなと。具体に申し上げると、例えば土居川が汚いという話がございます。この土居川をきれいにするのは、いつもショベルでヘドロをかき上げると、こんな方法をやってるわけですね。莫大な費用を投下しているわけですけれども。例えばこれをきれいにするようなベンチャーに呼びかけて、その受け皿を市が提供すると、いろんな分析が必要ですので、分析機器は高いですから、どっか市のどっかにないかなと思うんですね。例えば保健所になんかガス・クロマトグラフィという非常に高い分析器なんかがあるわけですけれども、そういうものを提供しながら考えてもらうと。例えばきれいにする方法も、かき出すのと同じ費用を使わずに、新しい技術でそれをチャレンジすると、微生物を使うという方法もあると思いますね。微生物を使ってヘドロを食べさせてきれいにするというような、こういった方法もあるわけです。それからあと、砂場の汚染ですね。砂場汚い、汚いと、これ砂を一々入れかえてたら切りないわけでございますね。こういうことに対しては、例えば多元素共存特殊鉱物というのがあるんですね。これは非常に抗菌性の強い鉱物でございまして、これを例えば砂にすりつぶして、ばらまいて、その効果を見るとか、そういったことにチャレンジするような、行政課題をそのまま消費市場とするようなベンチャーを引き寄せて、それを支援するというような施策も考えられるわけでございます。ここをどうするのかということを一つ方法をはっきりとしていただきたいなというふうに思うんですね。
 さきの決算委員会でも、私質問させていただいたんですけれども、その際の答弁には、新しい形態、新しい事業に挑戦する企業への支援が重要になってくると私どもは認識しております。また、そうした企業のネットワーク化も今後重要なことだと考えておりますというご答弁もされてました。じゃあ、それをどうするのか、この結論を局内でも、また企業の方も含めて十分議論をしていただいて、結論を出していただきたいと。通産省は早くからベンチャーへの支援をしておりましたけれども、自治省も今回、そういうベンチャーキャピタルに対する資金援助も決定したようでございますので、そうした一つの施策というものの考え方をはっきりと決めていただいて、打ち出していくというふうなことを希望したいわけでございますけれども、これに対してご見解はございますか。


◎浅井 工業課長 いろいろと産業振興施策についてご提言をちょうだいしたわけでございますが、私どもも現在の産業振興のあり方というものについて、創業者支援を含めて検討すべき時が参っておるという認識はございます。幸いにして今年度予算で産業振興検討協議会で創業者支援策の検討を行うべく予算をちょうだいしておりますので、委員ご提案の件についても検討してまいりたいと、かように考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。


◆吉川 委員 しっかりとした、明確な方向を示していただくことを要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。以上です。

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