1999年(H11)行財政改革特別委員会10月7日
◆吉川 委員 おはようございます。公明党の吉川でございます。私の方からは、まず、情報化の推進について質問をしたいと思います。
行財政改革特別委員会の提言には、情報処理の高度化、効率化の推進がうたわれているわけでございます。これにつきましては、堺市行政情報化推進計画を策定していただき、庁内LANの導入やパソコンの配備など情報基盤の、いわゆる整備にご努力いただいているということは、先ほどもご報告を受けたわけでございます。しかしですね、これで、じゃあその中身はどういうふうな形でやっていくのかという、この中身の話、財務会計システムというのはよくわかりましたけれども、その中身について、これからどのようなことを実施されようとしているのか、また、その現状について、取り組みの現状について、さらには今後の予定についてご報告をいただきたいと思います。
◎鴨田 情報政策課長 ただいまのご質問でございますが、LANの活用ということでまずお答えいしたいと思います。
確かにLANという庁内情報インフラの整備をきっかけといたしまして、各部署でも庁内LANを活用した事務改善、こういったものを検討しているわけでございますが、その中でも若干につきましては、来年度の予算要求に向けての相談というレベルでもお受けしております。そういった中で、委員さん今おっしゃいました財務会計というのが一番大きな状況かと思っております。
それから、現在の進捗状況でございますが、現在、ネットワークの構築に向けての配線設計、また基本設計、それからまた庁内のLANの運用体制、システムの管理手法、こういったものについても現在基本設計を行っておる状態でございます。以上です。
◆吉川 委員 外見の話はいいんです。中身の話についての取り組みの現状、それから今後の予定をお知らせいただきたいんですが。
◎鴨田 情報政策課長 中身につきましては、今一番代表的なものが財務会計システムでございます。それ以外にも、いろいろ今申し上げましたような形で検討はしてはございますんですが、まだいろんな問題がございまして、まだ今ちょっと申し上げる段階にはないかと思っております。それから、今後につきましては、やはりハード面側よりも中身のことが当然大事なことでもございます。そういったことで、我々といたしましては、一つは若手職員で構成いたしますワーキング・グループ、こういったものを設定いたしまして、その中での知恵やら、またアイデア、こういったものを取り入れながら検討していきたいと、また、こういったグループのメンバーに対しても、さまざまな機会をもちまして研修、また講演会、視察、こういったものを含めまして進めていきたいと、かように思っております。以上です。
◆吉川 委員 ちょっとよくわからないんですが、外見の話は非常に見えやすいので、よくわかるわけですけれども、中身をきっちりとやっていただかないと、線路引いて駅つくってほったらかしという状況になれば困ると思いますので、もう少しご議論をいただきたい。
私思いますのは、情報化というのは、行政改革と結びついていかないといけない。これは以前からも申し上げているとおりでございます。すぐれた業績を生み出している民間では、決まって情報技術を業務改革の有力な手段として位置づけて業務プロセスと情報技術の統合を図っておられるわけでございます。そして、その業務改革と情報技術の改革を相互に繰り返しながら、今日に至っているんではないかなと思います。しかし、こうした事例を検証してみますと、情報技術を付加するに際して現行の、今あるですね、現行の紙でやっておられる、手でやっておられる、そういう業務のプロセスを、やり方を是認して、その上にこの情報技術を使うための最低限の手直ししか行わずにシステム化されるという、こういう自治体が多いと、これは私が言っているのではなくて、東京都立科学技術大学の島田教授がおっしゃっている、指摘されているところなんです。
今ある作業をそのままコンピューターに乗っけるという、これはあんまり効果が期待できないのではないか。その情報技術の効果を発揮させるには、その導入に先立って、要するに入れ物ですね、入れ物とか線とかだと思いますけれども、その導入に先立って業務プロセスを改革することが大事であるということをおっしゃっているわけでございます。業務の手続を廃止したり簡素化したり順序の組みかえ、あるいは結合の仕方を変えることによる効率化によって、一層情報技術の効果は発揮できるというふうに私も考えるわけでございます。
さらに、単に業務、仕事の内容だけではなくて、組織構造を見直すことをしないで、現行の組織構造に情報技術を付加するということもまた大きな効果を生み出せない原因になるのではないかなというふうに思います。
これは非常に例えは悪いかもしれませんけれども、例えば離婚された母子家庭になられるお母さんがいらっしゃいましたら、離婚届を出す、これは市民課に出すわけですね。次にどこ行くかといったら、児童扶養手当の申請に行くわけですから、年金課ですか、年金課行く。その次に何をされるかいうたら、母子医療の申請をするわけですから、これは健康保険課ですかね、行く。あっちこっち行くわけですね。こうした手続が、例えば一つの窓口で一挙に完了する、いわゆるノンストップサービス、こういうことも情報化をツールとすることによって、非常に有効に業務を改革できるのではないかなというふうに思います。このワンストップサービスだけではなくて、ノンストップサービスとかシームレスサービスなど、いろいろ考えられるのではないかなというふうに私は思います。
そうした観点で、この堺市行政情報化推進計画、これと新堺市行財政見直し実施計画の中にある事務事業の見直しについてという項目と組織についてという項目を見てみますと、どうもかみ合っていないような私は印象を受けるわけです。ここがかみ合っていないと、幾ら情報化を推進するという姿勢があっても、非常に私は心配になる。
さらに言わせていただくと、先ほどの先生の言葉にもありましたように、まとめて言いますと、現状の業務プロセスを見直して改善・改革している業務というのは、本来ならば現在までの、きょうまでの行財政見直しの中で、こうしたハード基盤の整備がもう目の前に見えるような形になる前にやっておかないといけないんじゃないかなと、やっておくべき課題ではないかなと、こういうふうに思うんですけれども、この点についてのご見解はいかがでしょうか。
◎山田 企画調整部長 ただいまの件につきまして、委員おっしゃるように、本来継続的に行革につながるように業務や、あるいは事務の改善をしたり、新しい手続であるとか手法であるとか、そういったものは事前に考えられた上に、こういう情報インフラというものが整備できれば、非常に効果的にスピードアップしてできるというのはおっしゃるとおりでございます。ただ、そういうポテンシャルが今堺市として上がっているかということについては、必ずしも十分ではないというふうに我々は認識しておりますが、そういった意味で、ただ、情報インフラができても、直ちに効果的なLANの利用に結びつかない、そういった面もございますけれども、今回のLANと同時にのせる基本的なソフトといいますか、そういった意味でも、ソフトウエアでも相当の改善が図られるということも我々期待しておりますし、また、平成13年から実施できると思いますが、財務会計システム、それを乗せることによって相当の効果的な利用が図れるのではないかというふうには考えております。
ただ、新たな改革に結びつけるといった事柄については、今先ほど課長が申し上げましたように、いろいろ原課で考えておられるようでございますので、そういった意味ではLANが動機づけになるといった意味が図られるんじゃないかというふうに思っています。そういった意味で、この動機づけをもっと具体的な形にしていくために、もうちょっと庁内で組織的に対応していきたいと、研修とか、そういった意味のいろいろな提案を使ってやっていきたいというふうに考えております。
◆吉川 委員 今、動機づけという話がございましたけれども、それでは、この動機づけというところを、どのクラスのどのレベルの方々にされていこうとされているんでしょうかね。
◎山田 企画調整部長 我々としては全庁的に取り組むということでございますので、各レベルといいますか、あらゆる階層へ機会あるごとにやっていきたいというふうに思っておりますし、また、新たに情報推進委員といいますか、そういう制度も設けてやっていく必要性もあるかなというふうに考えておりまして、そこらあたりを総合的にやっていきたいというふうに考えております。
◆吉川 委員 私、こうした情報化というのは、冒頭にも述べましたように、行政改革の大きなツールになるというふうに思っておるわけですけれども、そういう観点から見ると、先ほど指摘をさせていただいた業務プロセスの見直し等は、これはマネジメントレベルの話ではないかなというふうに思います。それぞれの原課のトップが、これをどうとらえて実行していくのかという部分も非常に重要になってくると思うんです。そこでは、そのコンピューターのことがわかるとかわからないとかいったレベルでは決してないんじゃないかなというふうに私は思います。その意識の上に立って、それをどういった体制で進めていくのか、体制の整備とか、いろいろ今までおっしゃってましたけれども、しっかりとした体制ができてないんじゃないかなというふうに思います。だれが責任を持ってその業務を見直して改革をしていくのかという、この仕事を業務として指示して、それを責任を持って、いつまでに遂行するかといった体制が非常に弱いのではないかなというふうに思います。箱を置いたり線を引っ張ったりというところは、情報政策課さんでしたかね、がやられていることとは思いますけれども、先ほど言った中身の部分では今の部分が必要だと私は思うんですけれども、この点についてはいかがでしょうか。
(北村副委員長、菅原委員長にかわり委員長席に着く)
◎山田 企画調整部長 委員おっしゃるとおりでございまして、LANだけが行財政改革につながるものでもございませんので、LANは大きなツールであることは事実でございますので、我々としては、それをきっちりやっていきたい、それを十分活用できるような形の体制も組んでいきたいというふうに考えておりますが、本来、そういう行財政改革は、その以前にそれが使えるような形にそれぞれのところがしていくということについては、今委員おっしゃるとおりというふうに認識しております。
◆吉川 委員 それぞれにお任せということでございますけれども、やはりこれはリーダーシップの要る話だと思います。業務を改革するというのは大きな力が必要なことでございまして、今、それを求められているわけでございますから、どうか、その辺の体制をしっかりと整えていただいて、私は情報化を進めるということは大きな効果が確かに期待できるけれども、使いようでございますので、逆に大きな投資を伴うものであるだけに、その決断をできる状況を一刻も早く整えていただきたい。これに関しては、私は二つだけ要望したいと思いますけれども、まず、この各局が業務改革と情報技術の改革がマッチングした、いろんなシステムを考案いただいて、そして優先順位をつけていただいて、どうか、その目玉を一つでも結構ですから、つくってもらいたい。それから、業務改革を行うにあたりましては、先ほども申しましたけれども、トップの強い意思のもとでしっかりと体制づくりをしていただいて実行していただきたいと。最後に、これは何のためにやるのかということを忘れないでいただきたい。市民の皆様方は、職員の数が減る、組織の名前が変わったり統合される、またはコンピューターが机の上に並んでいる、そういうことを期待されているのではなくて、市民の皆様が受けられるサービスの質が向上する、さらにスピードアップする、利便性が向上する、そのことによって豊かになるということを期待されているわけでございまして、その視点をどうか忘れずにお願いをしたいと思います。
それから、次の質問に移りますけれども、少し人事管理について簡単に質問をさせてもらいたいと思います。
同じくこの行革特別委員会の提言に職員の能力、成績等を適切に評価する人事評価システムを確立することと、こういうふうにございました。同じく新堺市行財政見直し実施計画にもこれは記載されていることでございますけれども、この人事評価システム、人事評価システムという名前はよくないん違うかなと、人事処遇制度の方がええん違うかと思っているんですけれども、その導入の目的、それから導入予定及び現在の取り組み状況について簡単にお聞かせいただきたいと思います。
◎藤岡 人事課長 人事評価システムにつきましてのご質問でございますが、平成10年9月の議会からの行財政改革に向けての提言におきまして、職員の能力、成績等を適切に評価する人事評価システムの確立を図ることが示されております。市といたしましては、現在、職員の能力開発を図るため、人事制度面におきまして、複数の分野に精通した職員を育成していくためのジョブ・ローテーション制度や人事異動に職員の希望や適性を反映いたしまして、意欲の向上を図ってまいる自己申告制度を実施いたしておるところでございます。ただ、今後、厳しい分権時代に耐える人材の育成を図っていくためには、これまでの人事制度に加えまして、職場における職員一人一人の能力の種類とそのレベルの現状を正確に把握していくための人事評価システムを導入していくことが必要不可欠であると考えているところでございます。これによりまして、職員の勤務成績や能力をこれまで以上に、より適正に評価することが可能になり、職員一人一人の能力開発への活用が図っていけるものであると考えております。また、ひいてはこれが職員の資質・意欲のさらなる向上につながるものであると考えているところでございます。
現在の導入の予定及び取り組み状況でございますが、人事評価システムにつきましては、職員の能力の種類、レベルを客観的に、また正確に把握する必要がございます。その手法にいたしましては非常に難しいものがございます。現在、平成10年12月に策定いたしました新堺市行財政見直し実施計画に示しております平成12年度導入に向けまして、その評価項目・対象範囲、また実施回数などにつきまして検討いたしておるところでございます。以上でございます。
◆吉川 委員 ありがとうございました。よくわかりました。1点要望だけ申し上げたいと思いますけれども、今ご報告いただいたさまざまな検討の中に1つ抜けているんじゃないかなと私思うんですが、評価をする上では、評価の尺度を示す必要があるのではないかなと、それは評価をされる側に示す必要があるんじゃないかなというふうに思います。皆さん、等級というんですか、レベルというんですか、ちょっとよくわからないんですが、この人はこういう要件を満たす必要がありますよという基準ですね、スタンダードですね、もちろん。これをつくっていただいて、それを示す必要があるのではないかなと、それがないと、評価される側はようわからんと思います、どういうふうに評価されたのか。逆にそれがあると、自己評価が進んで、内発的な改革意欲が出てくるのではないかなと私は思います。世間では何というんでしょうね、職能資格基準というんですか、これをぜひともつくっていただきまして、人事評価システムというんですか、これをしっかりと稼働させていただきたいということを要望いたしまして質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。