大都市行財政制度調査特別委員会
 (2011年7月27日)
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吉川 敏文 委員
 
 お疲れさまでございます。公明党の吉川です。

 それでは、休憩前に引き続き質問をさせていただきたいと思いますけれども、通告していた内容と全く異なるかもしれませんが、申しわけございませんが、御容赦をいただきまして、写真を撮ったら終わりというわけにはまいりませんので、よろしくお願いいたします。

 まず、お昼からの議論がございましたけれども、私は自治体の姿とか自治体のあるべき方向性というのは、従来のままでは決してならないと、このように思っております。それはもう日本全体の課題、そして自治体の課題、大変大きな課題を今日本は抱えておるわけでございまして、少子高齢化が進展する中で、膨大に膨らんでいく社会保障のお金をどう捻出するのか、あるいは経済が成長しなくなった今、経済成長戦略とは別に、そうした時代にも耐え得る国のあり方をだれが責任を持って示していくのか、自治体は自治体として、そういう時代に対応した自治体の姿を私たち自身が責任を持って指し示さなければならないと、このように感じております。そこには、戦後営々と築いてきたさまざまな制度や歴史を大きく変えることも、また必要なのではないかとも思うわけでございます。

 ただ、1点私が感じておりますことは、自治体の形を変えるだけでは、こうした時代に耐え得る姿をつくることはできない。そこにはさまざまな、先ほど国においては経済をどう成長させるのかといった経済成長戦略や、あるいは自治体においては、歳入をどう確保していくのかという当然戦略が必要になってくるかというふうにも思います。

 先日、東京都議会議員と話をする機会がございました。そのときにおっしゃっていたのは、実は、石原都知事というのは皆さんは作家だと思っていらっしゃるでしょうという話から入ったわけですが、石原都知事は実は財政のプロだというお話でございました。一時期、公認会計士もめざしたことがあるそうでございまして、平成11年、都知事に就任された当時、東京都の基金の残高、いわゆる貯金の残高は、ちょっとここ間違ってたら言ってほしいんですが、たしか8,000億円程度だったと思います。それが現在では2兆7,000億円ぐらいにたしか基金がふえていると思います。東京都の一般会計予算額というのは5兆円強だと思いますので、それから考えると、この基金の大きさというのが非常になぜそれだけ基金を積まないといけないのかと思うわけでございますけれども、それは将来のリスクマネジメントの結果だということだそうでございます。

 ただ、この間さまざまな財政の運営の変遷がございまして、それを話すと長くなりますので、割愛をさせていただきますが、いずれにしても、知事挙げて、東京都の財政の仕組みを変えていった。そのことによって基金が大きく増加をして、将来のあらゆるリスクに備えられているということでございました。

 対して堺市は、先日、財政のほうから10年先の財政の見通し、10年先だったと思いますけれども、少し出していただきまして、それを見ると、一たん基金はゼロにまでなって、その後復活するというようなイメージだったかと思います。少し東京都と財政の考え方が違うところでございます。

 東京都は、都道府県では唯一の不交付団体でございまして、堺市の自主財源比率と比べると圧倒的に自主財源を獲得する力があるわけですから、当然、景気がよくなったときには貯金がふえるというこういう優位性もあるんでしょうけれども、1つ、この大都市制度を考える前に、堺市の財政の本当にこの中期見通しがこういう形でいいのかということをもう一度御議論をいただいてもいいのかなという問題提起だけ冒頭にしておきたいと思います。

 それから、都議会議員と東京都のさまざまな話をしたわけでございますけれども、その中で、実は23区、特別区というお話も先ほどございましたけれども、この特別区の権限というのは政令市よりも圧倒的に低いわけでございまして、中核市レベルというふうに私は認識しておるんですけれども、それには間違いがないですよね。うなずいておられるので、間違いないかと思いますが、じゃあ東京都の23区の人口はどれぐらいですのという話になったときに、驚いたことに、知らない私が無知だったんですが、一番人口の多い世田谷区、この世田谷区の人口が実に堺市に匹敵する人口。先ほどちょっと調べていただきましたが、83万人強という人口でございました。世田谷区という特別区が83万人強という人口を抱えながら、その権限が堺市よりも低いという。じゃあどれぐらいの財政運営をやっているのかということで調べてみますと、これは単位が読めないので、少し財政の方にお聞きしてよろしいでしょうか。
 
奈良 財政課長
 
 平成21年度決算ベースの世田谷区の財政規模といいますか、それをちょっとお示しをさせていただきます。

 まず、歳入決算額で約2,494億円、歳出の決算額で2,461億円ということになっております。

以上でございます。
 
吉川 敏文 委員
 
 堺市の大体一般会計の決算額が3,000億円前後だったかと思いますけれども、ということは、私が思ったのは、東京都というのはなぜあれだけの大きな力を持って発展していくのかというのは、それは区の力ではなくて、東京都全体の力かなという気が、感覚として私は受け取ったわけです。東京都の1つの特別区が堺市と同等の人口規模を持ちながら、堺市よりも権限が低い自治体運営をしないといけない。なおかつ、その財源は堺市よりもうんと小さいということでございました。23区の人口比率はもうばらばらでございますけれども、そういった認識も含めて、東京都がどれだけの力を持っているのかということも議論をしたわけでございます。

 こんな話をつらつらとしても仕方がないんですが、その中で、皆さん方に1つお尋ねをしたいところなんですが、私は、自治体というのは、これからの大変な時代、生き残っていくためには相互協力というのが必ず必要になってくるというふうに考えておりますけれども、市当局で自治体間の協力ということをお考えになられている点はございますでしょうか。
 
辻林 大都市政策担当課長
 
 自治体間の連携ということでございます。本市の状況について御答弁いたします。

 広域連携の取り組みといたしましては、南大阪では、泉北地域広域行政連絡会議を泉北の4市1町間で設けまして、施設の共同利用や事務の共同処理に向けた検討を行っております。また、泉州全体で申しますと、関空の地元団体といたしまして、観光振興や泉州国際マラソン等の地域活性化事業の共同実施や本市の外郭団体であります堺都市政策研究所が主催します政策課題勉強会での課題研究等を行ってございます。また、大阪府内全域で申しますと、昨年11月に堺市長が企業長を務めます大阪広域水道企業団を創設いたしまして、大阪市を除く府内市町村と共同で用水供給事業を実施しているところでございます。

 その他、関西4政令指定都市間で東南アジアへの観光プロモーションでありますとか、共同の職員研修、地方分権シンポジウム、震災対応への国の緊急要請などを行っているところでございます。

以上でございます。
 
吉川 敏文 委員
 
 いろいろ取り組んでいただいておりますけれども、もう少し私は将来の堺市にとって本当に広域連携をしてメリットを出していくという部分で、既存の施策事業も少し切り込んでいただきたい。私の感覚では、車で2時間、3時間で行けるところというのは1つの行政の圏域として考えてもいいのかなというふうに考えておるんですが、一番よくわかる例は、いつも皆さんに申し上げているかもしれませんが、国民健康保険の制度。これは市町村が独立して運営をしないといけないわけでございますが、市町村によって保険料が違う。しかし、車をちょっと飛ばして他府県の病院を受診しても、医療費は一定なんです。保険料は違うけれども、受ける医療費は一定、負担額も負担割合もすべて一定でございます。こういう矛盾したことを放置してはならないというふうに思っておるわけです。

 都市部に集中する病院を他市の方は受診してこられる。しかし、過疎地の保険料は安いわけですね、うんときっと安い。だけれども、都市部の保険料はうんと高い。こういう矛盾を解消するためには、やはり具体的な広域連携の取り組みが必要である。法という1つのハードルを超えないといけないとは思いますけれども、そういうことを実は国にも要望をいただいてはどうかなというふうに思っているんですね。

 間違いなく、この堺市のこれからの自主財源比率がどんと伸びて、さまざまな行政需要にこたえられるとは、決して私は楽観的に思えないわけでございまして、大変心配性でございますので、そういうアプローチをぜひ具体的にこれから御検討いただいて議論もしてまいりたい。

 それからもう一つは、少しでもこの自主財源の比率を高められないかという御努力をお願いしたい。これは日本全体の経済の影響も確かに多いとは思いますけれども、少なくとも行政の皆さん自身が歳入をふやす御努力。本来いただかなければいけない税金を取り立てるとか、保険料を取り立てるとかいうことではなくて、新たに例えば今いろいろ考えていただいているんでしょうけれども、堺市が持っている遊休地を単に単純に売るのではなくて、貸すことによって行政ニーズを1つ満足させながら、なおかつ利益を得るというようなこういうことも、ぜひとも検討いただきたい。

 その中で、国に対しての要望があるのであれば、どんどんしていくのがいいんじゃないかなというふうに思います。過去の自治体は、国に対して財源をくれ、権限をくれという、子スズメが親スズメにねだるような形でございましたが、これからはそうであってはならないと私は感じておりまして、自分たちはこうする、こうしたい、だからこの制度の変更あるいは特区の許可をもらいたいとかいうふうな、ぜひとも挑戦をしていただきたいなということをお願いをいたしまして、簡単ではございますが、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
 
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