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2007年(平成19年)10月22日大都市行財政制度調査特別委員会


◆吉川敏文 委員  おはようございます。公明党の吉川でございます。きょうは大都市の行財政の課題を審議する特別委員会でございまして、主に堺市独自の要望について少しお聞きをしたいと思っております。
 明治以来行われてきた中央集権型の日本の政治あるいは行政のやり方、これが疲弊をいたしまして、新しい時代に即した日本の構造を再構築するために、地方分権ということがうたわれてきたわけでございます。
 具体的には、平成7年5月に定められました地方分権推進法、そして昨年の12月に改めて制定をされた地方分権改革推進法において、いよいよ地方分権の流 れは第2ステージに移行したというふうに考えておるわけでございます。ただ、第1ステージと申しますか、地方分権推進委員会が最終答申を勧告をした中での 課題を残しておりまして、ご存じのとおり、6つの課題という形で次の推進委員会に引き継がれておることは皆さんも重々ご存じであろうかと思います。
 今回、堺市が国に要望する、主に地方・国、この両者間の財源の問題、これは確かに大きな問題ではございますけれども、それ以外にもさまざまな私たちは課 題をクリアして、国が進める地方分権の流れ、それはそれで一つ、しっかりと議論いただきたいわけでございますけれども、それを受けて、堺市がこれから始ま ろうとする、あるいは私たちがみずからの手でつくろうとする地方分権時代に即した当市のあり方、これは制度が固まろうが固まろまいが、みずからの力でそれ を推進していかなければならないと、このように私は考えるわけでございます。
 それで、きょうはもう一度、地方分権という原点に立ち返って、我々がなすべきことは何なのかということを少し皆様方と議論をさせていただきたいと思うわけでございます。
 それでは、まず、一番の原点というのは地方自治体のあり方をうたった地方自治法等にうたわれているところではあるかと思うんですが、その話をしてました ら日が暮れてしまいますので、地方分権の流れができ上がってきた、この分権というのは一体何なのかと、私たちにとって何なのか、それは何をめざすべきなの かというあたりですね、このあたりはしっかりとまず踏まえておかなければならないと思うんですけれども、これに対して当局のお考えはいかがなものでしょう か。


◎森岡 企画推進担当課長  なぜ地方分権なのか、また何をめざすものなのかという、これに対するお答えでございますが、地方分権につきましては、本来、 これが住民生活の向上につながるべきものであるというふうに考えております。地域のことは地域が一番よくわかってるわけですから、それを地域で決めていく と、そういうことによって住民の生活向上につながってまいるものだというふうに考えております。以上でございます。



◆吉川敏文 委員  おっしゃるとおりかと思います。そもそも1993年でしたかね、衆参両院で地方分権に関する国会決議がなされました。そこでは、ゆと りと豊かさを実感できる社会をめざすと、成長優先の政策から生活重視の政策への転換を図ったことがそこにうたわれたものであると私は理解をしておるわけで ございます。この地方分権推進法の旧法の方では、冒頭の第1条に、この法律は、国民がゆとりと豊かさを実感できる社会を実現することの緊要性にかんがみ、 というふうになっておりまして、今回定められた新法でも、この法律は、国民がゆとりと豊かさを実感し、安心して暮らすことのできる社会を実現することの、 というふうに続いているわけでございます。今回新たに、安心して暮らすことのできるという文言が加わったのはなぜかという議論は後回しにしまして、こうし たこの地方分権の一つの制度的な改正のねらい、目的というのは、あくまでも私たち国民の、あるいは市民の生活を重視をする日本の仕組みをつくろうというふ うなことがあるかと思いますけれども、この点については当局はどのようにとらえられているんでしょうか。


◎森岡 企画推進担当課長  ちょっと申しわけございません。少し聞き逃したところがございまして、申しわけございませんが、現在の地方分権の関係でございますと、申しわけありません。ちょっと再度もう一度お願いできますか、済みません



◆吉川敏文 委員  済みません、先に課長の方から、この地方分権がめざすものは何なのかというお答えをいただいたわけなんですけれども、それに対して私 も全く同感であると。そのめざすものという部分での成長の政策から生活重視の政策へ、いわゆる生活者重視の日本の国の仕組みをつくろうということではない かと、その中で地方自治体が果たすべき役割を考えて、これから構築をしていかなければならないんではないかという考え方について、合ってるかどうかです ね、当局の皆さんと。そのあたりはいかがでしょうか。


◎森岡 企画推進担当課長  今、委員仰せのとおりでございまして、市当局といたしましても、例えば行政の組織力でありますとか行政力を高めて、自立性を高めた市政運営を努められるように取り組んでまいらなければならないと考えております。以上でございます。


◆吉川敏文 委員  当然そうなんですけれども、まず基本的な考え方、この地方分権のねらいというものをもう一度確認をしたかったわけでございまして、そ れを実現するためには、今おっしゃられたように、さまざまな課題をクリアしていかないといけない。その一つに、今おっしゃられた行政の皆さん自身の行政能 力を高めるということも大事でしょうし、冒頭申し上げた財源を確保するということも大事でしょうということであるかと思います。
 こうした分権の大きな流れの中で、これまで当局はさまざまな取り組みをなさってこられたというふうに思います。この政令指定都市に移行という、堺にとっ ては歴史に残る大きな成果を残したわけで、これは地方分権の流れというよりも、それを上回る大きな成果が今後出てくるものとは思うんですけれども、基本に 立ち返った中で、地方分権の流れの中で、当局はどのような取り組みをされてきたのか、少しご報告をいただきたいと思います。


◎森岡 企画推進担当課長  今の問いに対するお答えでございますが、現在の取り組みにつきましては、現在、政府の方で進められております第二期地方分権 改革におきましては、地方の自由度を拡大し、責任を持って行政を実施していくことができる地方が主役の国づくりというものをめざしております。その中で、 堺市といたしましても、地方分権や大都市制度はどうあるべきかにつきまして、政府の各種委員を務められております学識経験者等も交えながら、庁内でも現在 検討を進めているところでございます。また、市民サービスの向上につながる地方分権の推進に向けまして、国への要望等も含めまして庁内での議論をさらに深 めてまいりたいと考えております。以上でございます。



◆吉川敏文 委員  外部の方も交えて今議論をしていただいているというふうに理解をいたしました。しっかりとその議論を深めていただきたいというふうに思うわけでございます。
 この地方分権には3つの原則、いわゆる自己決定、自己責任、自己負担ということがうたわれているわけでございますけれども、これについて、今、議論の最 中であるというふうには伺ったわけでございますけれども、こういうふうな3原則の視点での議論というのは、現在なされてるんでしょうか。


◎森岡 企画推進担当課長  現在の議論の中では、今おっしゃられました自己決定、自己責任、それから自己負担というのは、地方分権を進める上で前提となるものであるというふうに考え、そのような前提に立って議論を進めているところでございます。以上でございます。


◆吉川敏文 委員  我々議会もですね、当然これから分権時代に合わせた改革をやっていかなければならないとみずから感じているわけでございますが、先ほ ども申しましたけれども、この分権の流れというのは、当然、国の指示待ちというよりも、みずからが、今おっしゃられた自己決定し、自己責任で、あるいは自 己負担で自分たちのまちをつくっていこうということですから、それぞれの、いわゆる今どこがそれをご担当されてやられてるのかわかりませんけれども、それ ぞれの原課も含めた部局で、そうした取り組みを積極的にひとつやっていただかないといけないんではないか、議論をしていただかないといけないんではないか というふうに感じてるんですね。それは先ほどおっしゃられた外部の方をちょっとお招きをして、庁内全体としての全体構想をまとめるという部分以上に、 ひょっとしたら必要なことではないかなと私は感じるわけでございますが、そうした動きというのは現在されているんでしょうか。


◎森岡 企画推進担当課長  今、委員の仰せのとおり、そういった状況に立って検討を進めておるところでございます。さらに今後も議論を深めてまいりたいと思います。以上でございます。


◆吉川敏文 委員  じゃあ、そうしたそれぞれの原課が、じゃあ議論をされてるということを取りまとめるというような形というのは今あるんでしょうか。


◎森岡 企画推進担当課長  現在、各局につきましては、その意見を聞いている段階でございまして、今後、その意見もまとめた形で検討を重ねてまいりたいと思います。以上でございます。



◆吉川敏文 委員  冒頭、地方分権がめざすものというものを確認をさせていただいたわけですけれども、その市民の方と接する最前線、実は、ひょっとした ら、ここが大切な私は情報を持っているんではないかなというふうに思うんですね。別に国のやり方を批判するわけではないんですが、最近の議論を見てます と、国と地方の役割というのを明確にして、税財源の配分をどうするかという、最重要な事項をちょっと横に置いときながら、道州制の議論に走ったりしてる感 も、私は見受けられるんではないかな。その中で、地方はとにかく財源確保しようやということで一生懸命要望するという、何かそれぞれが要望して、それを国 が受け取ってやるかどうかを議論するというような、地方分権時代のあるべき姿を議論してる割には、分権になってないのかなというふうに感じるんですね。そ この部分はそれでいいかと思うんですが、私たちの堺市にとって同じようなことをやっていく必要はないと、逆に、やっていってはいけないのではないかという ふうに感じるんですが、できれば、最前線の生活の密着した部分での、じゃあ自己決定、自己責任、自己負担というものはどうあるべきなのかという議論を国に も先立ってどんどん進めていただきたい。
 その中で、先日の総務財政委員会でしたかね、私少し申し上げさせていただきましたが、シビルミニマムの再構築というか、再考というんですかね、 を考えてはどうかというふうにお話をさせていただきました。これは一定レベルを引き下げるという意味ではなくて、本来、堺市がやらなければならないものは 何なのかという整理をもう一度、市民生活に根差した行政を行うという視点でやっていただいてはどうかなと、そこにこそ、地方自治体のひょっとしたら原点が あるのではないかというふうに感じるんですけども、いかがでしょうか。


◎宮前 財政課長  先ほどから委員仰せの点につきまして、ちょっと財政的な見地で申し上げますと、三位一体の改革が第一期の地方分権改革に続いて行われ ておりまして、その中で、当然財源が税源移譲という形で市へおりてきた。そういうことで、先ほど委員仰せのとおり、我々職員の一人一人、窓口の担当も含め まして、自己決定、自己責任というものが重要になってきてるというふうに我々は感じております。そういう意味から、庁内での議論ということでございます が、我々は、こういう地方分権が進む中で、地域間の競争も激しくなってきております。そういう意味から、我々は人口誘導であるとか、企業誘致であるとか、 そういうものも含めて大いに進めていかなければならないというふうに感じておりますので、予算編成を通じましても、そういう議論を各局とやっていきたいと いうふうに考えております。以上でございます。


◆吉川敏文 委員  ありがとうございます。堺市、財政的な戦略というのは割と、割とと言うたら失礼ですね。戦略がほかの自治体に比べて明確にしていただ いて、割とはっきりとした打ち出しをする中で運営していただいてると、私は大変評価をしているんですね。そういう手法という部分では、大変すぐれているん じゃないかなと感じるんですけれども、私ども、今回、さまざまな時代の流れを見る中で、一つ反省としてあったのは、先ほど申し上げたような生活者重視の自 治体の本来の役割は何かということを時々忘れてしまう部分がありますので、申し上げさせていただきました。できましたら、今、財政課長おっしゃったよう に、全庁挙げての分権のあり方というのをぜひとも構築をしていただきたいというふうに思います。
 それと、ちょっと個別の話で申しわけないんですが、今回、堺市の独自要望、重点要望ですかね、大都市特例税制度の提案をされてるんですね。地方分権改革 については3つの項目で要望されてた、 3つの要望をされてたかと思うんですが、3つ目の指定都市の事務事業及び権限に見合った大都市特例税制度の創設というようなものを提案されているんですけ れども、これは、ちょっとどういうふうなイメージでとらえていいのか、少しその部分だけご報告をいただきたいと思います。


◎東 税務部次長  指定都市におきましては、事務配分の特例によりまして、例えば国の国 道、また道府県道の管理、また児童相談所の設置などを道府県にかわりましてさまざまな事務を行っている、そういうところでございます。これらの事務に要す る所要額に対する財源といたしましては、道路財源、道路特定財源、それと地方交付税、さらには宝くじの収益金などが措置されておりますけれども、税制度に おきましては、全国どの市町村も画一的なものであるということでございまして、受益と税負担の関係にねじれが生じているというような状況がございますの で、そのことから、市がみずから意思と責任を持って事務を執行するという地方分権の推進のためには、指定都市の事務配分の特例に応じた財源の確保が必要で ございます。特に自主財源である地方税での措置が必要であると考えております。このことから、道府県から指定都市への税源移譲によります事務権限に応じた 大都市特例税制の創設を要望してると、そういうことでございます。以上でございます。


◆吉川敏文 委員  簡単にいうと、政令市になって道府県のいろんな仕事をやってると、その部分の財源の手当てというのを、自主財源として使える特例の税制を創設してほしいという、こういう要望でいいんですね、はい。
 そういうことだとは思うんですが、政令市間でも非常に財政的なばらつき、あるいはいろんな条件が異なるという部分では、しっかりとこのあたりは財政シ ミュレーションをさまざまやっていただいて、要望するのはいいんですけれども、いざやるとなったはきに、堺市はどういう財政運営をしていくのかという部 分、これをもう少し市民にわかりやすい形で提示していただけますようお願いをいたしまして質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

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