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1998年(H10)平成10年予算03月02日

◆吉川 委員 公明の吉川でございます。私の方からは2点、システム開発の外部委託に関してと、それから情報化による事務改善の考え方についてお聞きしたいと思います。
 まず、1点目のシステム開発の外部委託の件ですが、今回の10年度予算案で計上されているシステム開発の外部委託のシステム数及びその総額はどのようになっておりますか。


◎石橋 情報政策課長 平成10年度の予算のシステム開発の外部委託なんですけど、4件ございまして、総額は2億6,200万でございます。主なものとしましては、介護保険システムと図書館システムの開発、住民票の自動交付システムの開発でございます。以上です。


◆吉川 委員 それでは、このシステム開発を外部に委託される場合、今回は4件、約3億弱ということでございますけれども、外部に委託される場合の手順といいますか、そのプロセスはどのようになっておりますか。


◎石橋 情報政策課長 基本的には業務所管課が中心となりまして、業者の説明用の仕様書を作成しております。その仕様書のもとに業者提案を求め、その内容により業者の選定を行っております。仕様書につきましては、事前の業者提案の内容や他都市の同システムの情報をもとに堺市の考え方を盛り込み作成しております。以上です。


◆吉川 委員 簡潔に述べていただいたわけですけれども、それでは、市の皆さんが提示された仕様に基づいて、外部の業者はそのシステムの開発の口数や費用を出してくると思うんですけれども、その口数や費用が高いか安いか、それが妥当なものかどうか、こういったことの評価はどのようにされてますか。


◎石橋 情報政策課長 開発経費の評価でございますが、他都市の同システムの委託経費や複数業者の見積もり、堺市の過去に開発しました類似システムの規模、こういうものを参考におおよその金額を算出しております。また、納入された後の評価でございますが、そのシステムが機能的に仕様を満たしているかどうか、それとかプログラムのもとというんですか、ソースが標準的な記載ができているか、それとドキュメント類が過不足なく作成され、後のメンテナンスが容易にできるか、こういうことを納品された後の評価に入れております。以上です。


◆吉川 委員 それでは、そういった評価をする際の手順というもの、または評価のテーブルのようなもの、こういったものは標準的なものを持たれておりますか。


◎石橋 情報政策課長 開発されたシステムの評価する物差しがあるかどうかということかと思いますが、やはり正確に見積もっていこうとしますと、市の方である程度のシステム設計を行いまして、画面数とか帳票類、また書類形態等決定する必要がございます。これを行うには、かなりの程度の業務知識と情報処理技術の両方、こういうものが必要になってきます。堺市としての開発口数、また経費積算システムの必要性、こういうのが必要であると認識やっておりますが、今のところ難しいというのが現状でございます。以上です。


◆吉川 委員 このソフトウエア、システムというのは、非常に目に見えにくくて、評価しにくいものだというふうに思うわけですけれども、今4件、大体3億弱のシステムを外部に委託されるということでございましたが、私はこういうシステムというのは、目に見えないだけに非常に手間がかかるというふうに思っております。この4件、3億弱でそれで終わりというふうには思えないわけですね。当然このシステムの品質によっては、その後大変手間がかかるわけです。またメンテナンス等についても、例えば帳票一つにしても変更した場合、これは自分たちでつくっていないと、なかなかその変更は自分たちでできない、そうすると当然外部に委託したその先でその修正をしてもらうというふうなことになると思うんですけれども、例えばそしたら、このシステムを外部に委託された場合、メンテナンスが必要になった場合、これはどのようにされますか。


◎石橋 情報政策課長 納品されたシステム設計書は画面のレイアウトとか、帳票レイアウト、ファイルレイアウト、プログラム設計、こういうのがドキュメントとして納品されるわけでございますが、大幅な修正等ございましたら、私どもが最初からかかわっているシステムでは、かなり職員さんで変更もできますが、今のところ、先ほど言いました4件の中では図書館システム等につきましては、これはまた業者に委託、再委託という形になってこようかと考えております。以上です。


◆吉川 委員 先ほどお答えいただいたその開発口数や開発コストの妥当性の評価や納品されたシステムの品質の評価に対しましても、非常に不十分ではないかというふうに思ってます。これは、皆さんこのソフトの話というのはなかなかわかりにくくて、理解しがたい部分もあると思うんですが、例えば今回の2000年問題があったと思いますけれども、庁内では自前でつくられてたシステムですので、この変更というのは表になかなかあらわれなかったと思うんですが、多分これ全部外部に委託されていた場合は、大変な口数を必要とした作業になるんじゃないかなというふうに思うわけです。その作業のプロセスは必要なこの仕様に基づいて実際のプログラムというのは、高級言語で書かれたソースといいますか、細かく書かれたプログラミングをもとにコンピューターというのは動くわけなんですが、そこまで立ち入らないと、この変更というのはなかなかできないわけですね。そうすると、単純にこの行を入れかえるとか、今回の2000年問題に対応するといったことでも、かなりこのシステムの詳細にわたって見ていかないとメンテナンスもできないというふうに思いますね。
 それから、この品質が非常に大事なわけでございますが、見た目にはほとんどこの品質の評価というのはわかりません。ただ動くかどうかというぐらいの評価しかできなくて、必要な帳票が出てくるかと、これはもう出てきて当たり前なんですが、このソフト開発というのは非常に異様な業界でございまして、普通家電とか自動車の場合、不良があれば即新車と交換と、新品と交換というふうなのが常識なんですが、このソフトの世界は、これはバグですという一言で終わってしまいまして、その修正にかなりの費用や口数を費やしてしまうと、ですから、このあたりがきっちりと評価して導入しないと、後々までこのシステムのふぐあいやメンテナンスに引っ張られるというようなことになると思うんです。ですから、現在このあたりが不十分であるということでございましたら、将来必ずこのシステム開発の外部委託というのはふえてくると思いますので、そうしたことに対するまず体制をしっかりと持っていただきたいということと、もう1つは、その仕様書にしても、設計書にしても、標準的な、堺市役所としての標準的なものをつくっていただいて、職員の方がローテーションがかかって他に異動された場合でも、必ずその標準的なものを基準にメンテナンスとか、新しい更新等ができるような形に、これはぜひしていただきたいと要望しておきます。
 システム開発に関してはこの程度でいいと思うんですけれども、大事なのは、このシステムでどういうふうな仕事をするかということが私は大事と思うんですけれども、午前中にもございました事務改善費のところでワードプロセッサーの話がございました。20台、160万を投資されるということでございましたが、私はちょっとあえてお聞きしたいんですが、これの購入の目的と、その効果予測はどのように考えられて、この予算を計上されておりますか。


◎住谷 行政管理課長 ワープロの購入の目的とその効果ということでございます。
 ご承知のとおりでございますが、ワープロの購入につきましては、行政は基本的には文書主義を採用している関係上、ほとんどの職場におきまして文書作成、浄書ということが必要でございまして、そのツールとして現在導入してございます。効果面でございますが、いわゆる文書作成におきまして、いわゆる特に考えながら文書をつくるというときには、加工とか変更が容易でありますとか、あるいは以前につくっておりましたデータをフロッピーに保存しまして、それを呼び出して利用して新たな文書をつくりますとか、あるいは随時利用しまして、保存したデータを随時利用しまして資料作成を行うなど、いわゆる手書きなり等と比べまして事務負担の軽減、あるいは文章作成時間の削減、短縮化、効率化、あるいは文書保存の観点からの効率化といったことが十分効果があるんではないかと、このように考えてございます。


◆吉川 委員 今お述べになりましたその効率化という部分は、定量化して評価されてますか。


◎住谷 行政管理課長 効率化を定量化してやっておるかということでございますが、そこまでは至っておりませんが、これは私も体験的な話でございますが、少なくとも手書きよりもはるかに効率化があるということで、ちょっと定量化した分析した結果ではございませんが、そういうふうに思っております。以上でございます。


◆吉川 委員 今回の予算は、薄氷を踏むような思いで編成されたと伺っております。1,000円の支出に対してでも、やはりそれを使う目的、効果というものを特にこの事務改善費という費目で上げられてるわけです。事務改善というのは、まさしく定量化できる大事な項目であると思いますので、そのあたり、どんだけ効果あるのか、ようわからへんというような状況の中でこれを導入されるのはいかがなものかというふうに思います。それでは、この情報化によるこの事務改善の考え方というのは、どのようにお持ちですか。


◎住谷 行政管理課長 事務改善におきます情報化の考え方ということでございますが、事務改善と一言で言いましても、いろんな観点はあろうかと思いますが、いわゆる昨今、行財政を取り巻く非常に厳しい環境の中にありまして、常に事務の改善というのは頭に置いてやっていかなければならないと痛感をしてございます。事務の改善といいますのも、私思ってますのは大きく2つあるんではないかと、1つは情報化という切り口もございますが、いわゆる今現在やっている事務をいかに工夫し、効率化をするか、あるいはそのやり方、方法を、それをどういうふうに効率化を図っていくかというソフト的な面と、いわゆる情報機器を活用しましたハード的な面ですね、そういう2つの面があろうかと思いますが、そういう意味で、情報化によります効率化、事務の改善というのは非常に今後ますます大きな効果を上げていくべきだし、上がっていくものだと思っております。以上でございます。


◆吉川 委員 それでは、今後ますます効果を上げるだろうというその情報化により事務改善というものの予測はどのようにされてますか。


◎住谷 行政管理課長 私ども所管しておりますのは、実はワープロでございまして、その観点で先ほど言いましたように効果分析はできておりませんが、情報化といいましても、いろんな先ほど言いました観点がございまして、いわゆるパソコンに置きかえる、あるいはパソコン処理をしていくというのも大きな情報化でございます。これにつきましても、私どもといたしましては、今のところそういう効果測定なり効果の予測というのは、まだ現在持っておらないという状況でございます。以上でございます。


◆吉川 委員 これは大変に私、重要な問題であると思ってます。先ほど2点おっしゃいましたその情報通信機器によって業務をこなすという観点、それから現在の仕事をどうしていくのかという観点、この2つが合わさって私は情報化による事務改善というものが成り立っていると思うんですけれども、ここでちょっとお聞きしますけれどもね。よくペーパーレスという言葉があります。コンピューターを置けばペーパーレスやペーパーレスやというふうにおっしゃってますけれども、このペーパーレスというふうなことを、どういうふうにとらえられてますか。


◎住谷 行政管理課長 ペーパーレスということをどういうふうにとらえてるかということでございますが、いわゆる紙媒体で持つよりも、電磁化されたもので持つということで、情報の正確性、あるいは処理の簡素化、あるいはデータの共有化といいますか、これはいわゆる情報機器自身が単体で存在するよりも、よりラン形式で情報自身が共有できるような、そういう環境が整うことも必要でありますし、そういった面から事務処理におきましては、かなり効率化の図れる面かと思っております。以上です。


◆吉川 委員 効率化を図れるとか、効率化するとかいう非常に抽象的な言葉で表現されてるわけですけれども、私はこれは大変な庁内における情報化に対する誤解を生んでるんじゃないかなというふうに思うんです。1つ申し上げたいことは、このペーパーレスシステムというとらえ方は、単に紙をなくして紙代を節約するという意味では当然ございません。従来その紙を原則に行っていた業務を、その業務のプロセスを根本的に見直して再構築するというのが、このペーパーレスという意味合いでございます。はやりの言葉で言うならば、BPR、ビジネス・プロセス・リエンジニアリングという言葉でございます。大事なのは、コンピューターを置いたとか、コンピューターに仕事をやらせているとかいうことではなくて、従来の紙で行ってきた業務をどれだけ再構築して、このコンピューターに乗せたかということが私大事になるんではないかなというふうに思います。従来この3枚の紙を用いて行ってきたこの手作業の業務を同じように3枚の紙を出力するような形でコンピューターに置きかえるというのでは、何のリエンジニアリングにもならないというふうに思うんですけれども、では実際、皆さんが情報化を進める中で、その業務をそこまで立ち入って分析して、評価して、リエンジニアリングする、なおかつ、そのリエンジニアリングした業務をコンピューターに乗せるというような業務は、どこが行われてるんでしょうか。


◎住谷 行政管理課長 事務処理の電算化といいますのは、基本的には所管部局でもってシステム開発並びにプログラム化していくことになってございますが、大きなシステムになりますと、私どもの情報政策課が一緒になって取り組んでいくというふうに認識してございます。以上でございます。


◆吉川 委員 それでは、情報政策課さんがこの業務のリエンジニアリングまで立ち入って進めるというような業務の責任と権限は与えられてるんでしょうか。


◎住谷 行政管理課長 基本的には事務分掌上は、そういうふうになってございますんで、権限と責任というところまではどうかと思いますが、事務分掌上の位置づけはそういうふうになってございます。以上でございます。


◆吉川 委員 事務分掌上そうなってれば、実際の仕事はどうなってるんですか。


◎石橋 情報政策課長 実際に、先ほど吉川委員が言われたみたいに、紙のプロセス、こういうものを電子機器に置きかえることでなしに、それをリエンジニアリングやってやるべき、こういう認識は持っておりますが、今のところ、先ほどシステム開発の中でも申し上げましたように、業務所管課がそういうシステム仕様を固めてやっている関係上、私どものかかわりとしましては、そういうシステムの技術的なもの、ここらのところにしか今の現状では立ち入れない、こういう現状もございます。以上です。


◆吉川 委員 コンピューターというものは、もうソフトがなければ、ただの箱です。それを使わなければ邪魔な箱です。下手に使えば、これは単に金を食うだけの箱になってしまいます。当初投資が少なくても、当然それに業務を乗せていけば、どんどん投資は膨らんでくるのは当たり前のことなんですが、その投資に見合った効果がきちっと出なければ、非常に何をしてるのかわからない結果になるわけですね。これはアスキー未来研究所の所長が指摘されてることなんですが、「現在各地の自治体では職員に1人1台の体制を築くことが論議されているが、多くの自治体では、そのもたらす効果の意味がわからず、ただ紙で行ってきた業務をパソコンで清書することだと勘違いしている」と。「そうではなく、業務システムを根本から改革してスピードアップを図り、あわせて現在行っている業務コストを劇的に引き下げるということにある」というふうに指摘されてるわけです。午前中、関委員の質問にもございましたが、この年齢別職員の皆さんの構成の中で、中膨らみしているところの退職、ピーク時では403名というふうに伺っておるわけですけれども、例えばその前後も合わせて何百人という職員の方がごそっと抜けたときに、本当にそのまま職員の方を補充せずに、例えばできるようなシステムをどこかが考えられないのかなというふうに思います。
 これはどこかの市が、ちょっと同じこの雑誌に書いてあるんですけども、これは栃木県の小山市というところなんですがね、ここは2007年から12年間にわたって823名の職員が定年を迎えると、これは全職員の44%に相当すると、これに危機感を覚えられたこの職員の方は、この事務処理の抜本的な見直しを行って、情報化によってこの職員の増加を抑えてきたというような事例もあるわけです。先ほど担当の部署等をお聞きすると、単にコンピューターに乗せるという仕事は、確かに情報政策課の方でやられていると。各個の細かいそれぞれのシステムはその原課でやられてると、こういうような体制で、本当に今申し上げたような情報化というものができるのかなというのが非常に疑問でございます。
 どうか、私もこれ以上お聞きしませんけれども、この業務の抜本的な改善をもって、まずシステムをつくっていくという考え方、これをぜひお持ちいただきたいと、そのためには、当然現在の業務がどのような内容になっているのかという分析から、これはこつこつと始めないといけないんじゃないかなというふうに思います。ワープロで打った文書を職員の方が持って走り回ってるというような状況なのかどうか、そして決裁する書類にしても、出てきたプリントアウトされた書類を持って、判こもらうために走り回ってるというような状況はないのかどうか、こうしたことを改めないと、当然先ほど申し上げたその劇的な事務処理コストは削減できないというふうに思います。どうかこのあたりを視点に置いていただいて、しっかりとそれを検討して実施していく体制も考えていただいて、この情報化というものを進めていただきたいということを要望いたしまして終わりたいと思います。


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